8年目の11月1日 ②
必中距離だったのに…
美味しそうな猪だったのに…
トリガーのガク引きか?
それとも力んだか?
なんにせよ、撃って外した事には変わりない。
近くの他の獲物も多少は散ったかな。
予定していた、道を歩きだす。
どうせ、出てこないだろうから普通に歩く。
落ち葉が、サクサクとなる。
新そうな獲物の足跡もある。
少し歩くと、登った方とは逆側の川からの獣道と交わる所に到着するも、気配なし。
そりゃそうだ、さっき撃ったばっかりだし。
そこから、また尾根にそって登る。
出会いの実績はあるものの、射線が通りにくいので撃たないと決めているので、銃は背負って登る。
去年は山鳥もいたっけ、カレンダー持ちの。
もう一週間早ければ、炊き込みご飯に出来たのに。
少し開けた所に出る、そこには大きなヌタ場がある。出会った事はないけど、痕跡は多い。
あてにした事はないけど、木に付いている泥が乾いてないと期待してしまう。
そろそろ、出会ってもおかしくはないので、足音を立てず、ゆっくり歩く。
数歩歩いては止まって周りを見る。
また、数歩歩いては止まって周りを見る。
いない、杉林なので結構見通しが良い。しかし実績があるので、気が抜けない。
結局、出会いはなく待ちのポイントに到着する。
尾根の両側の川に鹿が、朝の水飲みからの帰り道として通る所だ。
片方はススキ原、もう片方は杉林。どちらもかなりの実績があり、見通しが良いので撃ちやすい。最大で70m程で獲物のが止まりさえすれば、確実にバイタルに叩き込める。
リッュクを下ろし、イスに座り、バイポッドをたててデコックしてから銃を横に置く。
イヤマフもしてるし、いつも気配を感じるので大丈夫。
スマホを取り出しココアを飲み、ネット小説を読みつつ、獲物を待つ。
やっぱり、先程のミスショットが気になりドットサイトを見ると、ネジが緩んでる。
そりゃ中らないわなぁ、単純な整備不足だ、ドットも点滅して何やら怪しい。
まさか、やっちまったか?まだ、このドットサイトでは一頭しか獲ったことないのに…
しゃあない、とりあえずスコープはあるし大丈夫だろ。
気をとりなおして待つものの、偶にススキが揺れるが風か小鳥で鹿は登って来ない。
そんな風に、待つこと30分くらいか
ふと顔を上げると、5m先に瓜坊がいた。