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神守君とゆかいなヤンデレ娘達  作者: 田布施 月雄
第4章 礼治のお買い物
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第6話 なんてったってアイドル♪

 僕はなぜか霞がかかった所にいた。

 そして頭もボンヤリとしている。

 それでも手探りで前に進むと、何か良い香りが漂ってきた。

 程良く蒸し上がった感じ、そして触ると柔らかい。

 

 この感触は……肉まん?


 当然、普段ならその様な訳の分からない状況でそれを口にすることはないだろう。

 だがなぜか、その時の僕はそれは食べて良いものだと思った様で「いただきます」とそれを口に運んだ。

 だがそれを口にした瞬間、

 

 「ギニィャアー!」


という、まるで猫を踏んづけてしまった様な悲鳴が僕の頭に響く。

 呆然とする中、悪い予感を本能的に感じそれを口から遠ざけた。


 その瞬間、遠くで女の声が怒声が聞こえてきた。

 

 その声を追うように、「バッチン、バッチン!」と何かをひっぱたく様な音も聞こえてきたのだが、それは僕に害があるものではなさそうだ。


 そして段々と視界が回復し、数秒過ぎると辺りがハッキリと確認出来た。

 目の前にいたのはキャミソールを着た美子であった。

 しかも、キャミソールは胸の手前まで捲りあがっているが、突起が浮き上がっているところからするにその内側は何もつけてない様だ。

 下はTバックタイプのパンツであり、美子はお尻を押さえながら「痛いんだけどぉ!」と怒っている状況であった。


 「えっ……えっ?!」


 僕が目を擦りながら「肉まん知らない?」と彼女に確認するが、彼女はちょっとムッとした表情で僕にお尻を僕の方に向けそこを指差した。

 お尻には歯形がしっかりと残っている。


 「知らないわよ。それより私、お尻噛まれたんだけど!」


 美子はお尻をさすりながら怒っている。

 えっ……もしかして?!

 僕は恐る恐る美子に尋ねる。


 「もしかして僕、美子さんのお尻囓った?」


 その問いに美子は一瞬クビを傾げた。

 違うのか?

 だが、それからすぐに何かを思いついた様にニタァと嫌らしい笑みを浮かべて口を開いた。

 

 「あぁ、痛かったぁ~。お兄ちゃん、美子のお尻を噛んじゃうんだもの。跡付いちゃったらどうしよう」


 そう問い詰めてくる美子。だが怒っているというより、何か『しめしめ……』という感じで北叟笑んでいる。



 ――何でそうなったんだろう。



 何で僕が美子と一緒の部屋で寝ていたんだろう。

 さらに目を擦り、半身を起こしてみる。

 左を見ると、眞智子とクリオが共に頬を腫らせて白目を剥いてのびている。

 右を見ると佐那美がお尻を半ケツ状態で突き出し気持ち良く寝ている。お尻は赤みがかった桃のような――ゴッホンゴホン、でも幸い大切なところは見えていない。

 一方で美子はここぞとばかりに自分のお尻を僕の眼前まで近付け――いや押しつけてさらに指を差す。


 「お兄ちゃん、これは責任取るしかないよぉ」


 「ご、ごめん……なさい」


 「いや、ごめんなさいじゃあすまないわよ。これ男なら覚悟を決めるしかないよ。こうなったら近親相姦なって昔の常識に拘っちゃいけない!」


 そう言って僕の上にあった布団を剥ぎ取った。


 「ちょ、ちょっとどうしたらその様な考えになるの?!」


 「さあ、男なら一発ヤッて責任取ろうか! グヘヘヘヘへ……」


 美子は涎を腕で拭いながら、さらに下の毛布を握り剥ぎ取ろうとする美子。


 「さあ、お兄ちゃん天井のシミを数えてれば――」


 ――が、毛布の下に何か潜っている感じがする……

 

 「――って誰だ?!」


 美子が慌てて僕の毛布を剥ぎ取った。そこにいたのは――とてもアイドルとは思えない俗物まみれの同級生であった。

 彼女は両手で僕のパンツを剥ぎ取ろうとした状態で寝落ちしていた。

 しかもパンツは僕の息子によりパンツはずれ落ちないで済んだという笑えないオチがある。

 美子はこの情景を見て完全にフリーズ。

 そりゃ、そうだろう。

 自分の目的物を覆う物を弊社アイドルが剥ぎ取ろうとしていたのだから。


 そこから美子が大変だった。


 「テメエ、ぶっ564てやる!」


 「えっ、何……何!?」


 美子は一美の胸ぐらを両手で締め上げ、イっちゃった目で威嚇している。

 一方で一美は熟睡していたところを叩き起こされ、状況が理解出来ずパニックになっていた。


 「美子さん落ち着いて! っていうかみんな起きて!」


 僕は美子を羽交い締めにして、大声を挙げた。

 

 「礼君おはよう……って何?!」


 「レイ……五月蝿いな……て美子何しているの!」


 眞智子とクリオが一斉に起き上がり、美子を取り抑えた。


 「564てやるぅ! 56すぅ!」


 美子は大暴れ。彼女が得物を取り出す前に僕と眞智子、クリオとで布団で簀巻きにして拘束した。 

 なお、簀巻きにされたのは美子だけではない。今回のトラブルメーカーである一美も同様だ。


 「デブ、ふぁっきゅうおまえらも56す、56す、56す、56す!」


 「なんでよぉ……私関係ないですよねぇ~」


 二人は簀巻きにされ不満を口にしていたが、青い瞳の方はそれを許さず。


 「五月蝿い、黙れ」


 そして眞智子に関しては


 「この馬鹿だって静かにしているのに……」


と言って半ケツ出して寝ている佐那美を指差した。

 まぁ今回、佐那美は無関係そうなのでそのまま放置することとした。ちなみに起こすと五月蝿いという説もあるがそれは皆が思っている事だからあえて口にするまでもない。


 そして僕から皆に事の顛末を説明すると、いつものとおり裁判が始まった。

 今回の裁判官はクリオ、眞智子は検察官である。

 弁護士は……とりあえず爆睡中の佐那美と仮定しよう。

 ――で、審判が始まった。



 「前言以下省略。判決、一美、美子共に4刑」



 そして審判が終了した――

 横にいる眞智子は口を開けたまま意見陳述を言わずにその役目を終えた。

 まるで交通違反か何かの略式命令みたいな即決である。

 

 そりゃあ、今までクリオが即決裁判で例のクッキーを食わされた経緯を考えれば、そう判断するのもわからなくもない。

 

 「えぇっ! 私、本当にそんなことする気はなかったんですぅ」


 「ちょ、ちょっと私はお尻囓られた被害者なんだけどぉ! 不当だ!」


 「あのぉクリオさん、眞智子さん。それはあんまりというものでは……」


 僕も一応被害者の意見を言わせてもらおうとしたのだが、クリオは僕に見せたことのない冷たい目つきで微笑んで首を横に振った。


 「とりあえず判決は出たところで審議を続けましょうか」


 おいおい判決が先で審議は後回しなのかい? それじゃあ4刑ありきの裁判じゃん。

 これで疑問に思ったのか、「異議あり!」と眞智子が挙手する。


 「礼君のパンツ脱がそうとした時点で極刑じゃん、審議不要!」


 …………そういえばこの子も悪・即・斬の人だった。


 「――いやいやいや、とりあえず彼女達の言い分も聞きましょうよ」


 僕が彼女達を宥めようとすると、クリオが更に冷気を帯びた視線で僕に手の平を向けて制してきた。


 「一美はうちらの洗礼を受けてもらうけど、美子はもう少し審議が必要かな」


 彼女はそう告げるとどこからか取り出してきた保存袋から見慣れた例のモノを一美の前にチラつかせた。


 「ぱ、パワハラですぅ!」


 「パワハラじゃないわ。だって、私の上司もあなたのもとに送ってあげるから……あの世で仲良くアイドル活動頑張ってね」


 「えっ、それって佐那美さんの事言っているんですかぁ? あの世まで『あの頭がおかしい佐那美さん』と一緒に仕事するなんて嫌だぁ!」


 「グッバァアイ~♪ サヨナラねぇ」


 一美の抗議もむなしくクリオは眞智子の手助けする暇すら与えず、悪い笑みを浮かべながら見慣れたお菓子を口に突っ込んだ。



 「ふぐうういほあうおいぐあおうgじゃpこghじょあ!」



 一美は必死の抵抗するも既にそれは口の奥へ突っ込まれてしまった後だった。

 やがて彼女は狂ったようにのたうち回り泡を吹き白目を剥いて痙攣、そして動かなくなった。

 

 「あぁ……うちのアイドルがぁ」


 僕は咄嗟に上司である佐那美に視線を向けたものの、肝心の彼女はケツを上にして気持ち良く爆睡している。

 ――うん、ダメだこりゃ。

 一方で眞智子は……と言うとクリオの悪意ある顔を見て絶句している。

 そしてもう一人の犯人である美子はと言うと。


 「何であんたがそんなもんもっているのよぉ!」


と顔色が青くなっている。



 「私もいつもやられっぱなしではないということ……だって一美や美子でさえこのような最終兵器をもっているのに、この私が最終兵器もってないなんて不平等じゃない……クックッ……アハハハハアッ!」



 クリオはまるで某国のポリシーを具現化したようなことを言い出して馬鹿笑いを始めた。


 「やべ……あれ食い過ぎで頭おかしくなったのか?」


 「知らないわよ。それにアレどこで入手したのかしら」


 眞智子は簀巻きにされている美子とひそひそ話をしているが、それの入手先は何となく分かる――多分、それは僕だ。

 だってこの前、クリオと一緒にお菓子作りしたからね。

 これを言ったら大騒ぎになるので黙っておこう……

 

 「とりあえずクリオ、基地ってないで話を戻してくれない?」


 僕がそう呼び戻すと、彼女はスゥーと我に戻り、今度は辺りを見回す。

 すると何かを見つけると今度は一美の周りを探し始めた。


 「――やっぱりあった」


 クリオは押収したものをボクらに提示した。

 それは小型カメラとスマホである。

 クリオは白目剥いて泡を吹いている一美にスマホを向けると彼女のスマホが認証された。


 「うわっ、こんなブサイク顔でも認証するのか……私、顔認証じゃなくて指紋にしようかしら」


 眞智子がドン引く。

 そんな眞智子を余所にクリオはスマホを弄り、あるアプリを探し出した。


 「この子、やっぱり盗撮していたみたいね……さてと」


 アプリを使いデーターをネットから引き出すクリオ、それを見て段々美子の顔色が悪くなっていく。

 画面は丁度、僕が寝落ちするところから始まる。


 『眠いからゴメン……』


 そこで誰が僕の隣に寝るかかなり揉め始めている様子が映し出されていた。

 時間が経ち、動きがあったのは眞智子とクリオである。

 何やら言い合いになっていた様で段々ヒートアップして行く。そして二人はお互いの胸ぐらを掴み……


 『テメエ、いい加減にしろっ! アレは私のだ』


 『何言っているの?! 私は大事なところ触られたのよ、責任取ってもらわないと困る』


 二人が争っている原因というのは例の『テブラテマンの件』である。

 その件は一応、クリオと佐那美が処刑されたことで終結しているハズなのだが、どういうわけかそれがまたぶり返している様だ。

 その後バチンバチンという殴り合い――というかそれぞれのカウンターで二人はダウン。

 二人はそこで終了した。

 でも、こんな殴り合いの音だったかなぁ……いや、違うな。だってその後も僕が寝たままなんだもの。


 「僕が起きる前の殴っている音って眞智子さんとクリオではない……」


 そのあとは美子が僕の横を陣取り、さらに美子の脇を佐那美が力尽きて寝落ちしている状況である。

 そして僕の足下には俗物まみれのアイドルが寝転んでいる。

 彼女は美子が寝落ちするのを確認して僕の足下から布団を捲り上げ中に入っていく……が彼女もそこで動かなくなった。

 それから1時間もしないうちに美子がむくりと起き上がり目を擦っている。

 辺りを見回し僕を見つけ、自分のキャミソールを捲り挙げ、彼女は自分の胸を僕の顔に押し当てた。


 『さあて……おにいちゃん、美子を満足させてくれかな……』


 だが僕に噛まれたというお尻は僕に向けられていない。

 向けられている方向は――佐那美である。


 『おっ……口を開いた……これはっ!』


 美子がそう声を挙げた瞬間。


 『あ、桃だ。いっただきまーす』


 『ギニィャアー!』


 ――そう、美子のお尻を囓ったのは寝惚けた佐那美である。

 お尻を囓られた上、邪魔された美子は大激怒。

 佐那美のズボンをパンツごと引き下ろしてお尻を『バッチン、バッチン!』と平手打ちにしていたところ僕が起き上がった場面が映し出されていた。


 ――なるほどね。そういうことだったのね。


 僕は内容が分かりスッキリしたが、当然激怒している人はいるわけで……


 「眞智子ぉ……どうするぅ? 劇毒ッキーの刑だけじゃ納得出来ないよねぇ。私の事を『テブラテマン』と言って私にあれを食わせたのに、処刑した本人がおっぱい出して吸わせようとした挙げ句、佐那美に囓られたお尻をレイの所為に身体の強要を迫ったって絶対に許せないんだけど」


 「まぁ『テブラテマン』については後でまた話し合う必要があるけど……美子に関してもあの刑だけじゃ不十分だから――美和子さんに通報しておいた」


 その瞬間静まり返った部屋の中、僕の頭の中では『美和子ボンバイエ』のテーマソングとともに母が美子を相手に卍固めなどの必殺技を掛けている姿がグルグルと巡るっていた。


 「ちょ、ちょっと待ってよ! それじゃあ私は2回4んじゃうことになるじゃん!」


 美子の抗議に対してクリオと眞智子は親指を地面に向け微笑んでいる。

 これで美子の4刑は2回執行されることが確定した。



 ――それからしばらくして。



 佐那美が白目剥いて痙攣している美子を、お尻をさすりながら憮然とした表情で睨んでいる。

 

 「ところでさあ……基地外美子があたしのお尻を叩くっていうのも……その原因を作ったのはあたしだからそれに関しても我慢するけどさあ……」


 佐那美は目を瞑って拳を振るわせて憤っていた。

 その原因となったトラブルアイドルの骸を踏みつけても納得行かない表情である。


 「この馬鹿があの産業廃棄物食わせられるのは、うちとしても懲罰的にアリなんだけどさあ……」


 どうやら一美だけではなさそうだ。

 そしてギロリと眞智子とクリオを睨み付けた。


 「そんで、裁判するのはいいとしても……」


 眞智子とクリオは気まずそうに視線を合わせようとはしない。



 「なんで、あたしまであの産業廃棄物を食べさせるのよ!」



 「いや、だっておまえ起きないじゃん……」


 「それに向こうにいる一美だって寂しいじゃん。佐那美にマネージメントしてもらいたいと言っていたし……」


 ――いやいやいや。

 気持ち良く寝ている彼女を無理矢理起こさなくても良いわけだし、一美は佐那美の事を苦手としているので口が裂けてもそんなことを言うはずがない。

 僕は必死に止めたよ、うん止めた。

 ソレなのに余ったクッキーを佐那美の口に放り込むっていうのはヒドくない?

 眞智子なんか「それは危険物の安全な処理法ね」ってクリオに同意しちゃっているし……

 僕は止めたよ。「それは佐那美さんが可哀想だ」って言った。

 でもクリオは


 「この恨み、晴らさでおくべきか……」


と憎悪を向きだしに佐那美の口の中に無理矢理クッキー突っ込んだ。

 余程テブラテマンの件で酷い目にあったことが許せなかったのだろう。

 おかげでうちのクラスのアイドル兼マスコットキャラクターである佐那美は最悪な寝起きをする羽目になったのだ。 

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