4-1 そして現在に至る
4-3を誤って投降したので修正しました(^^ゞ
用意された屋敷の中で、お洒落な部屋に案内してもらい驚いた。広くてクリーム色の優しい色合いの内装で、公爵家の客室にしては可愛らしい。
「しばらくはここで暮らすことになるでしょうから、居心地の良い空間にって、お兄様が頑張ったそうよ」
「モルヴァン様が? こんな素敵な部屋を?」
モルヴァン様にいったいどんな心境があったのか。守銭奴とまでは言わないが、基本的に余計なものにお金を使わないキャラだったはず。
(新手の嫌がらせがあるとか? うーん、さすがにそれはないと思いたい……)
「ふふっ、お兄様を変えたのは間違いなくミレーヌよ」
(え? 新しい嫌がらせという扉を??)
自分のせいで性癖を歪ませてしまったのかと戦々恐々となるが、エリザベス様にそんなこと言えるわけもなく黙る。
「このまま義家族となるのも良いけれど、伏兵が現れるなんてね」
「???」
「なんでもないわ。お茶にしましょう」
「はい!」
今日もエリザベス様はお美しい。長いエメラルドグリーンの髪をハーフアップにしていて、ドレスは白系で清楚な感じがまた素敵だ。
令佳らしい口調で話したのは最初に名乗った時だけで、以降はエリザベス様の口調で話している。子アザラシは侍女さんに任せて大丈夫というので、お願いしてしまった。
(早く元気になると良いな)
お茶会では季節のタルトと紅茶を嗜みつつ、研究の進捗状況やモルヴァン様から渡された資料などに目を通してすり合わせをしている。現在モルヴァン様は魔法学院の入学に加え、領地視察など公爵と共に屋敷を離れているものの、手紙のやりとりで研究状況の共有を行っていた。
「エリザベス様、理論構築の段階で解呪の糸口が見えてきましたね! やっぱりモルヴァン様は天才です。魔法構築と術式が複雑だからと、大地のエネルギーを基盤として魔法陣を平面ではなく空間上に重ねがけする魔法効果のブースト……これなら!」
「ええ、自慢の兄よ」
エリザベス様のドヤ顔も可愛らしい。滅多にしないけれど、家族のことを褒められると昔からこんな風にまんざらでもない顔をするのだ。そこがいい。
「でも、兄を動かしたのは間違いなくミレーヌ。貴女なのだからね」
「あの場にエリザベス様がいたからこそですよ。本心でずっとエリザベス様を助けたい思いと、現状に板挟みになっていたのだと思うのです」
「この分じゃ、お兄様への思いに気付いていないわね。あとアレの執着にも……うん、気付いてないわ」
「?」
エリザベス様はなぜか苦笑していた。
現在エリザベス様の身体は《黒薔薇の呪い》の痣が薄らとある程度だ。これは私の苔魔法による治癒による結果である。
苔魔法の使い道を見出したモルヴァン様はまさに天才だった。苔を防御とかクッションにするぐらいしか考えていなかったのに、苔の増殖するエネルギーを呪いというエネルギーXと仮定して変換に結び付けただから凄い。
(でも理論は私が昔思いつきで考えたものの延長って言っているけど、魔法術式に書き換えるとか無理)
「ミレーヌの魔法は治癒する相手への思いの強さによって、効果が違うのも凄いと思うわ」
「あー、特異体質だとか言われました」
特異体質。本来魔法を使う時に自身の魔力を使うのだが、私の場合は周りの魔素あるいはエネルギーXを吸収して魔法を展開する。また相手への好感度でその効果に差が出るのだ。
「推しへの愛ですね」
自信満々に告げた。今は推しというだけじゃなく、親友の未来を守りたいという気持ちも上乗せされている。
(タイムリミットは2年弱。でも出来るのなら入学前に解決する!)
ひょんなことで連れ帰った子アザラシと共に、ウィンローズ公爵家での居候を開始。もっともこの時、私の知らないところで一波乱あったらしい。
それを知るのはもっとずっと後となる。
***
転機が訪れたのは14歳の時だった。
モルヴァン様が屋敷に戻り、私の魔法も上達したことで、エリザベス様の解呪に本腰を入れる。理論上は完璧。そして魔法構築における展開も申し分ない。それでも今まで試せなかったのは、私とエリザベス様の身体や魔力量が未成熟だったからでもある。
今回の解呪について知っているのは私たち三人だけ。当初『王家や公爵家にも相談してみては?』と提案してみたが、モルヴァン様とエリザベス様は却下した。
『一人を生かすために国全体を危機に晒される場合、王家としては止めるだろう』と言われたからだ。それ以外にも色々事情があるらしいが、私には伏せてあるっぽい。仲間はずれというより家の事情という感じがする。
「今回の儀式は、あくまでも王家は関与していない非公式ということで、行われるから安心しろ」
(何を安心しろと?)
「ふっ」
モルヴァン様は眼鏡の縁を正し口元を緩めたので、絶対に深く突っ込んではいけない奴だと察する。
(考えればエリザベス様が《黒薔薇の呪い》を回避した場合、この国の予言は崩れる。そうなると国の結界やら諸々支障がでるけれど……)
それをモルヴァン様が気付いていないわけがない。絶対に根回しと手を打っているだろう。大貴族とかの事情などはモルヴァン様やエリザベス様が適任だと思うようにして、私は私の出来ることをしよう。
「ミレーヌ。とりあえず花瓶を持つのをやめて落ち着きなさい」
「……っ、はい」
「エリーこそ落ち着け。先ほどから紅茶を持つ手が震えているぞ」
「モルヴァン様だって、手に持っている本が逆さまですよ」
「「「ぶふっ……」」」
楽しんでいただけたのなら幸いです。
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