8年目の11月1日 ①
11月1日、8年目の猟期がようやく始まった。
やっぱり、初日から獲りたくていつもの山に、いつもの装備で。
まあ、初日だからルートの整備がメインになるとは思いつつ。
それでも、やっぱり獲りたい初日。
昨夜はいつも通り、期待で眠れなくて11時に家を出て猟場の目の前で車内泊。
だんだん明るくなるにつれモゾモゾしながら起き出す。
窓ガラスは結露で曇って、ほとんど見えないけど辺りには何も居ないようだ。いや、居ても困るんだけど…
とりあえず、用を足すために水筒から水を口に含んで車外へ。
赤紫の空の下スッキリしたら、猟装に着替える。
まだまだ暖かいので、インナーと長袖のシャツのみ。
シャツはシャツでも狩猟用のオレンジカモのヤツだけど。
BDUを履き、登山靴を履く。ニーパッドをしたら、ダニ避けスプレーを下半身に。
昨夜買った食料をリュックに入れて、タクティカルベストを着る。
後は、帽子とか双眼鏡とかイヤマフを装着。
手袋を間違えて右と右で持ってきてしまっていた。
初日からガッカリしながら、とりあえず車内にあった適当な手袋をはめる。
そうこうしていると、空もだんだん明るくなってきた。
ふと、時計を見ると日の出は過ぎてる。
よし、撃てるな。
車から銃を出して
さて、登りますか!
道から外れて少し歩いてから、カバーからサベージを取り出してドットサイトのスイッチを入れる、朝一出会いもあるので、マガジンに弾を込めておく。
どうせ、先に気付かれるのは分かっているけど。
少しといっても15m程だが進むと、1m程の草が生えているので剪定バサミで切りながら登っていく。シーズン初めはしょうがない、何度か来れば歩きやすくなる。
とは言うものの、草むらを過ぎれば急斜面。
上を見るも、出会いなし。
しかし、その先か反対に居るかもしれないので、ゆっくり登る。
尾根に着くと一休みして、息を整え体を冷やす。
暖かいとはいえ、汗をかくと止まった時に一気に冷える。なので、息が上がらない様、汗をかかない様にゆっくり登る。
しばし、休憩しているとカサカサと落ち葉の音をイヤマフがひろう。
獲物か?小鳥か?
始めは聞き間違いか?と思ったけど、まだ音は続いてる。
ゆっくりと薬室に弾を込め、射線を広く取れる所に少し移動して膝射で待機する。
だんだんと音が近くなる。
鳥じゃないな、猪か?鹿か?
木立の向こうに影が見えた。
小さいな、猪か?ここじゃアナグマは見たことないし。
待ち構えていると知らずに、獲物は近づいてくる。
猪だ!15キロくらいの美味そうなヤツ!
フフフ、距離は20m程、近距離用のドットサイトの出番だ。
さ、止まれ、止まれ……
タァン!
スタタタ…
あっ、うそだろ…今ので外すの…
撃った所を確認するも、血痕なし。
マジかー、