「知ってた」
今日の出来事もいい思い出。
思い出になんてしたくないけど、いつかは思い出になってしまう。
それはきっと消えない記憶。
消えて欲しくない記憶。
あの時、一緒に食べたハンバーガーの味も思い出せないくらいに僕は、君の言の葉を拾う事に夢中だった。君の笑顔をこの目を通して、脳裏に焼き付ける事に必死だった。君の声を記憶する事に従事していた。
あの時、僕の心の中にこみ上げてくる想いを必死に殺していたよ。
ずっと、この時が続けばいいって思ったよ。時間が止まればいいと思ったよ。
神様は本当に意地悪だ。
君とずっと一緒にいさせてくれないんだから。
もう直ぐ会えなくなるんだね。会いたい時に会えなくなるんだね。会いたくない時でも顔を合わせていたのに、それももう直ぐ出来なくなるなんて。
神様は本当に意地悪だ。こうなる事が分かっていたのなら、最初から出会わせてくれなくてよかったのに。
まだ君に言ってない事が沢山あるんだよ。まだ君に伝えていない言葉も沢山あるんだよ。まだ君に僕の全部を見せてないんだよ。まだ君の事を全部知ってないんだよ。もっと君と仲良くなりたいんだ。もっと君と一緒にいたいんだよ。
だって君は……
君は僕の一番の友達。君は僕が一番好きな人。
君は知らないだろうけど、僕は君と会う時が一番楽しくて、一番嬉しくて、一番心から笑えて、一番心が安らぐんだ。
思い出になんてしたくない。いつかは色褪せた色になってしまうのかも知れないけど、僕は君を忘れない。だから、サヨナラは言わない。その時が来たら、お互いに笑って「またな」って言おうな。
そして、その時が来る前に……君にちゃんと伝えるよ。
「君がずっと好きだった」って。
でも多分、君はこう言うんだろうな。
「知ってた」って。
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