Episode1 異世界からの帰還者
皆様お久しぶりです。
ずっと物語は書いていたのですがPCの調子がマジで悪いのでスマホで投稿しながらまったり物語を進めていきます。
「ただいま帰りました……」
5年ぶりに帰ってきた実家に俺、夢咲恵吾は緊張しながら玄関の扉を開けた。
「えっ……あんた……恵吾なの?ちょっと皆!恵吾が生きてるわ!」
呆然とした顔で俺を見つめる母。
にしても、生きてるとは穏やかでは無いな……。
「お兄ちゃん!15年もいったい何処に行ってたのよ!」
母の声に妹が家の奥から飛び出して来て怒鳴り声を上げる。
「えっ?15年?」
どうやら俺は異世界で5年過ごして戻ると、地球では3倍の15年が過ぎていたようだ。
この後、我が家では行方不明になっていた長男である俺について家族会議が行われ大騒動になるのだが、それについては後程語っていくとしよう。
〜5年前
俺が二十五歳の時の話である。
地方の小さな町で生まれた俺は、別の土地への憧れは持っているが移り住まないといけない理由もタイミングも勇気もなく公務員として町役場に勤務していた。
「おじいちゃん、今日も来たの?」
なんて毎日のように世間話にくる人たちの相手をしながら、まったり書類作成や整理をする毎日……時にトラブルも刺激もない生活をしていたのだった。
とある日、俺は上司に言われて比較的若い職員たちと一緒に、暑さの厳しい夏場の真っ昼間にも関わらず役場周辺の除草作業をしていたのだが……。
「なんだこれ!?」
なんて言っているうちに足元に突然現れた光の渦にのまれ異世界へと拉致されたのだった。
こうして異世界へと喚ばれた事を神様が言うには……。
曰く、言語翻訳と収納空間のスキルを加護として与えられたらしい。
曰く、世界を破壊しようとする不埒な輩たちが存在するらしい。
曰く、その者たちはとある国家を乗っ取って世界規模での戦争を起こそうとしているらしい。
曰く、異世界からの来訪者は魔力がとても高く優秀なのだから戦力として喚び出されたらしい。
曰く、その不埒者たちを倒せば元の世界へと帰らせようとの事らしい
曰く、平和になれば願いを1つだけ叶えてくれるらしい。
という事で連れて来られたのだが、魔力は異世界の神様の思惑通り桁違いに多い事が判明。
しかし、俺に魔法の才能が全く無いらしく攻撃魔法も回復魔法も全く使えなかったのだ。
つまり、広域殲滅能力の全くない俺では戦争に直接役に立たないと判断されたのだった。
「あんた……信じられない程使えないわね」
なんて言われながら神様に地獄のような訓練を課せられ、なんとか習得出来たのは肉体強化の魔法だけだった。
それからは高い身体能力を駆使して重い建材を運び、見張り台やキャンプ地を組み上げていく工兵として働かされたのだった。
「もう嫌だ……」
と口癖のようにこぼすが、神様に頼るしか帰る方法がない為に一所懸命働き続けた。
時には優しい戦友たちに、
「可愛い女の子紹介するから」
と励まされ、
「ほら、可愛い女の子だぞ!おれの娘だ!」
と幼女を紹介されて発狂したり、
「おにいさん、サービスだよ」
と色仕掛けされて財布を抜き取られて泣き崩れたりと、楽しく?生きていた。
そんな生活が3年が経とうとしていた頃、勇者を自称する異世界から連れてこられた男が現れて神様の言う不埒な輩たちとの戦いは優勢になっていき5年が経った頃、不埒者たちは自称勇者たちによって殲滅させられたのだった。
終戦直前に知ったのだが不埒者なんて呼ばれていた人たちは、今世界を運営している神とは別の神様の信仰者だったらしく、主神の座の交代を画策していたらしい。
つまりのところ主神の座を奪取されない為に俺たちは異世界に喚ばれたという事だった。
それまでは不埒者の廃除を達成した時に叶えてくれるという願い事も神様にあんまり無理な事を言うのは……という雰囲気があったのだが、
「あの神に遠慮なんて要らねぇな」
「ケツの毛まで毟り取ってやる!」
などの声が大きくなっていた。
結局、神様の言う不埒者たちの廃除を達成した俺たちは報酬としてではなく賠償の意味合いが大きな願いをそれぞれ突き付けて元の世界へと帰還したのだった。
んっ?俺の願い?些細な事だよ?
「異世界で身に付けた力をそのまま持ち帰りたい」
そもそも元の世界へと戻る時には怪我などがあっても来る前の元々の肉体で帰されるという話だったが、俺はそれが気にいらなかった。
「5年もの間死ぬ思いをして色んな経験を乗り越えて手にした力を手放せと言う気か?」
と言うと神様は、
「君たちの力は私の権能や力の一部を使って身に付けてさせている。返して貰わないと困るのだ
!」
と拒否する姿勢を見せるが、
「あんたみたいな神様が人に渡した力が戻らないような手を打つわけ無いよね?どうせ時間があれば元に戻るような力で、回収出来るなら幸運って感じなんだろ?」
と問い詰めと神様の目は一瞬泳いだのを俺は見逃さなかった。
「やっぱりか……」
「私は何も言っていないではないか!」
明らかな動揺を俺は完全に無視して言いたい事を続ける事にした。
「因みに帰ってから俺や周囲の人に干渉したら許さないからな」
なんだかんだで願いという体裁で言った俺の要求は通ったのだが、他の自称勇者たちは俺以上に過度の要求をしたせいで揉めに揉めていたようだが他人事なので放っておいたのだった。
『田舎のホームセンター男の自由な異世界生活』累計150万部突破したらしいです。
少年エースで連載中の古来歩先生の描く漫画も宜しくお願いします!