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KADOKAWAの赤字はなろう系の終わりではないが投稿サイトの未来は明るくなさそう  作者: 水源


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Web小説は読まれなくなったのか――なろうとカクヨムの将来を私は悲観している

 最近、以前より感想をもらえなくなった。


 これは、Web小説を書いている人なら、一度くらい感じたことがあるのではないだろうか。


 ただ、感想が減ったからといって、読者そのものが減ったとは限らない。


 スマートフォンで読む人が増え、作品を読んでも感想を書かず、星やハートを付けたり、フォローしたりするだけの読者もいる。


 だから、


「感想が減った=Web小説が読まれなくなった」


 と単純に考えるのは危険だ。


 私が気になっているのは、感想の数そのものではない。


 その背後にある、**読者と作品の接点が変わってきたこと**だ。


 そして最近、それを単なる自分の感覚だけでは片付けにくい数字も目にした。


 長くWeb小説を見てきた者として、私はやはり、


 **Web小説を取り巻く環境そのものが、昔とは変わってきたのではないか。**


 と思っている。


 ## なろうが作った「Web小説の文化」


 この話をするなら、「小説家になろう」は外せない。


 ランキングを見る。


 作品を読む。


 感想を書く。


 評価する。


 人気作品がランキングを上がり、その中から書籍化作品が生まれる。


 今では当たり前になったこの仕組みを、なろうはかなり早い段階から作ってきた。


 つまり、なろうは単なる小説投稿サイトではなく、**Web小説を「読まれるもの」「人気が可視化されるもの」「商業出版につながるもの」に変えた先駆者**だったと思う。


 2024年時点で、なろうは掲載作品数111万作品、月間20億PV、月間UU880万人とされ、掲載作品の商業化数も7000以上に達している。([hon.jp](https://hon.jp/news/1.0/0/52707?utm_source=chatgpt.com))


 これだけ巨大になれば、作品数が増え続けるのは当然だろう。


 問題は、そのすべてに読者の時間が配られるわけではないことだ。


 ## 作品は増える。だが、読者の時間は増えない


 Web小説は、昔よりはるかに簡単に投稿できるようになった。


 書きたい人が書ける。


 新人でも投稿できる。


 出版社に持ち込まなくても、読者に直接届けられる。


 これは作者にとって素晴らしいことだ。


 しかし、読者が一日に読める時間には限界がある。


 作品が十万しかなかった時代と、百十万以上ある時代では、一作品に流れる読者の時間が薄まって当然だろう。


 しかも今後、生成AIの普及によって、文章を作るコストはさらに下がっていく可能性がある。


 そうなれば、Web上に存在する物語の数は、これまで以上に増えるかもしれない。


 つまり、


 **作品を作るコストは下がる。

 作品数は増える。

 しかし、読者の時間は増えない。**


 この構造は、投稿サイトにとって厳しい。


 ## なろうのPVは、本当に減っているのか


 これまでは、私自身の感覚としてしか語れなかった。


 しかし、2026年6月に「小説家になろう」公式サイトの質問板に投稿されたデータには、気になる数字がある。


 投稿者がKASASAGIの保存データから集計した、なろう全作品の5月の合計PVだ。


 2023年5月は**18億8289万6363PV**。


 2024年5月は**17億3227万0427PV**。


 2025年5月は**14億5271万6180PV**。


 そして2026年5月は**12億7327万1936PV**だった。([syosetu.com](https://syosetu.com/bbstopic/top/topicid/9121))


 2023年5月から2026年5月までで、約6億1000万PV、率にして約32%の減少になる。


 もちろん、この数字は運営会社が公式統計として発表したものではない。


 また、PVは読者数そのものでもない。


 作品数の増加、他サイトへの読者の分散、一人当たりの閲覧量の変化など、PVが減った理由も、この数字だけでは分からない。


 それでも、**同じサイトの同じ5月を比較した数字として見るなら、なろう全体のPVがここ数年でかなり減っていることは無視できない。**


「なろうの勢いが昔より弱くなった」という私の感覚にも、少なくとも一つの裏付けができたと思っている。


 ## なろうは「入口」だった


 ここで「小説家になろう」と「カクヨム」の違いを考えてみたい。


 かなり単純化すれば、


 **なろうは、巨大な投稿・発掘の入口だった。**


 作者が作品を投稿する。


 ランキングで人気作品を探す。


 読者が反応する。


 人気作品が見つかる。


 そして、その一部が商業出版へ進む。


 なろうは、この「Webから商業へ」という流れを先行して作った。


 その後に登場したのが「カクヨム」だ。


 ## カクヨムは商業化への導線を強くした


 カクヨムを作ったKADOKAWAにとって、Web小説は単なる無料コンテンツではなかったはずだ。


 そこから作者を発掘し、作品を見つけ、書籍化し、さらにコミック、アニメ、ゲームなどへ展開する。


 KADOKAWA自身も、カクヨムなどのUGCプラットフォームを活用して著者を発掘すると説明している。([group.kadokawa.co.jp](https://group.kadokawa.co.jp/business/publishing.html?utm_source=chatgpt.com))


 だから私は、


 **なろうが巨大な投稿・発掘の入口を先行して作ったのに対し、カクヨムはKADOKAWAによる商業化への導線を強く意識したサイトだった**


 と見ている。


 もちろん、なろうにも書籍化という出口はある。


 ただ、両者では重心が少し違っていたのではないかと思う。


 ## 読者も作品も分散してきた


 なろうの中身も、昔とは変わった。


 2024年の取材では、なろう利用者の構成は男性45%、女性35%とされ、2016年の男性55%、女性29%から女性の比率が上がっている。([hon.jp](https://hon.jp/news/1.0/0/52707?utm_source=chatgpt.com))


 悪役令嬢や異世界恋愛など、女性向け作品の存在感が増したことも、長くランキングを見てきた者として実感する。


 一方、男性向けファンタジーやラブコメなどは、カクヨムを含む他サイトへ分散していったようにも見える。


 これも、私がなろうのPVやランキングを昔とは違って感じる理由の一つなのではないかと思っている。


 ただし、ここはあくまで私自身の観察だ。


 ## では、カクヨムなら安泰なのか


 ここからが、私が一番考えたいところだ。


 カクヨムは商業化への導線を強く持っている。


 KADOKAWAによれば、カクヨム掲載作品から書籍化された作品は2026年4月時点で835点に達している。([group.kadokawa.co.jp](https://group.kadokawa.co.jp/kadokawa_numbers/?utm_source=chatgpt.com))


 投稿される作品そのものも膨大だ。


 KADOKAWAの中期経営計画では、カクヨムの累計投稿作品数は100万作品に達している。([group.kadokawa.co.jp](https://group.kadokawa.co.jp/global/ir/media-download/1071/8f8dbff7c957cecf/PDF/?utm_source=chatgpt.com))


 しかし、ここで問題になる。


 **出口である出版市場そのものが、昔ほど余裕のある市場ではなくなっているからだ。**


 ## 出版市場そのものが飽和している


 KADOKAWA自身が、国内出版事業について「市場が飽和」の状態にあり、刊行点数を増やしてもヒット作の創出につながらず、1タイトル当たりの部数減少によって収益性が悪化していると説明している。


 さらに、実績のあるジャンルへの偏重も課題として挙げている。([group.kadokawa.co.jp](https://group.kadokawa.co.jp/ir/media-download/1020/cbc6293625c5027c/PDF/?utm_source=chatgpt.com))


 これは、Web小説投稿サイトにとっても大きな問題だと思う。


 これまでの基本モデルは、


 **作品を集める

 ↓

 人気作を見つける

 ↓

 書籍化する

 ↓

 売上を作る**


 というものだった。


 ところが、作品が増えれば、出版市場にもより多くの作品が流れ込む。


 結果として、一作品当たりの売上規模が小さくなる。


 つまり、


 **入口をいくら広げても、出口である出版市場には限界がある。**


 ## KADOKAWA自身も出版事業を見直している


 2026年3月期、KADOKAWAの出版事業は、前年の32億円の営業黒字から10億円の営業赤字へ転落した。


 ただし、KADOKAWA全体が赤字になったわけではない。


 KADOKAWA全体では同年度に売上高2829億円、営業利益81億円を確保している。([group.kadokawa.co.jp](https://group.kadokawa.co.jp/kadokawa_numbers/?utm_source=chatgpt.com))


 もちろん、出版事業の苦境がWeb小説だけによって生じているわけではない。


 ただ、少なくとも、


 **「Web小説を商業出版へ送り出せば、それだけで安泰」という時代ではなくなっている。**


 そう考えることはできると思う。


 ## KADOKAWAには、かつて大きなIPがあった


 KADOKAWAは、『涼宮ハルヒの憂鬱』『とある魔術の禁書目録』『ソードアート・オンライン』など、大きなIPを育ててきた。


 その後も『Re:ゼロから始める異世界生活』『この素晴らしい世界に祝福を!』などのヒット作がある。


 だから、「KADOKAWAにはヒット作がない」と言いたいわけではない。


 ただ、私自身、最近はハルヒやとある、SAOのように、作品そのものが広い層に長く認識される大型IPが、以前ほど目立って見えなくなった。


 これは、あくまで私自身の感覚だ。


 ## 時代は、紙から電子へ移っているのかもしれない


 ここまで来ると、「出版市場が終わる」と考えるのも少し違うと思う。


 むしろ、時代そのものが紙から電子へ移っているのではないか。


 ただ、その移行には大きな偏りがある。


 **漫画と小説では、電子化の進み方が同じではない。**


 2024年の紙の書籍市場は約5939億円。一方、同年の電子出版市場では、文字もののほか写真集を含む「電子書籍」が452億円だった。([shuppankagaku.com](https://shuppankagaku.com/column/20260126/?utm_source=chatgpt.com))


 もちろん、この二つは同じ分類の市場ではない。


 だから、


「紙の小説が約6000億円、電子小説が約450億円」


 と単純に比較することはできない。


 それでも、**紙の書籍市場に比べて、文字ものの電子市場がまだ小さい**ことは分かる。


 一方、2025年度の国内電子書籍市場は6846億円で、そのうちコミックが6010億円、87.8%を占め、文字もの等は615億円、9.0%だった。([research.impress.co.jp](https://research.impress.co.jp/report/list/ebook/502499?utm_source=chatgpt.com))


 つまり、


 **漫画では電子市場がすでに巨大化している。

 しかし、小説を含む文字ものは、まだ漫画と同じ規模の電子市場を作れていない。**


 もちろん、市場規模そのものが違うため、単純に「小説の電子化が遅い」と断定することはできない。


 それでも、


 **紙から電子へ移る流れはある。

 しかし、小説まで漫画と同じ形で電子化が進んでいるわけではない。**


 ということは言えるのではないか。


 だから問題は、


 **人が本を読まなくなったのか。**


 だけではない。


 **人がどこで読み、どのような形でお金を払うのかが変わっているのではないか。**


 そして小説については、その答えがまだ完全には見つかっていないのかもしれない。


 ## カクヨムネクストは、その答えになれるのか


 そこで興味深いのが「カクヨムネクスト」だ。


 これは書籍化を前提にするのではなく、月額料金を払って作品を読む有料の読書サービスだ。


 KADOKAWAの資料によれば、有料会員は2年間で6.2倍に増えている。([group.kadokawa.co.jp](https://group.kadokawa.co.jp/global/ir/media-download/1071/8f8dbff7c957cecf/PDF/?utm_source=chatgpt.com))


 これまでのカクヨムが、


 **作品を無料で集める

 ↓

 人気作品を書籍化する**


 というモデルを強く持っていたとすれば、カクヨムネクストは、


 **作品を読んでもらう

 ↓

 読者から継続的に料金をもらう**


 というモデルを目指している。


 つまり、**書籍化によって収益化するモデルから、Web上で継続的に読まれることで収益化するモデルへの転換**だ。


 私は、ここにこれからのWeb小説サイトの可能性があると思っている。


 ただし、カクヨムネクストが出版事業の収益悪化をどこまで補えるのかは、まだ分からない。


 有料会員が増えたからといって、それだけで従来の出版モデルを置き換えられるわけでもない。


 だからこれは「答えが出た」という話ではない。


 **次のビジネスモデルを探している途中なのだと思う。**


 ## 「作品を増やせばいい」という時代ではない


 結局のところ、


 **作品を集める。

 人気作を見つける。

 書籍化する。

 利益を得る。**


 というモデルだけで、これから先も安定して運営できるのか。


 私は、そこに不安を感じている。


 作品数は増える。


 読者の時間は増えない。


 出版市場にも限界がある。


 一方で、紙から電子への移行も進んでいる。


 ただ、その中心は漫画で、小説はまだ同じ場所まで来ているとは言いにくい。


 そして、カクヨムネクストのように、読者から直接料金を受け取るモデルも生まれている。


 だから、これからの投稿サイトに必要なのは、作品を増やすことだけではない。


 **その作品をどう読んでもらい、どう作者へ利益を還元し、その価値をどう収益につなげるのか。**


 そこが問われるのだろう。


 ## それでも、なくなってほしくはない


 ここまでいろいろ書いてきたが、私はWeb小説そのものがなくなるとは思っていない。


 むしろ、これからも残ると思う。


 お金をかけなくても始められる。


 好きなものを書ける。


 誰かに読んでもらえる。


 感想が来れば嬉しい。


 評価が付けば嬉しい。


 自分が書いた物語が、知らない誰かの楽しみになることもある。


 私自身、小説を書くことは悪くない趣味だと思っている。


 時間はかかる。


 でも、お金という意味では比較的低コストで続けられる。


 だからこそ、投稿サイトがなくなる未来だけは見たくない。


 特にカクヨムには、書く場所として残っていてほしい。


 ある日突然、


 **「利益が上がらなくなったので、カクヨムは閉鎖します」**


 なんて発表を聞くことだけは、できれば避けてほしいと思っている。


 Web小説は残る。


 だから、そのWeb小説を書き、読み、誰かに届けられる場所も、残ってほしい。


 私は、そう願っている。

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