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巡り姫  作者: 双未三水
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第4話 天才の執刀

前回のあらすじ

道の真ん中に寝そべっていた会社員「トラ仮面」さんがロウさんが運転する乗用車にはねられ、腕がもげるという重傷を負った。

果たして、トラ仮面の運命やいかに。


第4話 天才の執刀


事故を偶然に目撃した少女「アピ」は、近くにある病院に通報し、救急車が来るのを待っていた。

腕が取れているため辺りには、血が散乱しており非常に危ない状態であることが素人目には映っていた(想像上で)

少女がテーブルの端に待機させていた救急車の玩具を後ろから押しながら

「ピーポーピーポー!救急車が参ります。注意してください」

と言って事故現場に到着する。

救急車の玩具と言っても、かなり昔の玩具らしく傷みが激しかった、白い塗装は剥げていて、患者を入れる搬入口が取れてどっかに行ってしまっている状態であった。

ただ、昔は開閉できたであろう証拠が搬入口の上端左右にカマキリの手のような蝶番が手動で虚しく動くだけである。

後ろにカマキリの鎌のような救急車を見てしまえば、戦闘車両として一騎当千が出来そうな想像が出来るが人命(人形命)が最優先だ。

少女は救急車のカマキリ蝶番を上げて、仮面人形を中に入れようとする。

しかし救急車の玩具とは云え、全長は仮面人形の身長よりも小さく、仮面人形の両肩がぶつかって入らない。

横でも入らないなら、縦→ダメ

伝家の方法のナナメ入れ→入らず

仕方なしに、辛うじて入ったのは仮面人形の取れた腕。入れたこと確認すると気持ち的な安定を込めて、もはや何の役にも立たない蝶番を締める。

患者本体は、救急車の屋根に乗せた。丁度、救急車の点滅灯が枕のようになっていて結果オーライ。

「よし、では病院に出発」

と声を出すと患者を落とさないようにゆっくりと歩き始めた。

勿論、サイレンの音は忘れずに


アピ病院

天才的な医術を持った医者「アピ」が代表を務める病院。

日夜、患者の為にその神の腕を振るう。


カットバンやピンセットが並んだテーブルの領域に救急車が来ると停止し、屋根に置いてある仮面人形を抱き抱えてテーブルの上に寝かせた。

「患者は、非常に危険な状態だ。私の腕でも助かるかどうか••••••全力を尽くします」

といつにもなく、鋭い眼差しで仮面人形を見据えた。

本当では、真っ白な白衣があれば良かったが都合良くそんなものは探した限りではなかったので、白衣を翻す動作を白衣無しで行なった。

取れた腕を救急車から取り出そうとするが、カマキリ蝶番を上げるのを忘れていたので掴んでいた腕を離して蝶番を上げる。

「傷口が思っていたよりも酷いな」

取れた腕を患者の横に置くき、救急車を押して邪魔にならない所に移動させる。

そしてマスクを付ける動作、ゴム手袋を付ける真似をすると患者の前に移動する。

「それでは、これより手術(オペ)を始める。施術要項は2つ。1つは、事故により破損したガラス片の摘出。2つ目は欠損した右腕の修復。以上の2点」

どこで覚えてきたのか分からないがスラスラと専門用語紛いの言葉を並べていく。

「麻酔の用意」

とティッシュの酸素マスクを被せて上から数滴液体を落とす動作をした。

「1、2、3••••••よし、麻酔も順調に成功」

麻酔科医の腕は、人体の様子、年齢、体格を計算して全て3秒程度で眠りに誘うのが名医だとされていた。

と少女は考えていた。

麻酔が全身に回ったのを確認すると、胸部に飛び散った仮想上のガラス片の処置を始める。

ピンセットで表面に出ている、ガラス片を片付けていくと次は、開胸して奥に入ったガラス片の処置だ。

ハサミを持つと一気に仮面人形の胸部に刃先を突き立て、腹部にまで刃を動かす。

迷いのないハサミ捌きに脱帽しながら、胸部の様子を想像する。

「こ、これは!嘘、心臓に刺さっている」

どうも、少女は展開を盛り上げるためなのかわざと窮地に患者を送っていくようだ。

実際にこんな事態になってしまえば、命が大変なことになってしまうのである。

5秒位、動きを止めて今後の展開を考える。

心臓が拍動しながら手術は、かなりのリスクがあり、人工心肺装置を取り付けての手術となる。

しかし、そこは神の腕を持つ少女だ。

「拍動させたまま施術を実行する。リズムを合わせればいけるはず」

と誰もいない救急車の玩具に向けて宣言した。

心臓は動く、そのたびに傷が大きくなり早急な処置が必要だ。

リズムを患者に合わせれば大丈夫。

動かない玩具にリズムがありのか疑問だが。

自分のリズムと仮面人形のリズムを少しずつ合致させていき、ピンセットを持った手が素早くガラス片を掴み傷口に沿って引きずりだした。

「ふうー、なんとか成功した。次は腕の接続」

と縫合の過程なんて面倒くさくなったらしかに、メインであったはずの取れた腕の持ち上げると胴体と腕の切断面を合わせる。

「高速縫合!」

と言うと両手を素早く縦横無尽に動かした。

糸なんて物は、持っておらず唯ガムシャラに動かすだけで仮面人形には何もしていないに等しい。

少女自身は、想像上では筋組織から神経細胞まで全部繋げている。

しかし、ガムシャラに振っていた少女の右手が仮面人形から離れる時に


ガン


と当たってしまい、取れた腕がソファへと飛んで行ってしまった。

「あ、しまった!」

と手術を中断してソファを覗き込む。幸い、穴の場所ではなくホッと安心すると飛び降りて取れた腕を回収する。

「ふう、良かった良かった」

こんな医者が果たしているものなのか?

少女は、仮面人形の腕の切断面を取れた腕の切断面に合わせるとカットバンを取り出して2つを繋げるように貼った。

あまり上手く出来ず、曲がってしまったがそれでも遠くから見れば繋がったと見なすことができそうだ。

手術は無事(←?)に成功。

これからも天才医者「アピ」の挑戦は続く。


すっかりと太陽は傾き始める、空には薄っすらと月が昇り始めていた。

夜がすぐそばまでやってきており、少女のバッテリー残量は全体の30%を切っていた。


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