その1
「はいっ。」
勢いよく返事をして立ち上がった。
のだか、周りの様子が少しおかしい?
「御子柴君。」
と、落ち着いた声で呼ばれそちらを向くと
「君は僕の授業を聞いていたのかな?」
額に怒りマークが見えるような、数学教師が聞いてきた。
周りの生徒は、小さな声で笑っていた。
6限目ともなれば教師の話が子守唄に聞こえてしまい、つい夢の住人と仲良くなって仕舞うのは、仕方がない。
「すみませんでした。」
「授業中寝るのは構わないよ、全然。ただ授業の邪魔だけはやめてくれるかな?」
数学教師は嫌味をいって授業を再開した。
「さっきは、中々に面白かったよ」
笑いをこらえながら声を掛けてきたのは
幼なじみの坂神京子 幼稚園から一緒にいる。
「からかわないでょ!恥ずかしかったんだから」
プイッと顔を背けた。
「で、一体どんな夢だったの?」
「それが覚えてないのよ…。
でも、凄く大切だった様な…
懐かしい感じがしたんだよね。」
《2‐A 御子柴 桜さん5分以内に生徒会室まで来て下さい。
あと、5分以内に来なかったら分かって居るんだろうな》
一体何様のつもりでこんな放送してるのかしら…
「やばい。忘れてた!!
今日は会議があるから放課後すぐに来いって言われてた。
」