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神守君とゆかいなヤンデレ娘達  作者: 田布施 月雄
第3章 進学の美子
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第14話 眞智子の暴走

 眞智子のおかげでエライことになった。

 何で、どさくさ紛れに僕を監禁しちゃうのかなぁ……この状況だと京都へ修学旅行に行っている美子が、得物持参で殴り込みに来ちゃうよ。

 幸い、事後という状況ではなさそうだ。それにまだ周りにはこのことを知られていない。



 ……さて、どうするか。ちょっとマジで考える。



 今回の張本人は僕が叱りつけたこともあり、その場で大人しく正座して下を向いて悄げている。


 「さて、眞智子さん。明哲な君が何故この様な奇行に走ったのか、説明頂けるかな」


 「えーっと……ですね。それは……」


 眞智子は気まずそうに言葉を選んでいる。

 そういうことなら、だいたい想像が付く。

 でも、その前に手足を縛っているマジックベルトを外してもらわないと困る。


 「とりあえずコレを外してくれないかな」


 「わ、わかった」


 眞智子はすぐにそのマジックベルトを解いた。

 僕は自由になった右掌を彼女に向けたところ、彼女は首を傾げながら僕の掌の上に自分の手を乗せる。


 「『お手』じゃないし、僕は君を調教している訳でもない。スマホ、君のスマホのSNSを見せてくれないかという意味だ」


 「やっぱり、そうだよね」


 彼女は渋々自分のスマホを取り出し、画面ロックを解除する。

 僕はそのスマホを借り受けSNSを確認する。

 ――ほら、やっぱり。黒幕は母さんだった。


 『眞智子さんへ、うちのお兄ちゃんをよろしくね。既成事実作っても構わないから。ヘタレてもいいけど、その時はお兄ちゃんを監禁した体にしてね。美子が怒って何かやらかせば推薦は取消になるでしょうから』


 ――何て母親だ。

 いくら美子を兄離れさせたいが為にここまですることはないとは思う。

 眞智子も眞智子だ。こんな理不尽な要望に従うなんて。

 僕は白い目で眞智子を睨みながらその時の状況を確認することにする。


 「眞智子さん――君は何やってるの? ダメじゃないか」


 「ハイ……すいません」


 眞智子は項垂れながら僕に謝る。

 本来ならば、うちの母親に唆されたことをいい訳にするべき所なのだろうが、彼女はその弁解をせず自分1人で責任を取ろうとしている。


 うちの母さんを庇う優しさがあるのなら、もう少し美子の気持ちも考えて欲しかった。


 美子の立場からすれば、自分がいないことを良いことに僕を独り占めにする行為はNG行為だ。

 さらにこれが僕の貞操に関わるものであれば、美子は絶対に許さないだろう。


 「分かっているとは思うけど、これって美子が大激怒するパターンだよ」


 「で、でも、私エッチなことはしていないよ」


 その割には顔に当たったエアバックが心地良かった――おっと、いかんいかん。


 「あのぉ……そこのところ本当に大丈夫なの? もし僕にちょっとでも性的行為をしていたら、マジで命なくなるよ! 君も僕も」


 「大丈夫! それはない。誓ってもいい」


 自信満々に答える眞智子。

 僕を監禁し添い寝した後で、自信満々に答えられてもなぁ……

 でも、裏を返せばここまでやらかして、結局ヘタレて何もしなかった訳か。

 僕もヘタレだから人のことを言える立場にないが、彼女もいざとなるとヘタレなんだなっと感心してしまった。


 「それで、これをどう収拾つけようか?」


 「美子の奴、怒ってマジで私を564に来るよね……」


 「そうさせたくないけど、このままだと間違えなく殴り込みはすると思うよ」


 「じゃあ、自分の身を守る準備しなきゃ……」


 眞智子はゆっくりと立ち上がるとクローゼットから金属バットを取り出す。

 彼女は「いざとなれば正当防衛になるよね」とイっちゃった表情で不気味な笑みを浮かべて、それをジッと眺めている。

 一言で纏めるなら、『反撃する気満々』である。


 ……おいおい、それはないだろう。だから、僕は彼女にこう諭した。


 「今回は、()()()()はうちの美子さんは何にも悪いことしていないよ」


 眞智子は金属バットの先を床に置くとちょっと不機嫌そうな表情で僕を睨む。


 「じゃあ、礼君は私が黙って美子に56されろっていいたいわけ?」


 「まさか。そのつもりだったら収拾つける方法なんて考える必要はないでしょ。要は美子がヤンデレ化しなければいいんだから、それを一緒に考えて欲しい」


 眞智子は若干自棄になりながら答える。


 「それじゃ、私に犯されそうになったという体にすればいいじゃん。少なくとも礼君には被害はないから」


 「それはあまりいい対策には思えなし、僕だけ助かろうという気持ちもない。それに何にもしていないのに散々楽しんだという形にされて粛清されては大損じゃん」


 この僕の一言で眞智子の心の何かが弾けたよう様だ


 「じゃあ、既成事実作ろ!」


 何を血迷ったのか眞智子はダボダボのTシャツをまくり挙げると、たわわに実った果実がポロンと2つ露わになった。

 僕はその光景を瞬時に脳内ストレージに記録するとともに、慌てて彼女のTシャツの裾を下に引き下ろす。

 その際、果実の突起が顔に当たった様な気がするが――あえて無反応を装う。

 ふと見上げると彼女の顔は、余程恥ずかしかったのか、火が出るくらい赤くなっていた。

 さらに眞智子は「もういいから! 56される位ならゴム無しで構わないから気が済むまでやろう!」と自棄っぱちになっている。



 ――では、お言葉に甘えて…………ではなく、これは宥めるしかない。



 「あの……正直、僕もそうしたいよ。でもそれが原因で、君達が564合したり、誰かが4んでしまったら、人生終わりじゃないか! 絶対に後悔しないため、新聞に載らないような人生を送ろうよ」   


 「…………じゃあどうするのよ」


 「まずそれを考えよう。幸い、まだ事後に至っていない……なら、協力者も得られる環境下にある――で、あれば、まずはクリオ。とりあえず連絡を取ってみよう」


 僕は立ち上がると辺りを見回す。

 ここは眞智子の部屋だ。だからどこに自分の私物があるのかわからない。必要なのはスマホだ。

 肝心の部屋の主である眞智子は、何故か僕の太ももあたりをジッと注視して意識がぶっ飛んでいたので「僕のスマホはどこ?」と尋ねたところようやく我に返り、あわてて先ほどのクローゼットから僕の服やバック等の私物を取り出した。

 彼女からそれらを受け取ると、バックからスマホを取り出す――が、どうも眞智子の視線が気になる。

 

 「眞智子さん、さっきからどこ見ているの?」


 「いや――立派なのをお持ちだなって……その膨らみの中ってどうなっているのかなって」


 彼女が先ほどから注視していたのは――僕の股間である。

 あれだけ、彼女の豊かな物を見せられて、元気にならない方がおかしい。


 「礼君が我慢して力説しているところ、大変申し訳ないのですが……お体は大変正直みたいね。それが妙に私の視線を釘付けにするのよねぇ」


 「ちょ、ちょっとそんなところ見ないでよ!」


 僕が慌てて股間を隠そうとすると、眞智子が僕の両手を掴んで阻止にかかる。


 「わっ、私の膨らみを見たんでしょ。ちょっとぐらいそこの膨らみ、私にも見せなさいよ!」


 眞智子が鼻息荒く興奮している。


 「いやいや……今は、そんなことしているヒマないでしょ!」 


 「や、やっぱり、こっそりと合体しない? それでうちらだけの秘密にするため色々とその先のことを考えようよ」


 いつぞやの佐那美が言っていたとおり、程良く眞智子の理性が蒸発している。

 このぶっ壊れ方は、佐那美の更に上を行く。


 「ダメだから! 僕らの微妙な環境をスッキリと整理させてからっ!」


 「スッキリするなら、今しかないよ!」

 

 ……と揉めること数分。

 結局の所、クリオから僕のスマホに定時連絡の電話が掛かって来たことから、眞智子の野望は阻止されたのであった。



 『――おまえ、本当はバカだったんだな……』



 僕の説明によりクリオが事情を知り、呆れて眞智子を罵る。

 眞智子はクリオに怒られ、ようやく理性を取り戻したみたいで、再び萎れた花のようにシュンとなってしまった。


 ここでクリオを交えて美子対策をすることにした。

 なお、僕のスマホはクリオの音声はスピーカー状態にして僕と眞智子が双方ともクリオと会話出来る様にして話を進める。


 『もう、信じられない! 危なく私も美子みたいになっちゃうとこだった』


 ちょっと待って。『美子みたい』ってまだうちの美子は何もしていないのですが。

 僕の心のツッコミを余所に、二人で勝手に、うちの美子を『頭がおかしい子』へと仕上げていく……


 「ごめんなさい……ていうか、クリオと美子を比較するのは無理があるわ。アレは性格異常だから、絶対に自分へと置き換えないほうがいいわよ。アレは笑って人を56すから」


 だからっ、美子は誰も564ていないから!


 『何言っているの、アレは生粋の殺〇鬼だから、当たり前でしょ!』


 クリオさん……うちの妹はどこぞの564屋ではありません。

 それに何度も言いますけど、今回はうちの美子は全く関係ないんですけどぉーっ。


 『……で、どうするの。その基地外を宥めるの私、すっごくやなんだけど』


 「deathよねぇ~っ」


 当然、クリオが美子を宥めるのを渋り出す。

 それに合わせて眞智子が諦めの言葉で締め括ろうとしたが、クリオが何かに引っかかっている様ですぐには話を打ち切らなかった。


 『そもそも、何でレイが眞智子んちにいるのよ』


 そこで僕が眞智子の代わりに答える。


 「佐那美さんに泊まりがけで人間ドックに行ってこいって言われ、人間ドックのチラシを渡された」


 『チラシ? 小野乃医院の? いやいや、いくらケチでおバカな佐那美だって、レイを眞智子のところに……しかも泊まりがけで送り込む様なことしないでしょ? そんなことしたら猛獣の檻の中に子羊ぶっ込む様なもんじゃない!』


 酷い言われようである。

 本来なら強く抗議して良いはずの眞智子であるが――今回だけは何も言えず顔を歪めている。


 「あぁ、それね。眞智子さんちの医院の正式な名前って『医療法人社団同総会小野乃医院』って言うらしいけど、佐那美さんどうやら『同総会病院』って勘違いして――」


 実際のチラシには『同総会』としか記されていなかったので、勘違いするのは当然だ。


 「しかもチラシには特別個室宿泊費が『20パーセントオフ』と書かれていたから――」


 当然、特別個室宿泊費とは一言も記されていません。


 「その上、佐那美さんが言っていた人間ドックのコースだと、実際には代金が割引きされても17万円するのに、1万7000円くらいだと勘違いしてたものだから……で、泊まった場所を眞智子の部屋に変えてもらって高い宿泊料金をチャラにしてもらった訳だ」


 僕は結論だけを掻い摘まんで説明した。

 まぁ、そこには眞智子が仕組んだ巧妙な罠があったのだが――とりあえずは彼女の命を守る為、ここは佐那美の所為にする。


 『宿泊料金チャラにするため眞智子の部屋に泊まったの?! レイ、あんたも大概バカよね! まさか眞智子とエッチな事をするつもりで行ったんじゃないわよね?』


 クリオがご機嫌斜めそうな甲高い声を挙げると、そのキンキン声でスマホ内蔵スピーカーは若干ノイズが掛かって音が割れた。


 「違うよ。佐那美さんに17万円請求したら、またうちに婚姻届握り締めて突してくるでしょ? そこで眞智子さんに相談したら、医院の施設を使うと施設利用料が発生するので自分の部屋だったら宿泊代タダに出来るからって言われたのでそうした」


 ちなみに眞智子はそんなことは言っていない。宿泊費が掛からない場所があると言われたのが正解である。そして僕が目覚めたらそこは眞智子の部屋だったということだ。


 『別にタダじゃなくても17万円ぐらいでしょ? そんな端金あんたが出しなさいよ!』


 「『佐那美の思惑で僕が金を出すのはおかしい』って眞智子さんに言われた。彼女に言われて僕も確かにその通りだと思った」


 『――で、あんたが襲われちゃ意味ないでしょうよ……幸い何もなかったみたいだけどぉ』


 そこで彼女への状況説明が終わった。

 色々と検討した結果、一番の原因は、佐那美によるそれぞれのスケジュール管理によるものと結論づけられた。


 『まぁ、ツッコミたいところは山ほどあるけど――この際だから『悪いの佐那美』ということでいいわ! 結局人間ドックでレイのことを隔離しようとしたわけでしょ。あ……だから私らも隔離されたのか』


 そうである。そもそもが美子が修学旅行のタイミングで佐那美以外が休校、佐那美だけが赤点合宿する羽目になったから、みんなと僕を遠ざけたスケジュールを組んだ訳で、それがなければ、こんなことは起きていないのだ。


 ――っていう体にしたけど、全部佐那美に責任投げつけていないか?!


 脇で眞智子がドン引きしている。

 

 「あのぉ……これ、私が言える立場ではないんだけど――」


 この後に続く彼女の言葉はすぐに理解出来た。

 だから敢えて共犯者に釘を刺しておく。


 「うん。大丈夫、事の発端は彼女だから。君はまだ何もしていないから」


 我ながら最低な説得である。

 こんなバカ話を眞智子としているとクリオから一つの提案を受けた。



 『だったら、今から京都行かない?』



 「京都? 美子さんのところに行くのかい?」


 『そう。どうせ私の用件も終わっちゃったし、明日と明後日は予備日だったから予定はなくなったのよね。だったらこの前の秋葉原みたいに、一緒に遊びましょうよ。これなら彼女の怒りも少しは収まるでしょ』


 「――ん。でも、美子の奴、旅行当日にスマホを家に忘れちゃって。京都行ったところで連絡取れるかなぁ……」


 『大丈夫。その辺、得意な達人がいるから』


 「えっ、誰?」


 『ストーカーアイドル。彼女も用件が済んだ様で、明日以降のスケジュールはないみたい』


 TKBツカサこと織田一美である。彼女も佐那美に『2泊してこい』と無茶振りされた一人である。


 「でも、彼女の対象は僕だったんでしょ? 対象外の美子のこと探せるのかなぁ……」


 『そうなんだけど、あの子のストーカー術って変わった手法取っていたのよね~』


 ――その後、クリオから色々アドバイスをもらい、僕と眞智子はすぐに着替え支度を済ませて、電車に乗るべく駅に向かった。

次回投稿は不定期です。

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