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師父慕う少女、果てに至る物語  作者: 犬山
喪失と奮起
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01一世一代の大博打


「これだ……。これさえあれば……!奴らを見返してやれる。師父様のお力になれる!!」


 暗がりに喜悦を押し殺した幼い声が滲む。

 危うささえ感じる狂おしいまでの熱がそこには潜んでいた。


 書庫とも倉庫ともいえないガラクタ置き場のような物置だった。

 ただしガラクタと言っても、文字通りのゴミが捨てられているとは限らない。部屋の主にとっての不要物が収められているだけで、万人にとって価値の無い物が仕舞われているわけではない。

 仮に。

 世界の深奥に足を踏み入れてなお、五体満足で帰還する。

 深奥で得た真理の知識を惜しみなく世人に還元してくれる。

 その功績を国に認められ、庶人でありながら最高位の賢者の位を授けられた。

 そんな世に二人といない人生の圧倒的成功者であったのならば。

 その蔵に秘められたガラクタの価値もまた、途方も無いものになるのは自明の理であろう。


 だから、きっと。

 ナタリアが偶然物置で見つけたこの古文書も価値のある代物に違いない。

 なにせ、そこには神の御使いである天使降臨の儀式が記されていたのだから。


 いかにも胡散臭い、と当初ナタリアは考えていた。

 事の発端。

 今の閉塞状況を打開したいと思った彼女は、藁にもすがる気持ちで師父に立ち入りを禁じられていた物置を探索することにした。

 師父の弟子は今も昔もナタリア一人だけ。

 出入りも手入れもするもが居ない上、師父自身も物置を整理していなかったために、室内は荒れ放題だ。ホコリまみれのガラクタの山はナタリアを大いに辟易させた。

 言いつけを破り、倉庫の禁を解いたナタリア。

 師父は病で寝込んでいるので見つかる心配は無いはずだが、誰かに見つかりやしないかと内心ビクついてもいた。

 それでもやらねばならぬ理由があったのだ。この所臥せりがちな師父は、大賢者としての仕事を休みがちになってきていた。度重なる体調不良は貴族たちの侮りを招き、往時は何もしなくても擦り寄ってきたおべんちゃら使いたちも、今ではさっぱり寄り付かないどころか、悪評を広めているらしい。無害であるならばまだしも、害をもたらしてくる貴族ども。本来対等以上であるはずの貴族に対し、今の師父はなんら対策の取れぬ無防備な状態だった。

 現状を変えるものが必要だった。ナタリアはまだ未熟で、これぽっちの威厳も無い。

 地道に努力を続け、堅実に実力を上げていくのを悠長に待つ時間的猶予はない。

 ナタリアは何か助けになるものは無いか、と常に天の助けを渇望していたのだ。

 神を信じぬ者も、窮地に陥れば信念を曲げざるを得ない。信仰無き少女が変わらざるをえないほどの苦境が訪れていたということだ。


 そんな時に、目の前に都合よく現れた奇跡の儀式書。

 喜ぶ気持ちと、疑う気持ちは半々といったところだったのも無理は無い。

 風化して、ボロボロになった羊皮紙に書かれた降臨儀式の内容が出鱈目でないならば、救済の天使を地上に降ろすことが可能ということになる。

 周囲を見渡し、誰にも見られていないことを確認した彼女は、破れないように件の古文書をそっと懐にしまい込む。


 ――後で返すから大丈夫、泥棒じゃない。それに師父様の書物を師父様のために使うんだから、なんにも悪いことなんて無い。


 自分に言い聞かせナタリアは、ひと目を避けつつ蔵を後にした。明かり漏洩に気を遣うような場所ではじっくり読むこともできない。他者の目のない自室に持ち帰り、読み込むつもりだった。

 深夜。寝静まった城内に明かりは少ない。あくまで少ないだけで、ところどころに巡回兵の持つ光が見える。屋内でけぶる松明を使っているはずもなく、おそらくは<発光>魔術による臭わない明かりだろう。こんなふうに日属性に適性のある兵士は、たいてい夜の巡回を任される。

 彼ら巡回兵の足取りに注意しつつ、忍び足で自室を目指す。

 たとえ見つかった所で夜歩きを注意されるくらいではあろうが、悪いことをしているという無意識下の自覚がナタリアに慎重な行動を強いていた。


 角を曲がる兵士の後ろ姿を確認し、音を立てぬように小走りで廊下を通り抜ける。

 石畳を叩くカツカツという木靴の音は、深い闇に吸い込まれて外部に漏れることはない。最近覚えたばかりの<沈黙>魔術である。師父に頼らずにナタリアが自力で習得した初めての魔術だ。その扱いは既に熟練者のそれで、ナタリアの歩いた痕跡といえば微かな振動くらいのものだった。


 隠蔽が功を奏したのか、巡回に見つかること無くナタリアは自室に帰還できた。

 自室といっても、大賢者の弟子という以外にはなんら公的な立場を持たない半人前のナタリアのプライベートな空間は、大賢者ファーレーンに与えられている研究室の一角に隠れるようにある小さなスペースにすぎない。

 いつもならば、薄いパーティションで隔てた隣室からは、寝室に戻るのが面倒になって研究室の簡易寝台で眠りこけてしまった大賢者の寝息が聞こえてくるのだが、今も倒れている彼は医務室に運ばれて、そこの寝台に寝かされている。

 それほど病状は深刻ではないから、自宅療養していても大丈夫なのだが、仮にも帝国の重鎮である。立て続けに体調を崩していることも考慮されて、”大事をとって”強制的に入院させられているのだ。

 月明かりに床の埃がちらちらと舞い上がっていた。

 主の居ない部屋を掃除するのもナタリアの役目の一つだったから、明日にでも箒と雑巾を借りてこなければならない、とナタリアは少しだけ憂鬱になった。研究室は城内に間借りしているのだから、下働きに掃除を任せることも出来るのだが、重要な研究成果や魔具の収められた大賢者の居室は、下手な宝物庫よりもよほど価値のある代物がごろごろしている。たとえ善良な掃除婦だといえども、目の前に千金の黄金をぶら下げられていては、魔が差すこともあるだろう。使用人を信頼することも大切なことであるが、盗難を誘発させることもない。大賢者の部屋の掃除はほとんど弟子のナタリアに一任されているのだ。


 俯いて下を見ていると、面倒くさい掃除をしなければならないことを思い出してしまう。

 ナタリアは埃の舞う床から目を背けて窓に目を向けた。青白い月光。ナタリアが庭師にねだった夜光花が日中閉じている花弁を誇らしげに広げていた。ナタリアの頬がゆるむ。


「ん、ごめんね」


 美しくも可憐な一輪挿しを気遣うようにナタリアは謝罪する。

 夜光花は微弱ながらも夜属性の魔力の篭った魔法の花である。月光を花弁から吸収して、蓄えた魔力を水分に混ぜて放出する。漬けている水は一ヶ月もすれば鎮痛薬の原料として重宝されるようになる。治癒術師にかかることのできない困窮した家庭や、医者の少ない辺境では重用されている天然の薬草の一種だ。

 帝都では巨大な経済活動が行われている分、たいして価値のあるしろものでもなく、一輪だけなら頼み込んだだけで分けてもらえる程度のもの。ナタリアの生まれ育った孤児院では大切に育てていた事もあって懐かしさの余り、今朝剪定をしていた庭師にねだってしまったのだ。

 もちろん言わずもがなだが、病床にある恩師のためでもある。

 ナタリアは卓上の手のひらサイズの衝立を夜光花の花瓶に掲げた。


 <発光>魔術が発動し、光量に応じた魔力が消費される。

 慣れたもので、丁度目が疲れないくらいの明るさの光の玉がナタリアの机の上に浮かんでいた。衝立の影に隠れて夜光花は直接光に当てられることはない。

 太陽の出ている間や、日属性の<発光>魔術の光を浴びた夜光花は何故か魔力水を生成することができない。そのこともあって夜光花を育てる際は、月の光を最大限に浴びせるために<発光>魔術の光の当たらない場所に飾るのが一般的とされていた。


 ナタリアは魔術を発動すると夜光花の事を意識の外に追いやり、懐から巻物を取り出す。天使降臨の儀式の方法など、どんな遺失魔術発見にも勝る偉大過ぎる発見だ。ただの嘘っぱちである可能性は高く、藁にもすがる気持ちのナタリアにしても期待半分、疑い半分といったところ。それでも検分せざるを得ない魅力がそこにはあった。

 脆くなった皮が千切れてしまわないようにそっと重しを乗せて、慎重に巻物を解く。


 古文書冒頭に記されていたのは正真正銘の遺失魔術だった。


「<黒霞>……。書かれている術式はそんなに複雑には見えないけど、見たこともない」


 魔術を教わり始めて半年しか経っていない。ナタリアの知識は完全ではないにしろ、一定の基準には達している。魔術師ギルドに術式を登記された一般の魔術以外にも少なくない魔術が魔術師の世界には存在していることは知っていた。

 夜の属性に適性を持つナタリアは、夜属性の魔術に何が存在するかを学んだが、身体を隠すことの出来る魔術<黒霞>は初耳だった。


 ――危なくはない、か。


 術式を検分してみても、危険性のある術ではなさそうである。魔術の中には暴発して術者に危険を及ぼす厄介な魔術も存在するため、安全確認は欠かせない。

 慎重に舌の先で味を確かめるようにして、ナタリアは構築した術式に少しづつ魔力を注ぎ込む。<発光>魔術を使用した時と同様に一部の魔力が消費され、現象に変化していく。


「むむむ……」


 発動には成功した。

 一度見ただけで数十分のうちに術式を再現するなど、常識からすれば有り得ないことなのだがナタリアは平然とそれをやってのける。世の魔術師が見れば糾弾したくなるほどの隔絶した才能。

 まあ四重属性適性を持つイレギュラーである時点で、こんな度外れた習得速度という異常も霞んでしまうのだが。


 黒い煙がナタリアの全身を隠すようにまとわりついてくる。ガス状なので触れられている感触もなく、不快感も覚えない。

 術式通りに作動しているのだが、古文書には効果については不自然なほどに記載されておらず、何が起こるかだけが簡潔に記されているのみだ。

 ナタリアにはこの黒い霧が何の効果を持っているのか判断がつかなかった。興味がなかったと言い換えてもいい。今必要なのは、国人を見返すような大きな成果であって、こんな効果の微妙な魔術ではない。いくら遺失魔術といっても、失伝してしまったという共通点を持つ以外はピンきりの魔術群である。使用する魔力の微量さからして、ろくな魔術だとは思えなかった。とりあえず、術式の記憶だけはしておいて、ナタリアは古文書を読み進めた。

 <黒霞>は役立たずの魔術だったとしても、遺失魔術だったことは否定出来ない。つまりこの書簡が全くの出鱈目を書き散らした文ではないということだ。ナタリアの興味の中心は天使降臨の儀にあった。


 天使。聖伝に語られるそれは神力の代行者としての神の御使というプラスイメージが強調されている。正教会の信徒でもないナタリアは大いなる存在については信じてはいても、信仰までは抱いていなかった。「どんなに偉大な存在であっても、一欠片のパンも恵んでくれないのならば居ないのと同じ」という、あまりにも乾いた宗教観は、孤児院時代の副院長の盲目的な信仰への反骨精神として培われたものだった。

 ナタリアは心底では神を信じていなかった。しかし、


「助けてくれるのなら、信じられないものでも信じます。ですから、どうか――」


 助けて。と小さく呟きながら、ナタリアは縋るように小さな指をしわしわの羊皮紙に走らせた。信念を曲げてでも、救われたかった。ただそれだけだ。


 数時間後。

 術式の解読を終えた。古代語は使用されておらず、難解な文章だったが読むことは出来る。それに術式については現行のものとさほど変わりもなく、術式を見て粗方の理解を済ませた所で、説明文を解読するという方法で数時間かからずに解読できたのだ。古代語は数単語を知る程度の知識しかナタリアにはない。そもそも普通言語の読み書きさえも独学だったのである。そう考えるとたった半年の間にナタリアは長足の進歩を遂げていたとさえいえる。


「術式はいつでも構築できる。材料の血も自分のを使えばなんとかなる」


 魔法陣が必要な儀式のようだ。血で描く円形の魔法陣。魔法陣は魔術術式の補助具であり、一定量の魔力をプールする装置である。これだけの魔力を消費するのだから、さぞ凄い魔術なのだろう、とナタリアはほくほく顔で喜んでいた。


 天使降臨の目処がついた所で、ふとナタリアは我に返る。

 本当に儀式が成功してしまえば、正教会からのアクションは避けられなくなる。最悪の場合、異端者だと断罪される可能性さえある。天使降臨とはそれだけの偉業であり、誰も成し得たことがないからこそ比類なき功績になりうるのだ。

 ナタリアの師匠である大賢者ファーレーンも、前人未到の偉業を成し遂げたことで比類なき功績を認められ、国民からの応援もあって一介の魔術師から異例の出世を遂げたのだ。彼の唯一の弟子であるナタリアがファーレーンの弟子として相応しいのだ、と証明するのにこれ以上のものはないだろう。

 ナタリアは冷静ではいられなかった。得られるかもしれない莫大な名声に目が眩み、投げかけられるかもしれない蔑みの言葉の冷たさに身を震わせて。

 コインの裏表。メリットとデメリットをナタリアは正しく把握できていたが、だからこそ彼女の心は揺れていた。


 進むべきか、引き返すべきか。


 苦悩。


 煩悶。

 

 ふと机にかじりついた自身の強張りを意識したナタリアは、一旦落ち着こうとして伸びをしてみる。若さが関節に柔軟さを与えていて、彼女の背伸びは猫のソレのようにしなやかだった。


「あ、もうこんな時間」


 夜光花の飾られた窓のはるか向こうの東の空がうっすら白み始めていた。一時間もしない内に太陽が其の姿を現すことだろう。寝静まった城内だが、下働きの朝は早い。直に活動する人間が増えてくるから、一人きりでいられる時間も残り少ない。


「……やるしか、ないよね」


 最終的に下した判断は、失敗を顧みない前進だった。成功も失敗も、全てを受け入れる。

 ナタリアは追い詰められていた。どうしようもないほどに。

 あと十歳年上ならば。せめて大賢者の不調があと一年遅ければ。

 さまざまな仮定は、すべてifに過ぎない。現実問題は幼女の小さすぎる肩に重くのしかかっていた。

 打開する策は目の前に用意されていた。天使降臨という勝算の薄すぎる博打だったが、決定権の一部を与えられたことは否定出来ない事実。

 選択するのは結局いつも自分だけだ。与えられた選択肢から選択しようが、外部から全く別の観点を持ってきて選択するのも自由。自由には責任が伴う。

 選べば、傷つく覚悟もしなければならない。

 現状を変えたいなら、相応のリスクを受け入れなければならない。それは変えたい現実が厳しければ厳しいほどに、危険な橋をわたらなければ世界を変えられないということを示している。


 夜明け前。

 ナタリアは指先をペーパーナイフで薄く裂いた。赤い雫がじんわりと傷口から溢れだす。慎重に小皿にそれを垂らしてから、真新しい筆の先に新鮮な紅のインクを染み込ませてゆく。普通のインクよりも乾きが早いそれを素早く用意して、ナタリアは木版に魔法陣を描き始めた。

 円を基本構成因子とする召喚陣は、正確な円の描画を何度も要求する。ナタリアは刺繍用の針に糸を固定して、針を円の中心に刺し同時糸の反対側に筆を結びつけることでコンパスのようにして綺麗な円を描くことに成功した。

 凸凹の少ない真新しい木版。

 さっと筆を走らせそれに追従するように赤いシミが線を描く。


「ミスは……無い」


 図として示された魔法陣と、目の前の実物を何度も見比べてからナタリアは安堵の溜息を漏らした。

 完璧だった。模写した魔法陣は寸分の狂いもなく、召喚者の血液でもって記され、完成している。どくどくと脈打ちながら空気中のエーテルを吸い込んで、いつでも使用可能な状態に加工された魔力として蓄える血の円陣は、まるで生物のように胎動していた。


「これは……いけそうかも。いや、いける。絶対に成功する!」


 他に誰もいない部屋でナタリアは自分に言い聞かせるように呟いた。最後の方はどうしようもなく弱気な自分を鼓舞するような強い語勢だった。

 

 魔力をプールする魔法陣を完成させたナタリアは、手早く儀式のための準備を整える。最低限必要な物は、魔法陣と術式だけなのだが、少しでも成功率を高めるために努力は惜しまない。朝日の差し込む窓にはカーテンを二重にかけて強すぎる日光の介入を防ぐ。同時に大賢者の研究室とひとつづきの自分だけの空間を遮断するために、隙間に布を張りハンカチを押し込めて詰め物をする。

 隔離された空間というのは、イレギュラーを排するためには無視できない要素の一つ。

 本来は気密な空間が必要なのだが、まだ魔術師としても未熟なナタリアはそこまで詳しいことを知らなかった。ただ、秘密の儀式を執り行うというのだから、こっそりとやらねば、と子供っぽい思い込みのままに行動したに過ぎない。

 緻密な魔法陣の構築と比べるとチグハグにも見える無思慮だが、まだ大賢者の弟子になって半年の孤児院出身の学のない少女にとっては、これが精一杯だったのだ。


 小さな寝台と本棚。少女。

 風化により黄ばんだ羊皮紙は役目は終えたと言わんばかりに、萎び潰れている


 燭台に灯る四つの光。<発光>魔術のかけられた魔具は高級品であり、ナタリアの所有するものではない。おとなりの大賢者の研究室から拝借してきたものだ。


「火よ、水よ、土よ、溢れて満ちよ。流れて殖えよ」


 謳うような調子で紡がれる呪文は、絶対に必要な物というわけではない。ただ、儀式の補助になるとあの古文書に記されていたのだ。

 ナタリアの足元には、木の板に血で描かれた奇怪な文様。

 召喚陣と呼ばれるそれは、古の伝承に伝えられる降臨陣。

 大いなるものを、世界の果てから呼び出す傲岸なる儀式。


 ――彼女の見た書物には、そう書かれていた。

 けれど、彼女は知らなかった。その古の書物とは、暇を持て余した古人が戯れに書き綴った空想の物語だということを。


「出よ。流出するもの。埋め尽くすもの。満たすもの。盟約に従い、顕現せよ!」


 だから、これは偶然だった。

 惑星の裏側で、羽ばたく蝶の羽風が、ハリケーンになって襲いかかってくるくらいの天文学的な偶然の産物。

 何気なく拾い上げた砂漠の砂の一粒が、宝玉であるかのような神の奇跡。


『あぁ?なんだこのガキは?』


 奇跡のような偶然が後に悪魔憑きと呼ばれる女とその従者の出会いだった。

 組み上がられた冗談の術式とはまったく無関係に、”声”は顕現した。

 賭けが少女の勝ちなのか、負けなのか。その結果はまだ不明のままだった。


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