表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
未来人が天才を迎えに来たけど自分じゃなかった  作者: summer_afternoon


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

59/64

『よいか? 愚民ども、聞くがいい。

 過去に(とら)われてはならない。過ぎたるは及ばざるがごとしと言うではないか。あ、意味違った。後悔先に立たずと言うではないか。死んでからの医者、人生の先輩(母)の言葉を借りるらば、損切後の暴騰、倒産による企業年金減額。もとい。今を生きよ』


訳:今さら遅いよ。どうにもなんないよ。





第1志望中学校に、花園君、(たちばな)君、バイオリン姫、私が合格した。

キッズモデルの三上さんは二次試験で落ちた。


モデルをしていたことを面接官が知っていたらしい。別に悪いことではないし、本人も胸を張って仕事してるって言ってた。だから、


「モデルとしての仕事を続けますか?」


って質問されたとき、堂々と、


「続けます」


って意思表示をしたって。

そしたら「学業との両立はできませんよね」なんて言われたらしい。


「そんなんヒドイよ。一緒の中学行きたいよー」


なんだか私の方が悔しくなっちゃって、びーびー泣いちゃった。


「ニカ、ありがと。そんな学校だったら、行っても私には楽しくないよ」


モデルはよしよしって私の頭を撫でて、反対に私をなぐさめてくれた。


「三上さん、学校、近いし。家だって近いもん。いつでも会えるよね。会おうよ。会ってね」


バイオリン姫までもらい泣き。


「もー。2人とも泣かないでよー。分かってるの。私、きっと筆記試験、合格ラインぎりぎりだったんだって。ぜんぜんできなかった。もしね、花園君みたいに文句ないくらいの結果出してたら、好きなことやっても、誰からも何も言われないと思う。だから、中学行ったら、誰にも文句言わせない結果出すから」


女の子は強い。女子力の高いモデルは、最強のスーパーガール。


「いっぱい活躍してね。友達にもいっぱい自慢するから。この子、めちゃかわいいでしょって」


びーびー泣きながら言うと、モデルは笑った。その大輪の花のような笑顔を見て思ったの。イイ女って、小学生のときからイイ女なんだなーって。





忘れちゃならないことがある。あれ!


「先生。教えてください。去年、私にチョコくれた男の子は誰なんですか?」


冬の割れるほどの寒さを(たた)えた星空の下、私は、塾の裏口から出てきた神センに詰め寄った。

ぱっと景色が変わる。白い革製のソファがある神センの部屋に。


「受験お疲れさま、仁科(にしな)。まあ、掛けて」


(うなが)されてソファに腰を下ろした。神センはキッチンの方へ歩いて行き、ジュースをグラスに注いで戻って来た。そして、私の正面にすっと座った。


「いただきます」


美味しっ。桃味。


「面接の日は、騒ぎに巻き込んですまなかった」


心底申し訳なさそうな顔で頭を下げる神セン。


「第1志望に合格したんだから、ぜんぜんOKです」

「ほっとしたよ」


あ、神センに頭を下げさせるなんてとんでもないじゃん。

起立、


「1年間、ありがとうございました。先生のおかげで、夢のような学校に行くことができます」


礼、ぺこり

着席。


「いやいや。これからだよ。頑張って」

「はい!」


嬉しくて右腕をまっすぐ上にピンと立てた。


「これでよかったんだろうか」


はーっと神センは溜息をついた。

え?


「どうかしたんですか」

「心配だったから、面接をここから見てたんだよ」

「はい。私、なんとか乗り切りました」


さすがに難関校。面接も難しかった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ