4−2「得意不得意」
教えてリドル先生、第二段開幕
「すごいよシオン、街中水路だらけだよ、ほらほら」
「そんなにはしゃぐようなことか・・・?」
シオンとリドルは水の都と呼ばれる街に来ていた。
さすが水の都と言うだけあって、いたるところに水路が張り巡らされている。
わざわざ井戸にまで水を汲みに行かなくていいので、便利と言ったら便利だが、水路の向こう側に渡るためにわざわざ遠回りして橋を渡るか船に乗るかしないといけないので、不便と言ったら不便だ。
「うーん・・・」
「ん、どしたのシオン」
何故かはしゃいでいるリドルが浮かない顔のシオンに尋ねる。
「いや、最近ここで何かあったのかな・・・ってさ」
街に入るときに荷物のチェックが妙に念入りに行われたので、シオンは少し違和感を感じた。
ただ単に人の出入りに関して厳重なだけなのかもしれないが、それにしてはチェックをしている人間の手際が悪く、どこかぎこちない感じがした。
「何かここ最近から急に警備を強化したみたいな感じだったんだよな・・・」
「ということはさ、そうしなくちゃならないような理由があるわけだよね」
シオンは首肯する。
「何か事件でも起きたか、それとも・・・」
そう言ってシオンはしばらく黙り込む。
自分としては早く街の中を見て回りたかったので、リドルが少し苛立つ。
「考えるのは後のしてさ、まずはこの街のすばらしさを堪能しようではないかシオン君」
「お、おい」
結局我慢できなくなったリドルがシオンの手を引っ張って水路に泊めてある小船の方に向かっていく。
「歩かないで街を回れる・・・なんて素晴らしい街なんだ!」
ああ、そういうことか。とシオンはリドルの相変わらずの怠慢さに溜息をつく。
リドルなら魔法で空を飛んだりして移動することも可能だが、それも結構な精神と集中力を消費するので(それに人前で魔法を使うのはあまり好ましくないため)、余程のことが無い限りは徒歩で今まで移動してきた。
「もっと燃費のいい移動用の魔法は無いものか・・・」
船主に渡し賃を渡してとりあえず街をぐるっと回ってもらうことにした。
「お前が使ってる移動用っていったら・・・あれか、背中に羽生やすやつ」
といってもそれはシオンが知っている中のものであって、もしかしたらリドルはシオンの知らない魔法を持っているかもしれない
「ああ・・・あれは何というか・・・見た目に拘りすぎた、うん。イメージしやすいからすぐに出せるんだけど燃費が悪いんだよねぇ・・・」
基本的に魔法や魔術はイメージするだけで使えるもので、使用者がイメージしやすいほど精度や威力が増す。
魔法を使うものを便宜上魔法使いと呼んでいるが、実際は普通の人間と何も変わりない。
ただ、常人より精神力、集中力、想像力などが強いもののことである。
平たく言うと善悪問わず「心」が強いもののことで、後天的に魔法が使えるようになるのである。
だから魔法使いにの中には過去に辛い経験をして精神的に強くなった者や、芸術的センスがすぐれた者が多い。
前者は「魔法」を、後者は「魔術」を得意とするケースが多い。
両方に一致するものは、魔法と魔術を両方得意とするので俗に「賢者」などと呼ばれている。
「火と風と水の魔法が巧く使えればもっと簡単に空を飛べるんだけどなあ・・・」
10段階で評価すると、リドルの魔法のレベルはおおよそ
火・・・3
水・・・5
風・・・8
である、ちなみにレベル1が「常人」、3が「該当属性の魔具が扱える」、5が「該当属性の魔法が扱える」、レベル8は「天才」の域である。
「姉さんなら・・・火の魔法が得意なんだろうなあ・・・性格上」
「お前の姉さんなんだからそりゃもうすごいんだろうな・・・」
シオンは笑顔で爆炎を撒き散らす小柄な少女を想像した。少し身震いがする。
「あ、絶対変な想像してる」
リドルが訝しげにシオンを見ている。
(・ω・ )
・・・感想とかくれたら嬉しいな、なんて・・・
いや、何でもないです。戯言でした、はい