最悪な過去
こんばんは。Microsoftです。
忙しくてこの機を逃すと次は何時投稿できるかわからないので急いで仕上げました。
「……それでは、これで終了します。今日はこれで終わりなので帰って結構です
」
そういうと、その女性はドアを開けて出て行った。
今までの話を簡単に言うと、挨拶から始まり、自己紹介に始まり授業についてだ
とか、校内案内だとかそんなことだった。
ちなみに、担任の名前は、坂口理恵というらしい。目ためはおばちゃん。そこら
辺の弁当屋さんにいそうなタイプ。でも、実年齢は24らしい(自称)まぁ、どうで
もいいけど。
担任と言っても僕たちに授業をするわけではないので、HRのとき意外は接点は無
くなる。
それに、今の話は学校のパンフレットに載っていて僕はそれを何度も読んだので
担任が言っている事は右耳から入って全て左耳から出て行った。
退屈でしかなかった時間はようやく終わり、生徒たちはため息とともに席を立ち
上がる。
早速、声をかけて友達を増やすものもいれば、僕のようにそそくさと帰ろうと準
備をしているのもいた。
特に配られたものも無かったので、僕は荷物を纏めて席を発った。
誰にも見つからないように、静かに、地味に。
ドアへと向かう。
よし、無事に帰れ……
「ちょっと待った!!」
なかった。
振り向くと、そこには予想通りの人物が立っていた。
ポニーテールの美人、椎名朱莉。
まぁ、さっきも会話はしたから朱莉には悪いイメージは抱いていない。
それはいいとして、隣に立っている女子は誰だろうか?
メガネをかけた大人しそうだが、中々顔は整っていて、いわゆる隠れ美人という
やつだろうか?
「何か…用ですか……?」
「何か用ですか? じゃないわよ! 全く。」
と、怒気をふんだんに含んだ声で怒られた。
しかも、隣の隠れ美人は泣きそうになってるし。
僕、何か悪いことしましたか?
と聞きたくなったが僕の本能が危険を察知しているので言わない。
どうしていいか分からずしどろもどろしていると、朱莉がニヤッと笑って口を開
いた。
「ぁ、隣にいるのは優ちゃん。さっき知り合った子なんだけど、何か埜臼のこと
がき……」
「あっあっあのぅ! 私は、白井優っていいます! よ、宜しくお願いしますっ!」
と、朱莉が何か言おうとしたところを遮る様に挨拶をしてきた。
「……はぁ」
気の無い返事をして自分でも何処をみているかわからないぐらいボーッとする。
暫く無言の時間が続くと、いきなり、
「ご…ごめんなさいっ! やっぱり私なんて駄目ですよね!! ごめんなさい、ごめん
なさい!!」
そういうと、顔を真っ赤にして俯きながら優は脱兎のごとく教室を飛び出ていっ
た。
突然の優の行動に驚いた朱莉は、
「ちょ、ちょっと待って!」
といって優の後を追いかけて教室を出て行った。
結局、何がしたかったんだろうか……?
まぁ、どうでもいいけど。
僕は、荷物を持って教室を後にした。
廊下は始業式らしくガヤガヤと賑わっていた。僕は、人ごみを掻き分けて目立た
ないように校門へと向かう。
ドンッと全身に衝撃が走った。
今日は厄日かな? 朝の占いは乙女座97点だったはずだったんだけど。
「いってぇな! 気をつけろ!!」
左胸を見ると、エクセルA組だということをしらせるクラス章が付けられていた。
はぁ、面倒くさいとは思ったが、
「気をつけろ! っていったってそっちがぶつかって来たんじゃないか!!」
とは言えず、ただ、
「……はい、すいませんでした……」
と謝って帰ろうとしたが次のあいつの言葉が僕を怒らせた。
「ったく、ウジウジしてて気持ち悪いんだよっ!」
そいつは笑いを含めた声で僕を嘲笑った。
そこからの記憶はもう無かった――――
気がつけば、僕を中傷したあいつは床でのびていた。白目を剥いている。
あぁ、またやってしまったんだな――――
僕が周りを見回すと皆呆然とした表情を恐怖に変える。
そして少しづつ後ずさり僕から逃げていく。
――――ねぇ、何で僕から逃げるの?
――――僕を一人にしないでよ……
意識が混濁して何も考えられなくなる。
ドサッという音が耳に入ったけど、僕は何も感じなかった。
夢を見た――……
僕が小さい頃の夢。僕が心の奥底に鍵を何重にもかけて封印した思い出。
でも、何重にも鍵をかけたのに夢の中でだとその鍵は全部外れてしまう。思い出したくないのに、頭の中で再生される。
――――「きめぇんだよ!! 女かよおまえは、グジグジしやがって!」
小学校の頃、皆の人気者で喧嘩も強いケンちゃんが僕に向けて言った言葉。
あの時にはもう今の僕になっていた。
何を聞かれても曖昧にしか返事を返さなかった僕に遂に痺れを切らしていった言葉は、毎日毎日言葉の暴力を浴びていた、低レベルなイジメにも傷心していた僕はこれで理性を失った。
記憶はどんどん薄れていき、気づいたときには先生が僕を羽交い絞めにしていた。
必死に宥める様な言葉を浴びせかけている。
目の前には血だらけになって倒れているケンちゃん。
硝子が割れていた。僕の両手には何も握られていない。生まれて初めて使った魔法は、
最低だった。
何度も見た夢。でも、この夢ほど後味が悪く不快な夢は無い。
もう、見たくない。そう思っても見てしまう夢。
思い出を削除してしまいたい。
本気でそう思った。
感想、アドバイス等心よりお待ちしております。




