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393回分の後悔を超えて

過去の話を見返すとおかしな所がいくつかあったので修正しました。


1人称と3人称が混合しているのを修正

魔術師の名前を『クロエ』に変更

「……あなたは、394番目よ」


(…………394)


その途方もない数字を聞いても、僕の心に不思議と恐怖は湧かなかった。

首を刎ねられる感触、内臓を焼かれる熱さ、四肢をすり潰される激痛。思い出すだけで吐き気がするような死の記憶たち……むしろ、圧倒的な死の記憶、凄まじい絶望を思えば、ひどく納得のいく数字だった。


(そっか。僕はそれだけの回数、みんなを守れずに死んできたんだな……)


僕はぎゅっと拳を握りしめた。


これまでに流してきた血が、今の自分を形作っているのだ。僕の中で勝手に『次こそは絶対に救う』という勇者の覚悟へと変換されていく。


(感傷に浸っている暇はない。これからどう動くべきか、思い出すんだ)


頭の中で素早く今後のスケジュールを組み立てていた。

まずは前衛の要であるガランと合流し、これからの激戦を見据えて装備を新調する。そして魔導師のクロエと合流し、いずれ来るであろう魔王軍の『四天王』の襲撃に備えなければならない。


(待てよ。あ……違う! その前に!)


前回の旅路をなぞろうとしていた僕の足が、ハッと止まった。

最も肝心な、一番最初の悲劇を忘れていた。

王都から街道沿いに徒歩で半日ほどの距離にある小さな集落――『リナスの村』だ。


(そうだ、今日、リナスの村が魔物の群れに襲われるんだ……!)


僕は黒い煙を上げて村の半分が焼かれている景色を思い出した。今から全力で向かえば被害が出る前に間に合う!


「リア、急ごう! リナスの村が危ない! 魔物に襲われているんだ! 前回は――

「アレン。詳しい説明はいらないわ。指示だけ頂戴」

「え……?」


突然言葉を遮られ、僕は目を丸くした。

リアは整った顔を少しも崩さず、周囲に誰もいないことを確認するようにスッと視線を巡らせてから、声を落とした。


「ここで未来を大声で語るべきではないわ。……理由は、わかるわね?」


僕はその言葉の真意を瞬時に悟り、ハッと息を呑んだ。


(そうだ……! 『回帰』の秘密は、絶対に誰にも明かしてはいけないんだ!)

リアは、僕が焦りのあまり致命的なミスを犯すのを、冷静に止めてくれたのだ。


僕は強く頷いた。

そんな僕を見つめ、リアは淡々と告げる。


「私に視えたのは、あの悲しい結末だけ。過程は知らないわ。だから……あなたが導いて」


「わかった……ごめん、気が急いてた。詳しい話は、今夜村に着いてから、安全な場所でするよ。今は僕を信じてついてきて!」


リアは満足そうに、完璧な微笑みを浮かべて小さく頷いた。


「ええ」

「よし、行こう! 一直線にリナスの村へ向かうよ!」


僕は迷いなく、真っ直ぐに伸びる街道を力強く駆け出した。

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