二 私より美しい娘
「アリエ様、良くないお知らせがあるのですが?」
「どうしました? 今日は楽しい舞踏会だと言うのに悪い知らせですか?」
「その舞踏会にクライス卿から出席出来ないと連絡があったのですが?」
「どうして? クライス卿もあれほど楽しみにしておられたのに?」
「実は言い難いですが、アリエ様より美しい少女が現れたと巷の噂です」
「えっ! そうですか。その子が住む場所と名前は判るのですか?」
「はい、西方の部族のシシイノ族の首領の娘でシーランと言う名前です」
「その子も踊れるのですか?」
「はい、西の山に日が沈み山が黒い影になり、山の上の空が赤く染まり、
その時にカラスが(カアー カアー)と鳴くと踊りを始めるそうです」
「鳴かないと始めないのですか? それとクライス卿が来ない理由と
関係あるのですか?」
「始めないようです。クライス卿はシーランの舞踊を見たくてその地に
留まっていて来られないようです」
「誰かをそこに派遣して下さい。話が本当ならその子を宮廷に連れてくるように
手配して下さい」
「はい、わかりました」ハモンドは小さい体で大きな扉を開け出て行った。
(クライス様が来られなくても、あと二人の花婿候補がおりますから少し残念
ですけど舞踏会を楽しみましょう。でもどのような女の子でしょう?)
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