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6-3 どうしてこうなったのだろう3


 乙女ゲームとは異なり、予言書には選択肢らしいものはなく王太子ルートのみなのだろう。そのほうが複雑になるよりはずっといい。それに《迷い子(アリス)とワンダーランドの果て》の1周目の攻略キャラを選ぶ際、推奨していたのも王太子ルートだ。シナリオの根幹に触れる部分でもあるからだろう。


「予言のことは転生者(アリス)に話すのですか?」

「いや。変に拗れると困るので称号持ちとだけ。……今代のアリス・エイミスの称号を持つ娘は孤児院育ちで、10歳の時に男爵家の養子になった」

(ふむふむ)

「称号持ちは三つ目の名で生涯名乗り続けるため教会に再登録する。この時に国から補助金が出されるのだが、エイミス男爵はその金を元に事業を拡張。数年前に失敗したことで、ある人物から多額の借金をしていることがわかった」

「そのある人物がカルト教団の幹部だとか」

「!?」


 カルト教団が予言書の内容を知っていれば、その中心人物となるヒロイン枠の転生者(アリス)に目が行くのは当然だ。他の称号持ちとは違ってヒロインは後ろ盾がないし、養子になっても男爵だ。接触しやすい。


「この際、アリスのことは気にしなくてもいい。魔法学院の1年間、カルト教団の起こす問題、そして国家転覆(クーデター)を画策している反貴族連中を一網打尽にして、黒薔薇の呪いを解呪。そして《13番目の魔女》を倒す方法を見つけ出すだけだ」

(やることが多すぎる!)


 ブラットリー殿下はやる気満々のようだ。


「政治関係は殿下と私を含めた宰相(父上)、そして護衛騎士のレフを含めた近衛騎士団たちが行う。ディートハルトとジュラバル令嬢は、学院内で起こすカルト教団の暴走の対処に集中してほしい」

「な、なるほど。適材適所で対応するのですね」

「ああ。それと解呪のため、称号持ちとできるだけ一緒にいるよう学院側にも事情を説明した。……結果、君が聖女候補ということにする予定だ」

「ん?」

「《13番目の魔女》の対峙するに当たって、フィレスタ令息とエリーが国外で活動。そのフォローをユリアン第二王子が対応することになっている」


 配置などは異論はない。しかし途中で聞こえたワードが気になる。


「ええっと、モルヴァン様」

「なんだ?」

「私……が聖女候補……というのは?」

「解呪ができるのだから問題ないだろう?」

「いやいや! 私光属性じゃないですし、それこそカルト教団に目を付けられるじゃないですか! モブな私にはふさわしくない称号なので、全力で回避してください」


 ぶーぶー、と文句を言っていると、モルヴァン様は眼鏡の縁を挙げた。


「エリーの解呪をしただけで、今代の聖女よりも君の価値は貴重だ。その事実を軽く見ているのは君ではないか」

「いや、でも」

「別にハニーを目立たせる必要はないじゃないか。変な信者ややっかみを受ける可能性だって高い。光魔法以外の聖女は前代未聞だろう。それなら隠しておいたほうがいい。教会だって一枚岩じゃないし、聖女が二人も出てくれば色々騒ぐ連中だっているだろう」

「……それはそうだが」


 膝枕でデレデレしていたディートハルトだが、発言だけはとてもまともだった。発言だけは。


「私もエリザベス様以上に目立つよりは、脇役らしく傍に居る引き立て役のほうが喜楽ですし有り難いです」

「……君がそう言うのなら。しかし本当に君は無欲というかなんというか」

「そんなことはありません。エリザベス様のことに関しては貪欲ですよ」

「僕もハニーに貪欲に求められたいな」


 ディートハルト様は膝枕でデレデレしてくる。もっとも私の目には甘えてくる子アザラシの姿と重なったので、いつものように頭を撫でたら正解だったのか喜んでくれた。成人男性にこれでいいのかは正直分からないけれど、本人が喜んでくれているのなら良いと思うことにした。


「それとジュラバル嬢にはディートハルトの護衛とは別で、侍女兼護衛が付く」

「ん?」


 モルヴァン様が懐中時計を取り出して時間を確認していた。あれは去年私とエリザベス様の二人で渡した物だ。私には安物だとか色々言っていたのに、エリザベス様もお金を出したと言ったら掌を返したのでよく覚えている。


「そろそろ時間だ。殿下はレフが迎えに来ていると思うので、先に戻ってください」

「そうか、わかった。……ミレーヌ・ジュラバル嬢、この一年よろしく頼む」

「は、はい」


 ブラットリー殿下は颯爽と去って行った。この後、私たちも移動となるのだろう。そうじゃないと困る。監禁は嫌なのだ。


(とりあえずそろそろ鎖を外してほし──)

「今日から僕との同棲生活。楽しみだねぇ、ハニー」

「そうで──ん!??」


楽しんでいただけたのなら幸いです。

下記にある【☆☆☆☆☆】の評価・ブクマもありがとうございます。

感想・レビューも励みになります。ありがとうございます(ノ*>∀<)ノ♡

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