エピローグ〜そしてこれからも〜
目が覚めるとアイツが居た
「生きてるー?」
アイツは冗談半分、心配半分で聞いてくる。
焚き火が暖かい。どうやら薪を集めてくれていたようだ
「死ぬかも」
こっちも冗談半分、本気半分で言った。
わき腹を思いっきり斬られて、今は血は止まったが出血量が少し多かった。
人間は全体の三分の一が出血すれば死ねるらしい。
しかしあの傷でよく死ななかったなと自分でも自分の生命力の強さに驚く。
それ以前に切り口から妙な細菌が入り込んでいたら厄介なことになる。気のせいか腹が痛い・・・寒さからか。
「本当に・・・死んじゃったかと・・・」
奴が何か言ったような気がしたが、よく聞こえなかった
まだ頭がぼんやりとしていた。血が足りないせいでもあるのだろう
「腹が痛い・・・」
思わず声に出してしまったら、ソイツはプッと吹き出して俺にこう言う
「そりゃあそんだけカパッと開いたてたら痛いでしょ、冷たい風が沁みるだろうし」
ああ、確かにそうだ。自分でも笑えてくる
起き上がろうとすると鈍痛が走る。顔をしかめていると奴は
「まだ寝てなよ、やっと目が覚めたばかりだし」
やっと・・・
そういえば俺はどのくらい寝ていたんだ?
随分と時間が経った様な気がするが・・・
「まだそんなに経ってないよ」
コイツはそう言って笑いながら薪を火にくべた。
その手は寒さで赤くなって少しひび割れていた。
燃え尽きて灰になった薪の量から考えると、結構な時間俺は寝ていたのだと思う
少なくとも2、3日程度はコイツに看病さえていたということになる
「聞いていいか?」
俺が言うと奴は火を見ながら「ん?」とだけ言う
「一人でも行こうとか思わなかったのか、俺を置いて」
するとそいつは笑って答える
「思ったよ、一応。でもすぐに止めた、それだと意味が無いから」
「何の?」
「僕が旅をする意味。・・・と一緒に旅をしないと意味が無いんだ、きっと。姉さんを見つけるだけじゃ駄目な気がするんだ。それに・・・」
何やら恥ずかしいそうに奴は頭をかきながら俺の方を見て言う
「そんなことしたら、きっと姉さんにぶった切られちゃうよ」
俺の中のコイツの姉のイメージがまた一つ凶悪になっていった
傷口には包帯が巻いてあるのに気付いた。いささか不器用な気がしないでもないが、無いよりはマシだった
「・・・ありがとうな」
「な、何をいきなり」
よほど俺に礼をされるのがこそばゆいのかコイツは照れているようだった
「そんな感謝の言葉よりも僕が欲しいもの、分かってるでしょ?」
ああ、そういう奴だったよコイツは
「分かったよ・・・。この傷が治って、次の街に着いたら・・・」
ふかふかベッド、だろ
「あと“オンセン”ってのにも入りたい。次の街にはあるらしいんだって・・・シオ・・・」
そこから先はまた眠ってしまって覚えていない
どうやらまだまだ旅を続けられそうだ