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ヘスペリデスの黄金の林檎  作者: ful-fil


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8/30

ヘスペリデスと不和の女神

 ここはヘスペリデスの園。

 女神ヘラが植えた黄金の林檎の木がある神々の果樹園である。

 百頭怪獣ラードーンと共にヘスペリデス姉妹が守っているのだが、訪れる客によっては林檎を渡すこともある。



「エリリンひさしぶりー」

「エリリンて呼ぶのやめて」

「なんでー? 本名エリスなんだからエリリンでいいじゃん」

「馬鹿っぽいから嫌。そういう軽いノリが似合うキャラじゃないし」

「あっはっはー。エリリン陰キャだもんねー」

「だからエリリンて呼ぶなっつーの。しつこいとあんたのこともグレぴって呼ぶわよ」

「グレぴはやめてー。大体誰が言い出したんだよ、人のことグレてるみたいな呼び方で」

「あんたの妹でしょ」

「ロペりんかなー。大体アイグレーなんだから『アイ』で切ればいいじゃん。なんで『グレ』で切るんだよ。おかしいじゃん」

「アイリカーと紛らわしいからでしょ。それよりあんたたちゼウスに反抗してるらしいじゃない。使いに傷物林檎持たせたんだって?」

「持たせたよん♪」

「なんで嬉しそうなのよ。罪悪感ゼロね」

「うん♪」

「はあ…いい度胸してるわ」

「どうせあのジジイに林檎届けたってロクな使い方しないんだし。ヘラ様のご指示だし? なんならヘスペリデス対クソジジイで戦争したっていいんだよ。やってやんよ?」

「そういうこと思ってても口に出さないの。第二次ティタノマキアとかシャレにならないわよ」

「クソジジイの味方に付きそうなのは脳筋アレスとパシリと他に誰がいる? アポロンはアルテミス様がこっちに付けば動けないでしょ。引きこもりヘパイストゥスはアフロディーテ様が抑えてくれるね。ヘラ様はこっちの味方だし、アテナ様にも林檎に『貴女が一番美しい』って書いてプレゼントすれば」

「あーあー! 聞こえなーい! なんにも聞こえない。人の黒歴史なんかつついても無駄無駄無駄ぁ! なんにも聞こえないんだからね」

「お見事な逃避っぷり。一応、黒歴史だと認識してるんだ」

「恥じてはいるけど反省はしてない。女にはね、馬鹿なことだと分かっていてもやらねばならない時があるのよ」

「なんとなくかっこよさげな言い方してるけど、パーティーに招待されなかった腹いせだよね?」

「だってあの女、それまで結構仲良くしてたのに、自分だけ先にゴールインしたかと思えば結婚披露宴に招待無しよ? 私は友達じゃなかったんかい!」

「うーん、陰キャに気を遣ったのが裏目に出たのか、元々の性格か。そこは招待しといて欲しかったよね。当日ドタキャンするにしてもさ」

「そうよ! 出席するかしないかは私に選ばせるべきだったのよ! そこを不義理されたから黄金の林檎を投げ込んでやったのよ! 想定以上の大騒ぎになったけどね!」

「『最も美しい女神に』って書いといたんだっけ? そんなもん結婚式なんだから花嫁に持たせてあげればよかったのに」

「そう、私も多少もめても『結婚式なんだから花嫁さんが一番美人ということで』って表面上は丸く収まると思ってた。そうならなかったから驚いた。あれって私の神としての力が働いちゃったのかな、無意識に」

「だとしたらものすごい女神パワーだね、エリリン」

「エリリンて呼ぶなっつーの。自分の力が強すぎて地上に戦乱を招いたかと思うと…」

「思うと?」

「笑いがこみあげてくるのを抑えきれないわ。くっくっく、思い知ったか愚か者ども」

「悪役だ、悪役の笑いだよそれは」

「どうせ私は悪役よ。紀元前から悪役街道一直線よ。今更気にしないわ。最近は悪役令嬢が流行りらしいし」

「エリリンでも漫画やラノベ読むんだー」

「エリリン言うな。まあ仕事の合間にたしなむ程度にね」

「最近どんな仕事してんの?」

「探偵やってるわ。トラブル・イズ・マイ・ビジネス。私立探偵不破エリカ、浮気調査はお任せください」

「依頼人必ず離婚しそうだねー」

「くっくっく、カップルなんか別れりゃいいのよ」

「やな探偵だなー。それでエリリン、今日は何しに来たの?」

「エリリン言うな。林檎貰いにきたのよ。はい、これ、ヘラの許可」

「どれどれ。…ん、OK。じゃあここで待っててね」



「はいどうぞ。大きいの取ってきたよー」

「ありがとう。貰うわ」

「ところでこれ何に使うの?」

「いけすかない女が結婚するっていうから、サプライズで贈ってやろうと思って」

「またあれやんの? やめときなよ二番煎じは」

「やらないわよ二番煎じなんか。今回添えるメッセージはこうよ。『新婦と最も最近寝た男性に』」

「うわ、なにそれ」

「くっくっく、さあて新婦の視線は誰に向けられるかしらねぇ。楽しみだわぁ修羅場」

「悪役だ、悪役がいるよ」

「結果が出たら報告するわ。林檎ありがとね」

「趣味わるーい、でも聞きたい。またねー、エリリン」

「エリリンて言うな」




 ヘラが許可すれば林檎は渡す。

 たとえ戦乱のきっかけになろうとも。

 人間界が大荒れしてもヘスペリデスは気にしない。

 むしろ楽しみ?



「戦争は娯楽だよねー」

最後の一行で不謹慎なセリフがありますが、作者の思想ではありません。元のギリシア神話では不和の女神とヘスペリデス姉妹に接点はありませんが、本作では交友があるという設定です。最後の一行みたいなこと思ってる奴だから不和の女神とも仲良しなのでしょう、きっと。

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