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3−1「出会いと想いの中で、私は」


私はとある理由があって世界中を旅している。


私の名前、そして旅の理由はここには記さないでおく。

どちらも聞いたところで、これを読んでいる諸君の知的好奇心に応えるだけの面白い内容ではないからだ。


だが私にとっては私の名前と旅の理由は、今の旅人である私を構成する大きな部分であった。


前置きはさておき、本日とある国のとある町で二人の旅人に出会った。

彼らの名前は伏せておこう。許可も無く他人の情報を載せるのは、その情報の確度に関わらずあまり褒められた行為ではない


と、私は思う


その二人はまだ年端も行かぬ少年で、一人は十代半ばでもう一人はそれより少し下・・・といったところだった


その年で旅をするということは余程の理由があるのだろう。まさかこの御時世にどこぞの金持ちの道楽、と言うわけでもあるまい


兄弟にも見えたが、互いの会話や目や髪の毛の色の違いなどからどうやらそうではないと思われた。


両親など家族は全ていないのだろう。容易に推測できる。

旅の理由も恐らくそれが関係しているのだろう


と、私は思う


だから私は彼らに旅の理由を聞くつもりは無い。私は聞かれたら応えるつもりだったが。


彼らも私に気を遣っているのだろう。そういった話題には触れなかった。



始めは互いに警戒をし合っていた。旅をする上で自分以外は全て敵と仮定して行動するのが一番安全だ。疑心暗鬼は目に見えない敵を生む代わりに生存確率を大きく上げる。


だが小さいほうの少年のあっけらかんとした態度と発言、行動にすっかり私も(恐らく相方の大きいほうの少年も)毒気を抜かれてしまい、そこからはすっかり打ち解けてしまった。



その小さな少年は常に明るくは振舞っていたが、時々遠くを見るような、何だか今にも消えてしまいそうな悲しげな表情を見せた。


そのときの目は、薄く曇っていた。


私はこの少年の今まで経験してきた苦悩の欠片を垣間見た気がした。


まだあんなに幼い、あまりにも幼い少年がどれほどの苦痛を味わってきたのか

それは私には想像しえないほどのものなのだろう


と、私は思う



だが、きっともう一人のあの少年・・・

彼がきっとこの少年の何かを変えたのだろう


彼と話すときの少年は生き生きとしているように私には見えた




持ちつ持たれつだな・・・


と、私は思う






翌日、彼らは旅立った。

別れは必然のことだとは思っていても、やはり名残惜しかった。


私は「君たちの旅に、光がありますように」なんて気取ったことを言って別れを告げた。

彼らは嬉しそうににこりと笑って歩き出した。


話を聞くと、どうやら彼らが次に向かうのは水の都として名高い「ヴェルネ」へ向かうらしい。定期船に乗って隣の大陸に渡るつもりだろう。


私は噂の「夢の国」に行こうと思い、そのことを彼らに話したらなんとも気まずそうな顔をして「その国はもう無くなりました」と言った


まさか内乱でも起きて滅んだのだろうか・・・「夢の国」が?

彼らは喋りたくない様子だったので聞かないことにしたが・・・やはり気になる


どちらにせよ通る道なので、確かめに行くことにした。

急ぐ旅でもない、気ままに行こうと思う



と、私は思う



「魔法使いというものをこの目で見る」


それが私の旅の目的の一つだ、理由は言わないがそのために私は旅をしている

しかしいったいどこにいるのだろう・・・


存在するというのはどうやら確からしいのだが・・・


だが居るとしたらその人物は・・・

きっともの凄い年をとった老人に違いない




と、私は思う


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