表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/28

2−4「アルプ、白き夢魔」


夢魔の外見

何か幽霊みたいな感じにとらえてください

半透明の身体にひらひらの衣装です、はい


「・・・だからな、とっくに泣いたし喚いたりもした。お前らよりもずっと小さいガキが母ちゃんの名前呼びながら“喰われた”瞬間も見た」

ビドゥーは血が出ていてもまだ拳をさらに強く握る。

それは見ていてとても痛そうで、辛そうで、苦しそうで、悲しそうだった。


「残酷なまでに単純な摂理、弱い奴から死んでいくこの世界それが気にいらねえ」


ビドゥーは思いっきり地面を殴りつけた。

石畳の地面にヒビが入っていた、常人離れした力と拳の硬さだった。


「それ以上に自分の無力さが気にいらねえ!!」


今度は更に強い力でもう一度ビドゥーは地面を叩き付けた。

叩き付けた地面は地面に直径1メートルほどの大きな窪みを生み出した。



「なら、いい加減喰われてしまえばいいじゃなぁい。諦めの悪い男だこと」



どこからか女性の声が聞こえてきた。

辺りを見回してみるがもうシオンたち三人以外は誰も見当たらない。

「シオン、上!」

リドルが声を上げる。指差した先には白い装束を身に纏った妙齢の女性が宙に浮いていた。

「まさか、あいつが・・・」

シオンが女性を睨みつける。

女性は不敵な笑みを浮かべてシオンたちを見下ろしていた。

「あらあら、また二人も上物が入ってきたわねぇ」

「あいつが・・・夢魔、なのか?」

シオンがビドゥーに答えてもらうつもりで行ったのだが、ビドゥーは答えなかった。

「ふふふ、いいわ・・・その動揺、恐怖。あはははは」

女性が声を上げて笑い出す。

妙に耳に残って嫌な感じのする声だった。



「名乗っておこうかしら、私はアルプ。察しの通り・・・あなたたちが夢魔と呼ぶ存在よ」

アルプと名乗るその夢魔からはそれほど威圧感も感じなかった。

遠まわしに自分がビドゥーより遥かに強いと言っているのだが、シオンたちにはビドゥーの方がよっぽど強そうに見えた。

アルプという夢魔からは思ったほど魔力を感じない。



「そして私がそこの男の仲間をっ」

アルプがそう言いかけた瞬間、顔の半分が吹き飛んだ。

「か・・・あ、あ・・・」

次にアルプの腹部に拳大ほどの穴がぽっかりと開いた。

見ると先ほどまでシオンとリドルのすぐ近くに居たビドゥーが跳び上がってアルプの目の前に来ていた。

「うるせえ」

ビドゥーが握り締めた拳をアルプに繰り出す。

「がふっ」

ビドゥーの渾身の一撃でアルプはバラバラに吹き飛んだ。

赤い液体が雨のように辺りに降り注ぐ。



「す、すごいや」

リドルが驚嘆する。

「魔力を足に集中させて一気にジャンプ、そして今度は拳に集中させて一気に爆発させて・・・」

「とにかくすごいのは分かった」

少し興奮気味のリドルをシオンがなだめた。


ビドゥーが着地して溜息をついたあと二人に向かって言った。

「言っとくがこれで終わりじゃねえぞ」

「でも今のみたいなのがあと何体居ても敵じゃないよ、ビドゥーさん強いし。あれなら僕たちでも十分倒せる」

リドルがはしゃいでいるところにビドゥーがまた溜息をついた。



「ひどいわぁ、いきなり殴るなんて」

地面から声がした。正確には赤い液体から、だった。

「また“一人分”死んじゃったじゃないのぉ・・・」

赤い液体の雫が中に浮かび上がり、どんどんくっついていって大きくなっていく。

「これであなたに殺されたのは・・・何人分になるのかしら」

次第にそれは人の形になっていき・・・

「でも大丈夫よ、まだまだたくさんあるもの」

ビドゥーに吹き飛ばされたはずのアルプの身体が元通りになっていた。


「再生能力・・・?」

リドルが言った。

「少し」

アルプがリドルの方を向いた。

その目を見てリドルは背筋がゾクッと震えた。

「少ぉし違うわ、ぼーや」

ふふふとアルプは笑いながら宙に浮かび、クルクルと回る。


「さっきのあたしは死んだわ。今の私は新しい私」

アルプの言っていることをリドルは理解できなかった。

「いいこと教えてやるよ、俺たちの敵の数は・・・たったの一人だ」

「それって・・・」

シオンが言いかけたが黙っておいた。もし間違った仮定だとしたら・・・・

「だが奴は喰った人間と同じ数だけ命を持っている」

どうやらシオンの推測は合っているようだった。


最悪だった。

喰った人間の数だけ命があるなら、恐らく百回や二百回殺したところであの夢魔は完全には死なない。

たった三人でどうにかなる相手ではなかった。

「あと、3926人」

微笑みながら、アルプはそう言った。

「ち、また増えてやがる。昨日てめえと会ったときはその半分も無かったじゃねえか」

ビドゥーが拳に魔力を込める。

「ふふふ、明日にはまた倍くらいになるわよぉ」









アルプ「夢魔ってちょっといやらしいイメージがあるけど、この世界では違うのよ」

リドル「いやらしいってどんな?」

アルプ「貴方・・・天然なの、それとも・・・腹黒」


リドルはエア●ガを唱えた!!


アルプ「ああっ!!」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ