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絃ノ匣  作者: しま
第一章 「胴の部」
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幼少時

こんにちは


今日は私の幼少時について、お話したいと思います。


私が言葉を使えるほどに成長すると、周りに質問をしまくりました。町の名前とか、地域とか、物の名称とかとか。現状把握、情報収集だと、周りの大人に聞きまくっていました。ただでさえ、私、妙な気配の子と思われていましたのに、ますます変と思われたみたいです。好奇心旺盛、の域を越えてたみたいですねぇ。そもそも、こちらの私が私を自覚してから・・・その話は後ほどさせて頂きましょう。


「暇ですねぇ」


周りに人はいません。本来なら女中さんがいるのです。実は、着替えやら何やら人に手伝って頂くのは楽だし歓迎したいのですが、常に周りに人がいらっしゃると疲れちゃうみたいです。“こちら”の父に頼んで、女中さんはできるだけ最低限にして頂きました。不慣れながら色々教えて頂いた上で、今に至りますが。


さてさて

現在お天気良好、湿気も少ない。


でしたら


「いいですよ、ね」


常、傍にある相方を持ち上げる。

膝に乗る重み。

布を太ももに置いて、指すりをし、撥を手にして、いくらか音をはじいて。


「いいみたい、ですね」


てぃん、と啼いた。

てぃん、てぃん、と慣らせまして。


「始めさせて頂きます」


べべべん、とね。


さぁ、聞かせて下さいな。


◆ ◆ ◆


指を滑らせ糸を押さえ、また滑らせて。


啼いて啼いて、

さらに高く轟きおののき、

さらに低く


数えれぬ音

元は三弦、三つの糸


はて、どれくらいの時間がたったでしょうか。


べん、と最後の音を叩いて、相方を抱える。

ふぅー、と長く長く息を吐いて、

がっくり、と頭を落とした。


全然、だめです。

まだ追いつけていない。

まだ遠い。

いとましい、うとましい。

指が重い。

まだ慣れないのでしょうか。

それでも少しは、近づけたでしょうか。


そう思いたい。

そう思うこと自体が驕りですか。


「いい顔するじゃあ、ないか」

「………………………………………………………へ」

「やはり、気づいてなかったかい?」

「い、」


いつのまに来やがったんですか。


「相変わらず、弾き出すと周りが見えなくなるねぇ」


あん時から成長していないと、右目が言ってくる。


あー、あー、そうですね。


まったくもう





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