ポンニチ怪談 その60 Gミサイル
ミサイルで破壊されたかのように崩れ落ちるニホン国与党ジコウ党会館。しかし、どこからの攻撃からか、全く不明で…
「ま、また、崩れました!この国の、ニホンの首都で、政府与党の、じ、ジコウ党の本部であるジコウ党会館が、こ、攻撃を受けております!」
ジコウ党会館の目の前で、落ちてくるコンクリートの塊をよけながら公共放送INUHKのアナウンサーが絶叫する。
建て替えたばかりの高層建築のビルは無残にもところどころに穴が開いている。国民から吸い上げた分だけ高くなったといわれたその上層階はものの見事に吹き飛び、その姿はアメリカの9・11のツインタワーを彷彿させる。
崩壊する建物から逃げようとするジコウ党議員やその関係者たち。閣僚や党の重鎮やら、末端の職員らが我先にと一階の自動ドアに殺到するも、壊れていて開かない。ガラスを叩くもの、ドアをこじ開けようとする者もいたが、逃げようとする人々に押され身動きが取れない。なんとか外に出ようとしてもがくジコウ党の人々。
だが…
「た、たった、いま与党ジコウ党会館が、か、完全に倒壊しました!」
轟音とともに崩れ落ちる建物
阿鼻叫喚の叫びをあげる人々
悲鳴をあげるINUHKのスタッフたち。
「ひいい!霞が関ビルや、お台場のフジサンテレビ、わがINUHK、そしてジコウ党本部まで破壊されたというのに、な、なぜ、誰も、どこも助けてくれないんだ!」
アナウンサーの叫びが虚しく空に響き渡る。雲一つなく、何の影すら見えない晴れ渡った空に。
『今度はジコウ党会館だそうです』
首都の西寄りにある某基地では、駐日軍の将校が上官に報告をしていた。
『また、謎の攻撃とやらか。旧財閥系の本社ビルやら、官僚どものビル、政府利権の広告会社や癒着したマスコミの本社、ついにはジコウ党の総本山か』
『例のごとく、我が国の軍を出せと喚いておりましたが』
『現総理も瓦礫の下敷きかな、今頃は。しかし、いくら要請を受けても、存在しないものを攻撃はできまい』
『は、今回も何の物体もレーダーにとらえられませんでした。目視でもミサイルなどは確認できず、いきなりビルに穴が開いたと』
『老朽化したビルなら、突然、倒壊することもありえなくはないだろうが。複数の、しかも新築のビルまでそのありさまとは』
『まるで、ミサイルのゴーストに破壊されたという噂まででています』
将校が苦々しい様子で言うと
『ゴーストミサイルか。確かにゴーストだな。影も形もないのだから。』
『それでも、建物が次々に破壊されています。何の兆候もなく、いきなりで、防ぎようがありません。ニホン国政府の与党、官僚や彼らの関係者は怯え切っていました。もっとも、大企業だのマスコミだの以外の、住宅地などには被害はほとんどないようですが』
『被害があったのは、ジコウ党のアベノノ元首相宅だの、ジコウ党関係者や、癒着した大企業やマスコミの役員、あとは御用学者だのとよばれている奴らの家だろう』
『はい、狙ったように正確に破壊されているそうです。とはいえ、破壊したのがなんであるか不明です、痕跡がまるでない、ですから』
『ゴーストなのだろう。ジコウ党とその関係者だけ狙う、ゴーストミサイルか。ある意味、あのジコウ党どもの最後にふさわしいかもしれん。落ちもしないミサイルに対し、役にもたたない警戒システムを作って税金を無駄遣い。さしたる脅威もないのに、防衛費をあげて、あいつぐ増税で国民生活は破綻、一気に落ちぶれた。まあ我が国にとっては武器の購入だので良い面もあったが、基地周辺やらそのほかの治安の悪さを考えると素直によろこべんよ』
『貧困による治安の悪さは我が国でも改善すべき問題ですが、ニホン国は政府自体がそれに取り組まず放置というか、目をそらしているようにみえます』
『自分たちが自慢できるような派手な武器は買うが、地味だが必要なものを買わない、都合のいい妄想に浸り、退屈な現実問題から逃避する政府か。ある意味ゴーストミサイルで潰されるのにふさわしいかもしれんな。基地や我が国の兵士に被害はないんだろう』
『はい、オダイバなどでビルの倒壊を目にしたものはいましたが、まったく。留学生なども無事です、ほかの国も、そしてニホン国の国民も、ジコウ党関係者はのぞいて、ですが』
『ならば、放っておけ。謎の自然現象、ニホン国の最近の建造物は奴らの政府特有の中抜きとやらで実はハリボテだったとでも、しておけばいいだろう。どうせ、あんな腐りきった政府の奴らは我が国のためにもならん。あいつらがいなくても、いないほうがいいだろうニホン国も』
『幸いといいますか、ニホン国の野党議員だのが、残っております。メイジの党だの、ミンミン党だのジコウ党と手を組んだ奴らは壊滅状態ですが』
『少数だが骨の有る連中はいるんだろう、ならいい。だいたい在りもしない脅威にどう立ち向かうんだ?ジコウ党の連中みたいにムダ金を使って防衛するフリなんぞ、我が国国民は許さんぞ、そんな愚かなことはやる気もないしな』
「ひいい、ま、また攻撃がああ、今度は議員会館がああ、誰か助けてくれ、ど、同盟はどうなってるんだああ」
避難した生き残りのジコウ党議員が空を見上げて叫んでいる。
影一つもみえない澄み切った冬の空から、彼らだけを標的に何かが飛んでくる…
どこぞの国では国民が値上げ他に苦しもうとパンデミックの対策余剰金までも防衛費に回すのだーと政府が息巻いているらしいですね。国民飢え死に武器買いこむ、って誰を守るつもりなんですかねえ。さすがに支持率下がってるらしいですが、マトモに国民を幸福にする気があるんでしょうかねえ。