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4−3「我が姉何処」

リドルは日本語で「謎の人」といいます

リドルの旅の目的の一つ、それは唯一の肉親である姉を探すことだった。

直接聞いたわけではないが、リドルが両親を亡くしたこと、それが姉と離れ離れになった理由の一つだということはシオンは察していた。


どういった経緯でそうなったかは聞くつもりはないし、聞きたいとも思わない。

軽々しく背負えるものでもないとシオンには分かっていた。


「姉さん、何所に居るのかなぁ・・・」

「心配か?」

リドルは首を横に振る。

「うんにゃ、姉さん僕よりずっと強いから大丈夫だって」

どう見ても心配しているという顔だった。


全くコイツはどんなに辛かろうと悲しかろうとそうやってへらへら笑って平気そうな風にする、シオンは思った。

それだけ強い精神を持ち合わせているのだろうが、いつか壊れてしまわないかと不安になる。

(あの時みたいなのは勘弁だからな・・・)



互いに何も言わないで数分ほど経とうとしていた。

何だか急にしおらしくなったリドルに声をかけづらくなり、何とも居づらい空気になる。


「・・・・・・・・・」

何かに気付いたようにリドルの目が少し大きく開く。

シオンもその目線の先を追った、すると・・・



「「すいません、止めてください」」

同時に二人は船主に言い出した。


二人の目線の先には、道の上で倒れている子どもが居た。





「・・・」

上等そうな服を着た少年だった。背丈はリドルと殆ど同じだったが、表情は幼い。

「何か勢いで船に乗せちゃったけど・・・君、名前は?」

リドルが少年に聞いた。すると少年は


「・・・姉さま」

見当はずれの解答をした。

「いや、僕は君の名前を・・・」

「姉さま・・・何所に居るの・・・姉さま・・・」

うわ言のように何度も少年はそう言った。

「あ〜・・・だから、あの〜〜〜・・・」



「・・・・・・頭でも、打ったか」

リドルがあたふたしているのを少し面白そうに見ながら、シオンがボソッとひとりごちる。


「じゃ、じゃあさ・・・“姉さま”の名前は?」

「・・・姉さまは、姉さまだよ?」

リドルはガクッと肩を落とした。



結局その少年も船に乗せたまま街を回ることにした(追加料金はリドルが負担)。もしその“姉さま”がこの少年を探しているのならば、この方が目に付きやすい。

「何もそこまでしなくてもいいのに・・・お前が自腹切ってまでなんて、珍しい」

「い、いいじゃんかっ、別にシオンに迷惑かけてないじゃん」

「まあ・・・」

そうだなと言ってシオンは頷いた。


「それに・・・」

「それに?」





「この子も自分のお姉さんを探してるんでしょ?・・・僕と、同じだ」




ああ、そうか・・・


シオンは何も言わずに、一緒に“姉さま”を探しだした。






「やっぱり家族って・・・大切なもんなのかねえ・・・」

「うーん・・・僕の場合は家族っていうより姉さんが・・・だったけど、やっぱりそうなんじゃな・・・」

言いかけてリドルは気付いた


「ごめん・・・」

「なんだよいきなり。さっきから元気がないぞお前」

「・・・姉さま」

複数の意味で“謎”の少年は、さっきからそればかりだ。


「人を探す魔法は無いものかね・・・」

シオンがぼやく

「あるにはあるけど・・・探す相手が誰だか分からないから使えないよ」

そういったあとリドルも

「せめて名前だけでも話してくれればその“姉さま”を探せるのになあ・・・」

ぼやく





「・・・ディナ」





そう言ったのはさっきまで「姉さま」の一点張りだった少年だった

「え、今なんて・・・」

リドルが聞きなおす

「・・・ディナ」

聞き間違いではなかった

「それがその・・・“姉さま”の名前?」

リドルが聞くと、セシルは首をコクコクと上下に振った。


「・・・じゃあ、君の名前は?」

「セシル」

「・・・なんで急に話してくれる気になったの?」

「話したら姉さまに会えるんでしょ?」

なるほどどうやらこのセシルという少年は自分にとって利がない場合は一切口を開かないらしい


「姉さまどこに居るの?」

セシルはじーっとリドルを見つめる


「あ、えーと・・・その・・・」

じーっとリドルを見つめる


「も、もうすぐ見つかるよ・・・たぶん」



じーーーーーっと見つめる





リドルは冷や汗をかいていた

(・・・こりゃ見つからなかったら大変だ、うん)


自分の姉より先に、他人の姉を探す羽目になるリドルであった




「・・・姉さま」


リドル「謎が謎を呼び、憎しみがまた新たなる憎しみを・・・!」

シオン「何言ってるんだ、お前」

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