リノベーション担当の女子社員が物件で感じた視線
画像を作成する際には、「AIイラストくん」と「Ainova AI」と「Gemini AI」を使用させて頂きました。
あれは私こと伏山須賀子が、新卒入社した不動産会社での研修期間を終えてリノベーション担当として初めて手掛けた案件だったの。
まだ新しい三階建ての商業ビルは駅からも程近く、軽い改修工事で直ぐに買い手がつきそうだった。
だけどうまい話というのは、そうそうない物ね。
「あれ?おかしいなぁ…」
最初に気付いた違和感は、メジャーで部屋の寸法を測定した後だったの。
図面上の寸法と実際の歩幅が合わないし、タイルの下のコンクリートの厚みも不自然だった。
「うっ…何なの、この視線は?」
極めつけは、無人のはずの室内で視線を感じてしまった事だったの。
それも足元のタイルの隙間からね。
バラバラに砕かれた無数の視線が、足元から私を射抜いて来る。
それは生理的嫌悪感を刺激する、あまりにも悍ましい感覚だったの。
何とか各部屋の測定を終えて帰社したものの、改修案を練るどころじゃなかった。
矢も盾もたまらず上司に相談した所、付き合いのある嵐山の神社の巫女さんに家祓いという体裁で件の物件を見て貰う事になったの。
「牙城大社の巫女さん達には霊感の強い人達も多いからね。何事もないに越した事はないけど。」
恐らく上司としては、彼女達から安全安心のお墨付きを貰いたかったのだろう。
だけど生憎ながら、そうは問屋が下ろさなかったわ。
「伏山さん…これは我々が霊視した写真なのですが、何をご覧になっても驚かないで下さい。」
中学生の若さでありながら大社の次期大巫女として修行中という宮司の娘は、真剣な眼差しと丁重な手つきで封筒を差し出してきたの。
「うっ…!」
開封した次の瞬間、私は思わず息を飲んでしまったわ。
タイルの隙間からはバラバラに砕けた人間の目が覗き、細かく粉砕された人体までもが半透明で浮かび上がっていたのだから。
「我々が霊視した所、無念の思いを抱えた複数人の残留思念が感じられました。タイルの下のコンクリート層の非破壊検査をお勧めします。」
彼女の忠告に従って検査をした所、驚くべき事態が明らかになったわ。
案の定と言うべきか、建材のコンクリートには人骨が混入されていたの。
どうも件の商業ビルの建設に携わった建材会社は商売敵などを何人か殺めていて、高温で焼いた死体の灰をコンクリートに混入して証拠隠滅を図っていたみたい。
幸い件の建材会社は警察に連行されたし売り主のオーナーは何も知らなかったみたいだけど、あの商業ビルが売り物になるのはまだまだ先になりそうね。




