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ヘスペリデスの黄金の林檎  作者: ful-fil


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19/30

騒然!! 迫る危機の予感

本作に登場するギリシア神話の神々の性格設定はful-fil(私)による創作です。また、ゼウスの性格描写についてはヘスペリデス姉妹の偏見が多分に含まれております。

「落ち着くのよ!」


 ここはヘスペリデスの園。

 女神ヘラが植えた黄金の林檎の木がある神々の果樹園である。

 その清々しい空気を切り裂く大声はヘスペリデス姉妹の一人、水色の髪のリパラーが発したものである。

 叫びのきっかけとなったのは、闖入者ダイダロスがもたらした一報であった。



「落ち着くのよ! 騒ぎ立てて時間を無駄にしている場合ではないわ! こういう時こそ冷静に! 沈着に! 理性的に! 落ち着いた行動を!」

「おまえが落ち着け」

「Ouch!」


 トン、とアイグレーがリパラーの脳天に手刀を落とした。

 リパラーは大げさに頭を抑えてよろけて見せる。

 いたたた……とうずくまるリパラーを慰めるヘスペリエーと適当になでなでしてあげるアステロペー。

 小芝居に反応せず無視しているクリューソテミス、アイリカー、ヒュギエイア。

 アイグレーはその中からクリューソテミスに会話を振る。


「で、そのダイダロスっておっさんが言ってるコロニー落としの陰謀は事実なのか?」

「判断材料が足りない。出まかせを言っているようには思えないが、内容が内容だけに荒唐無稽とも言える。宇宙基地をオリンポスにぶつけるなど、前代未聞だ」

「確かにあたしらじゃ真偽の判断ができないな。となるとヘラ様に報告するか」

「ちょっと待って!」


 黒髪のヘスペリデス、呪詛が得意なアイリカーが待ったをかけた。


「思ったんだけど、ヘラ様にストレートに報告したら、そのまんまクソジジイに伝わるんじゃない? でもってクソジジイのことだから、宇宙基地が落とされる計画があると知ったら『先に宇宙基地を潰しとけば落ちてくるものは何もなくなる』とか言って、宇宙基地に雷ぶち込むんじゃない? パパがいる宇宙基地に!」

「「「「「「ある!」」」」」」


 一同騒然となった。


「あいつならやりかねん!」

「きっと基地職員に退避する時間も与えないわよ!」

「人員ごとぶっ壊して、後から『惜しい人を亡くした』とか言うんだぜ!」

「惜しむフリもしないだろう」

「旧派閥の勢力を一掃出来て清々しい顔で笑ってそう」

「『テロリストに乗っ取られたという情報を受けて今から宇宙基地を破壊する。乗組員は3秒以内に退避せよ。……3・2・1、はい時間切れ。ドッカーン』とかやりそうだよね~」


 クソジジイに知られてはならない。

 七人姉妹の心は一つにまとまった。


「オリンポスはぶっ潰れてもいいが、パパを死なせるわけにはいかん!」

「ヘラ様とその他数名は死なせたくないけど、クソジジイは死んでもいい」

「まずパパの安全を確保した後に、ヘラ様と他数名の安全を確保だな」

「パパの安全を確保するためにはクソジジイに知られないように動かないとね」

「ヘラ様には事後報告? ていうかある程度、真偽を確かめてからの報告でいっか」

「宇宙基地に警告を発しつつ、独自に調査も進めていくってことでいいんじゃないかな~。秘密を洩らさないと確信できる相手にだけ協力を求める感じで~」


 方針が固まっていく。

 そして。


「秘密を洩らしそうなやつは放置しておけないんだよね~」


 勢いよくドアを引くと、耳をくっつけて立ち聞きしていた人物が転がり込んできた。

 クソジジイのパシリことヘルメスである。


「……あ~っと、皆さんお元気そうでお日柄も良く」

「聞いてたよね~」

「……おう、聞いてたよ。悪いかよ。珍しく門前に誰も立ってないから不審に思って様子見に来たら、物騒な会話が聞こえてくるじゃん。これって重大なテロ情報だからね。黙っとくわけには……って何すんだよ!?」


 リパラーとヘスペリエーが手際よくヘルメスを取り押さえ、縄で縛りあげ、ぽいぽいと身ぐるみ剥いでいく。

 翼の生えた兜、翼の生えた靴、翼の生えた杖、スマホ、タブレット、腕時計……。


「悪いわね。情勢がはっきりするまで大人しくしといてもらうわ」

「通信されそうなアイテムは預かっとく。解放する時に返してあげる」

「だからって靴まで脱がす!?」

「発信機とか仕込んであるかもしれないから」

「服は勘弁してよ!? お婿にいけなくなるだろ!」

「あんたを婿に欲しがる女はいないと思う」

「私たちだって脱がせたいわけじゃないのよ。仕方なくやってることなの。わかってくれるわね?」


 ヘルメスは下着姿にされ、ダイダロス&イカロス親子が閉じ込められているのと同じ場所(物置)に放り込まれた。


「痛ってーな! 覚えてろよ!」

「やあ、お客人。貴殿も捕らわれの身ですかな?」

「仲間が増えましたね、父さん」

「なんか緊迫感の無さそうな親子だな。しょうがねえ、話聞かせろや」


 物置で密談する男たち。

 それを尻目に動き出すヘスペリデス姉妹。


「「「「「「「パパを助ける!」」」」」」」

忘れかけてましたが、ヘルメスはヘスペリデス達の甥っ子です。異性扱いではなく子ども扱いなので、脱がすのにためらいがありません。容赦のない叔母さんが7人も。怖いですね。

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― 新着の感想 ―
 コレ読み始めてからギリシャ神話が気になったので、ギリシャ神話の漫画買って読んでみたら、ひどいのオンパレード。すてきなひどいがたくさんありました。 (ヘスペリデスのことは書いてなかったけど)  そし…
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