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神守君とゆかいなヤンデレ娘達  作者: 田布施 月雄
第4章 礼治のお買い物
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第8話 放送当日(中編)

 テレビ局に着いた。

 僕らは受付で待っていたディレクターのお姉さんの案内で楽屋に向かう。

 通常楽屋は端役などのその他の出演者が使う「大部屋」、主役や大物出演者が使う「小部屋」があるのだが、テレビ局にはそう言うのはない……とネットの知恵袋的なサイトに載っていた。

 まぁ、うんちくは置いておいて……

 僕らは楽屋に向かう途中、河輪田明穂と記された紙が張り出されていた。

 ここがばあちゃんの小部屋というか控室である。


 「あっ、すいません。ちょっとばあちゃん――いや河輪田に挨拶していいですが? 先に挨拶だけしておかないと色々と面倒なので」


 案内役のお姉さんは『面倒』の言葉に理解を示したようで「そうですね。でも細かい打ち合わせは後にして下さいね」と快く承諾してくれた。

 一応、一緒に連れてきたクリオ達に一声掛けて、河輪田のドアをノックした。


 「失礼します。神守礼です」


 こういう礼儀に関してばあちゃんは非常に五月蝿い人だ。

 『どうぞ』の声を確認しないで部屋に入ろうものなら、そのあとが大変である。

 ドア向こうから「礼かい? 入んな」とお招きの声を確認したので中に入ると、一言で纏めるなら室内で予想外な出来事――もっと砕けた言い方するならちょっと理解に苦しむ様なエライこっちゃの状況が繰り広げられていた。


 先ず、室内中央に男性がこちら側に背を向け椅子に座らされていた。

 鏡越しにその男性を確認すると、見覚えのあるおっちゃんで僕に気付くことなく目が点になって放心状態である。

 次に、おっちゃんの正面にはタバコを豪快に吸っている見慣れた女性がジロッと男に圧を掛けている状況があった。

 トドメに、その女性の脇にはテレビではおなじみのあの歌手が何かを咥えたままソファーにあぐらを掻いて座っている。

 その歌手というのは松山セイラのことだ。

 彼女もかつての、『アイドル』だ。

 今でこそキャピキャピ感は出していないが、テレビに映る彼女は品の良い奥方様という感じは醸し出している。

 うーん、そのはずなのだが……目の前にいる彼女はとてもそうには見えない。

 彼女が咥えていたものはスルメである。

 実にオッサン臭い。

 オマケにクチャクチャと音を立て、何気にこちらを凄く睨んでいる。

 

 「誰だぁあ、この坊主。どこかの新人か?」


 ――っていうか眞智子、いや眞智子の母である小野乃マイコをさらにガラを悪くした感じの女性である。


 「あぁ、そいつは私の孫だ。以前におまえさんも会ったことあるだろ。だからあまり絡んでくれるなよ」


 そう言うのはうちのばあちゃん、河輪田明穂こと神守明穂だ。

 なぜばあちゃんがおっちゃんに圧を掛けていたのか不明であるが、それには松山も絡んでいるのは何となく理解出来た。

 その松山だが初めは機嫌悪そうにしていたのだが、僕の顔を眺めていて何かを思い出したのか「あ~ぁ」という驚嘆の声を挙げた。


 「思い出したよ。そう言えば昔、あんたが楽屋に連れて来ていたな。そのときの坊主かっ。おおきくなったなぁ~」


 松山はそういうとようやく顔を緩めた。

 この優しげな瞳、幼少期の記憶に残っている。


 「今日は彼女も出演者だ――っていうことで、セイラもうちの孫よろしく頼むよ」


 「よ、よろしくお願いします。セイラさん」


 「おおよ!」


 うーん……セイラさんの格好したマイコさんと会話している気分になるのはなぜだろう。

 そして、なぜこの男はなぜここにいるのだろう?

 

 「あの……ばあちゃん、なんでうちの社長がここにいるの?」


 そう、目の前で圧を掛けられ座らされていたおっちゃんとはうちの社長、地端裕一郎だったりする。

 地端のおっちゃんは顔色が悪く脂汗を掻いて目が虚ろになっている。

 何をしでかしたのだろうか?


 「ん~っ、今は話合いってことしか言えないねぇ」


 何だろう? 非常に気になる……

 でも外に待たせている人もいるので、それは後で聞くとするか。


 「それは残念。ではその話はまた後で。とりあえず今は挨拶だけということで」


 「そうだね。後で打ち合わせも兼ねて話すとするかね……おっと、そうそう」


 ばあちゃんは急に何かを思い出したのか話を変えた。


 「裕一郎のガキの娘、廊下にいるんだろ? 話合いがしたいから呼んでくれないか。今回はその件で彼女に来てもらったと言っても過言ではない」


 ちなみに一部補足する。

 ばあちゃんは『裕一郎のガキの娘』と言っているが、それは読んで字のとおりではない。

 前にばあちゃんが言っていたのだが、裕一郎おっちゃんは父の幼馴染みであり、ばあちゃんともども付き合いも長い。

 その上、おっちゃんは昔からよく父さんを巻き込んで何かとやらかしていたらしく、印象が極めて悪い。言い方を変えれば裕一郎=悪ガキといったところだろうか。


 おっちゃんとなった今ではさすがに『悪ガキ』とまでは言わないが、あの頃のイメージが未だに払拭できないらしい。

 つまり『裕一郎のガキ』というのはおっちゃん一人を指すのだ。

 だからその娘ならば佐那美を指しているわけである。


 「佐那美さん? 何で必要なのかはわかんないけど……とりあえず呼ぶことはわかった」


 僕がクビを傾げながら扉のノブに手を掛けると、ばあちゃんは「……とその前に」と僕を呼び止める。僕が振り返ると話を続けた。


 「おまえさん、その格好は酷いもんだね。裕一郎のガキの子を呼ぶついでにさっちゃん――じゃわからんか……おまえさん達を案内しているプロデューサーの子だよ。彼女にも衣装手配するよう話すからここにくるよう伝えておくれ」


 「わかった」


 僕は廊下で待機しているさっちゃんと呼ばれるプロデューサーのお姉さんと佐那美さんにうちのばあちゃんが呼んでいる旨伝えるとさっちゃんは慣れているのか「先生、失礼します」とさっさと部屋に入ってしまった。

 一方で佐那美は「えっ、何。あたし?」とキョドって部屋の前でオロオロしている。

 呼ばれた趣旨がわからずプチパニクっている様子だ。

 だが、タダでさえ前回やらかした上、今睨まれているおっちゃんの娘であるとこも考慮すると、このままもたついているとばあちゃんからの心証が更に悪くなるだろう。

 だから僕が「待たせていると怒られるよ」彼女を急かす様にと告げると、彼女は慌てて中に入っていった。

 ……これが結果的にマズかった。


 「今、佐那美の奴、ノックしないで入っていたけど大丈夫?」


 クリオが呆れた表情でドア先を見ていると彼女の予感どおり、ドアの向こうからばあちゃんのネチネチ声が聞こえてきた。

 うん、間違えなく怒られている。

 いつもの佐那美ならそういう礼儀作法はお手のものなのだが、慌てさせたのが悪かったようで、そういう作法が頭から抜け落ちてしまったみたいだ。


 佐那美さん、慌てさせてゴメンナサイ。


 それから数秒後、ばあちゃんのネチネチタイムは終わった様でさっちゃんが部屋から出てきた。


 「お待たせしました。それで佐那美さんのことなのですが……もう少し先生とお話があるってことみたいなので、先ず衣装部屋に案内して楽屋に案内しますね」


 「あらら……佐那美の奴災難ね」


 ここぞとばかりにトラブルメーカーツカサこと一美が「さぁ、悪は去った。心置きなく舞踏会へと洒落込みましょうか」とどこぞの悪役令嬢の様な高笑いをしながら、さっちゃんの後に続いた。

 ……キミも性格悪いな。


 「おまえ調子に乗るなよ! 酷い目に遭うの私らもなんだからな!」


 「あんたこれ以上何かしないでくれる? あの悪魔に八つ当たりされるのはゴメンだからね!」


 ツカサは梅花とカエデからそれぞれ頭をチョップされていた。

 うん……確かにそうだ。彼女らもとばっちりを受けるかもしれない。

 それをジト目で追うクリオ。


 「ヤバいなぁ……佐那美の奴地獄耳だから。あとで美子にでもたきつけて八つ当たりされないようにしないと……」


 一応、彼女らを心配するクリオのようだ。


 ――だが、美子が慈善的に彼女ら助けることはない。


 仮に彼女が自発的に他人を助ける行為するとなれば、僕がらみの利権に関わることのみで、それ以外は行動する理由がない。

 だから美子がTKBの為に何かすることはないハズだ。

 それなのに、クリオの「また面倒なことになるけど……」という言葉がやたら引っかかる。

 どういうことなのだろう。

 僕がらみで何か厭な予感がする。



◇◇◇◇



 衣装に着替えて、そのあと色々あったんだけどそれらをすっ飛ばして、いざ本番。

 収録用カメラから見て中央に司会のばあちゃんとゲストのセイラさん、それとお笑い系の人達。

 同カメラから右側に地元アイドルが3人1グループで8組。

 左側に8組のマネージャーが9人。


 本来ならば佐那子さんもしくは佐那美がマネージャーとしてこの場にいるはずなのだが、彼女らはここにはいない。ばあちゃんの指示で僕とクリオがマネージャー役としてここにいるわけだ。


 ……っていうか、うちのTKBの本来のマネージャーは佐那美の母さんの佐那子さんなのだが、実際には佐那美が陰のマネージャーである。

 それというのもおっちゃんがいい加減なところがあって佐那子さんが会社自体の運営に介入せざる負えない状況で細かいところに手が回らないのだ。

 そういう状況だから佐那美が仕方なく――いやここぞとばかりにマネージメントするもんだから、良い意味でも悪い意味でもTKBが振り回されているわけである。


 今回彼女らがいないので、その役を僕らが熟す必要がある。

 僕らは役者なのでそんなことよくわからないのだが、勉強がてらに他のマネージャーさんとは名刺は交換して雑談してきた。

 彼らの話ではどこの事務所も台所事情は厳しいということはわかった。

 当然、アイドル達に支払われるギャラについても話してみたが、うちの支払われるギャラは余所よりもそこそこ良い様だ。


 何だかんだ言っても佐那美はそういう金銭感覚はいいと思う。

 パワハラ染みたことがなければ彼女はいい経営者になれると思う。



 さて、テレビ進行の打ち合わせでは、アイドル達とそのマネージャー達を弄りながらアイドル活動を紹介していく流れになっている。

 アイドルの活動内容や個々の趣味とかを面白おかしく雑談形式に進めていき、それに対してマネージャーがツッコミを入れて彼女らの魅力を引き出していくとのことだ。

 途中、街頭インタビューで彼女らへの疑問を聞き出したり、また新しいアイドルの売り込みに各事務所のマネージャーがアドバイスをしたりするらしい。

 ――それを僕らに質問されても困るんだけどね。


 そうこうしているうちに番組が始まった。



 「さあ始まりました。『明穂のでまかせ』司会の河輪田明穂です。今日もよろしくお願いしますね」



 着物姿のばあちゃんが芸人と軽快なトークを織り交ぜ進行していく。

 途中、他の事務所のアイドルとマネージャーとのボケツッコミトークがされていくが、一向にうちのアイドルが紹介されずにいる。

 ばあちゃんは時折こちら側に視線を送っているところを見ると、完全に忘れられている訳でもなさそうだ。

 番組も半ばにコマーシャル休憩が入る。そこでばあちゃんはスタッフに「進行の一部を予定どおり変更するよ」と指示を与える。

 何を変更するのか?

 本来ならば街頭インタビューが入る予定なのだが、ここに何かを入れたい旨の話をしている。

 耳を澄ましていると、ばあちゃんは僕らの方に「今から秘密兵器をぶっ込むからうまく対応してみな」と声を挙げた。


 「えっ、何? ……あんたのばあちゃん何するって?」


 今まで澄ましていたクリオが若干慌て出す。


 「私、とても厭な予感がするんだけど」


 「僕も激しく同意」


 「もしかしたら……」


 「――もしかするかも」


 僕とクリオは「どうかあの子がやらかしませんように……」、「頼むからこれ以上恥を掻かせないでね」とそれぞれこれから起きることを祈りながら、ばあちゃんの司会進行を見守る。

 そしてコマーシャル休憩が終わり、再び撮影となる。


 「さて話は変わって、これからのアイドルについてのことについて聞いてみたいと思います」


 ばあちゃんのかけ声でカメラがうちのTKBに寄った。

 しかも寄りにもよってカメラのセンターに問題児のツカサ(一美)が映し出された。

 咄嗟にかえで、梅花がピースして何とかその場を乗り切るが、どうも彼女らに話を向ける訳でもなさそうだ。


 「今度は地端プロのアイドル達なんだけど、その前にマネージャーさんに声を掛けるとしましょう。今日は彼女達の為に二人来てくれています」


 いきなりカメラが僕とクリオの方に向けられた。


 「地端プロダクションのマネージャー代理で常務取締役人事部長さんと広報部長さんがお見えになっています」


 えっ、何で役職知っているの?

 あっ、そう言えば地端のおっちゃんが呼び出されていたんだっけ。

 でも違う意味合いで呼ばれたんだろうけど。

 僕はそう思いつつ、ばあちゃんの話に合わせる。


 「どうも。地端プロダクション所属神守礼です。そして――」


 僕は咄嗟に掌をクリオに向けると、クリオもそれに合わせ、


 「いつもお世話になっております。地端プロダクションのクリオ=ルーカス=バトラックスです」


と答えた。

 さて、ばあちゃんは僕らに何をさせたいのだろう?

 とりあえず話をばあちゃんに合わせる。


 「ずいぶん若い方が役職に就かれているのですねぇ。御社はいくらぐらいお給金もらえるのかしら」


 普通ならクリオのこと、特に外国人役員で彼女が流暢な日本語で話していることから話を切り出していくのが一般的である。

 だが、ばあちゃんはいきなりお金の話をし始めた。

 もちろん何かの前振りで本気で尋ねているというわけではなさそうだが、それはそれとてストレート過ぎる。


 「いやぁ弊社にはレイン=カーディナルとサンディ=クリストファーという2大俳優が在籍していますからねぇ……実はうちの事務所の売り上げは大半が彼らなので、そのギャラという形でかなりの割合で支払ってしまうですよ。関係で事務所にはあまり残らないんです。ですから普通の役員さんよりも少ないですよ」


 これは嘘ではない。

 そもそも役職といっても半ばアルバイトみたいなところもあって、月数万がいいところだ。

 もっとも僕とクリオは役者として稼いでいるので、撮影があればそこらの役員の年収の数倍を稼ぐこともできる。

 それなのに未成年の僕らが何で役員なのか――となる訳だが、前にも話したとは思うが僕らへのギャラの支払いで事務所の資金振りが回らなくなったこともあり、ギャラの一部を事務所に投資する大口投資家として役員参加という形をとらされているからである。

 本来ならばそれに見合う役員報酬も頂きたいところであるが、それを要求すると本末転倒になるのでアルバイト金額として頂戴しているのだ。


 でもばあちゃんも僕がレインということを知っていることもあり、それ以上はツッコんではこないだろう――と思っていたが話は意外なところから切り出された。


 「ほぉう……じゃあ、この子達のギャラはどうしているんだい?」


 その問いをクリオが答える。


 「一応事務所から支払われているのですが、どうしても足らない分は先輩であるレインが彼女らに投資する形で補填しています」


 クリオの回答にウンウンとTKBが頷く。その様子も撮影されていたのでそれについて嘘ではないということが補足出来たと思う。


 「ほうそうかいそうかい。それじゃあ地端の社長とか他の役員は何をしているんだい?」


 ばあちゃんの眼光がギラリと光る。

 彼女は――うちの会社……じゃなくておっちゃんと佐那美のことをデスりたいのか?

 とりあえず無難に答える。


 「そもそもうちの会社のメインは海外映画制作なんですよ。ですから社長の地端裕一郎と専務の娘はそっち方面の仕事をしています。副社長である社長夫人は会社全体の運営や経理を担当していまして……その上で今回新たに国内芸能部も設けましたので副社長、専務の指示を仰ぎながら私らが一時的にマネジメントさせてもらっています」



 「ふーん……だとしたら新人やアイドルを育てるって大変だねぇ。それならアイドル希望の新人が今ここに現れたらスカウトするかい?」



 新人希望者?

 ばあちゃんの追及の意図はそこ……なのか?

 僕とクリオはお互いの顔を見合わした。

 ダメだ。うちにはそんな余裕はない。

 資金的にもスタッフ的にも足らなすぎる。

 その辺はクリオも理解している。

 小声で「(新人アイドルのために新たにスタッフ雇ったとしても、そのスタッフを育成する余裕もないよね)」と確認してくる。

 大幹部不在の今、残る幹部の確認がとれたのでこれをもって回答することにする。


 「ごめんなさい。うちの事務所規模ではこれ以上は厳しいです」


 僕とクリオが一緒に立ち上がりばあちゃん達に頭を下げる。

 すると、他の事務所連中がそろりと手を挙げてくる訳で……。その様子をばあちゃんは察していたのか直ぐさま「まあまあ、そう言わず。とりあえず連れてきたから――ではどうぞ!」と他を遮る様にその新人を呼び出した。


 現れたのは……


 「あたしこそが大物新人アイドル――」


 彼女は自信満々で魔法少女の衣装を着て、手にしたステッキを器用に振り回す。

 容姿端麗、スレンダーボディで高すぎず低すぎず整っている少女。

 動きは機敏で所作には品があり華がある。

 今、そこにいる地元アイドル連中が束になっても敵わないだろう。


 ……だが、どう見ても見慣れた顔である。


 近くにいた他社のマネージャーこぞって「是非、弊社に!」と声を挙げるが、それは勘弁して欲しい。その子は――



 「シャイニー佐那美ここに爆誕!」



 その瞬間、ドライアイスの煙が爆散する。

 やりおった。やりきりおった。

 ステッキを構えて可愛らしいポーズでビシッと決めた佐那美がそこにいた。


 「あのぉ、地端プロさん。この子について評価してしてくれませんか?」


 そう優しく話を振ってきたのは……セイラである。

 先ほどばあちゃんの控室でスルメイカを囓って僕にガンつけてきた人である。

 もう、何が何だか混乱状態である。

 脇にいたクリオが引きつった笑みでフリーズしている。

 きっと、爆笑を我慢しつつもあまりの出来事に困惑している様子だ。

 ここは僕が答えるしかない。



 「み、皆さんすいません。彼女は弊社の専務、うちの幹部ですぅ……」



 そこでスタジオが大爆笑。

 どや顔していた佐那美は爆笑を聞いて急に恥ずかしくなったのか、顔を真っ赤にしてその場でフリーズしている。

 クリオはここぞとばかりに思いっきり息を吸い込む。

 大爆笑するつもりなのか?

 僕は咄嗟に「(ここで爆笑すると佐那美さんに倍返しされるよ)」と肘を突き警告しておく。

 クリオはハッと佐那美の顔を確認し顔を下に向きグッと堪え始めた。

 

 それにしても何でばあちゃん佐那美をスタジオに呼んだんだ?

 ひょっとして、僕を映画俳優にさせた件で地端プロダクションに復讐をしているのか?

 なんだかわからないまま話が進んでいく。

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