生きてるよ
山に登ったあの日、僕は心に色を取り戻した。
すごしていた科学的な街に、
学校のテストに、
両親のしかる声に、
飽き飽きしてたんだ。
いつか見た夕日の色に染まったちっぽけな街を見下ろしてため息がでた。
気付かなかった光を眼に受けて、何も言葉は出てこなかった。
枯れた涙に、色あせた心に、何かが落ちてしみこんだ。
まるで自分の中に無いもののように、心臓はどくどくと血液を押し出し、
頭に響いていた存在意義という呪縛を洗い流した。
僕の生きている意味?そんなもの無くたっていいんだ。
なぜ頑張るの?そんなの意味なんて無い。
どうして泣いているの?
分からない。
でも生きている証を、存在している証を、記憶に残したくて。
展望台のはしらに僕は刻んだ
『生きてるよ』
なんてね。
やっぱり、自然って偉大・・・