プロローグ1
頭が痛い
就活に備えて行動し始めた、大学四年の春
先週に、実家の田舎に帰ってみた俺は精神的に追い詰められた
親に、現実を見させられたのだ。
自己PRは?どこの企業を受けようとしてるの?その企業の採用条件は?
特に深く考えていなかった俺には全く答えられなかった
「はぁ…」
ヘタレな俺は心が折れそうだ
そんな傷心の中、研究室に向かう。
一応中堅の理系大学だ。まぁまぁ忙しい。毎日研究室に向かう日々だ。
そんな時、
「浮かない顔してんじゃん?どうした?」
大学のキャンパスに入ってすぐに声をかけられた。同じ研究室に所属している友達である高梨だ。
「いや、現実みるの辛いというかなんというか」
高梨は、いつもの優しい笑顔で、
「まぁ、この時期になるとなー。皆、インターンとか行動し始めるし」
そうだよなぁ、と内心で溜め息をつく
全く行動していない真面目系クズの自分だ。
「やらなきゃいけないとは思うけど、行動できてないんだよなぁ」
そんな話をしてたら、研究室に到着した。
キャンパスの奥の方にある、少し年代物の建物だ。
その建物の五階にあり、廊下の一番奥にある部屋が俺達の研究室だ。
どのような研究をしているかと聞かれると植物を育てて、成分を分析し、各環境における変化を観察するという比較的メジャーな研究と答える。
部屋を開けると俺と高梨以外は誰もいない。そりゃそうか。皆、インターンに大忙しだ。
とりあえず、研究のデータを取るために必要な植物の世話を始める。
俺は少しでも就活のことを考えないように作業に没頭していった。