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僕の大好きな幼馴染

6月23日 バースデー

作者: 愉香

さかき美織みおり 5歳


はぁ…。


私はベッドの上で溜息をついた。


6月23日  今日は私の誕生日…。


なのに… 何だか息があがって苦しくて 幼稚園をお休み…


最悪な気分だった。



私はお誕生日が大嫌い…


普通はね、嬉しい筈でしょう?


プレゼントを貰えて、おいしいご飯が出てきて、ケーキが食べれて… 


ね? 今聞いただけでも、すごく嬉しいよね!


でもね、この嬉しい出来事を全部帳消しにする事があるの…。


それは…


うちの家のお隣に住む、廣澤ひろさわしゅうくんのセイ…。


秀くんは同じ年で、同じお誕生日なの…。


秀くんは活発で、いつも友達と園庭を 駆け回っていて、いつも笑顔。友達も沢山いる。


だから、具合が悪くなってすぐ幼稚園をお休みしちゃう私の気持ちなんてわからない。


私だって本当は…秀くんみたいに元気な子でいたいのに…!


そんな私と真逆な秀くんは、ムカつく事にパパのお気に入り…。


パパは秀くんに会うとすごく嬉しそうに、すごい笑顔になる。

しかもね、お誕生日プレゼントはもちろん、クリスマスとか、お年玉とかまであげちゃうの…!


秀くんもうちのパパが大好きで、本当に嫌…!


私のパパなのに…

ふたりで遊びに行ったりもするの…。


パパは… 

こんな体の弱い私なんかより秀くんの方が好きなんだ…。


秀くんがきらい…


私のやりたい事、好きなもの

全部とっていく…


楽しいはずのお誕生日やクリスマスでさえ…


秀くんが全部 奪っていく様に感じるの…




トントン


部屋のドアをノックする音が聞こえて、ママと秀くんの声がした。


私は布団を深く被って寝たふりをする。


「みおちゃんのママ… みおちゃん、大丈夫?」

秀くんが私を心配する声がする。


「大丈夫よ。寝てれば少し、元気になると思うの…。」


それから秀くんは私の頭に手をおいてよしよしする。


「みおちゃん 元気になったら一緒にケーキを食べようね?ぼく、みおちゃんが元気になるまで食べないで待ってるからね…。」


そうして2人は部屋を出て行った。


何よ! ケーキ 食べればいいじゃないの…


私は秀くんに悪態をつきながら布団から起き上がる


パラッ… と 何かが落ちた。



それは秀くんが 描いた 絵


にこにこした髪の長いりぼんをつけた女の子の周りにお花がいっぱい描かれてた。


みおちゃん だいすき

おたんじょうびおめでとう



何よ… こんな絵… !


そう、思ったのに…


なんで? 涙が出てきた


「…っ ふ…っ」 嗚咽が漏れる と


突然 部屋のドアが開いた。


「…み、みおちゃん?」


秀くんが青ざめた顔をして走ってきた。


それからぎゅっと私を抱きしめる。


「どうしたの? どこか痛い? 怖い夢みた?」


私は秀くんに抱きつかれて固まった。


「…痛くない。 大丈夫…」


「本当?」 秀くんが心配そうに顔を見てくる。


私が頷くと にっこりと笑った。


「 ?! /// !!! 」


私は秀くんの笑顔に照れてしまった。


大嫌いな秀くんの笑顔に…


敗北感を味わう。


だから 秀くんは嫌い…


この笑顔で、私を だいすきだよ って言う。


私は 心のどこかで それを 少しだけ 

本当に 少しだけ… 嬉しい と思ってしまう。




秀くんには 何も 敵わない…


お誕生日の 生まれた時間さえも 

秀くんの方が早い。



本当は、私が先に生まれるはずだったのに…



外の世界を躊躇う私に 秀くんがにっこりとして言った。

『みおちゃん、怖がらなくて大丈夫だよ!僕が先に出るから! 外の世界で 待ってるね!』


そうして秀くんは 朝の7時台に… 

私はその様子を見守ってから お昼に生まれた。


新生児室でも隣だった。



もういい加減、私の隣から離れてよ…!


そう、思うけど 


やっぱり 


秀くんが隣にいないのは不安…。




私は観念して、言いたくない言葉を口にした。


「秀くんもお誕生日だよ…。おめでとう。」


秀くんはちょっと驚いた顔をした。


私は秀くんが嫌いだから普段はあまり秀くんに喋らない。


今日だけ トクベツ !

お誕生日だからね…


「みおちゃんも お誕生日おめでとう! だいすきだよ!」


私はため息をついた。


だから…そういうの 要らない… ///


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