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未来人が天才を迎えに来たけど自分じゃなかった  作者: summer_afternoon


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ご飯を口に運びながら、花園君がぼそっと(つぶや)いた。


「オレさー、スペシャル講習行きたくねー」


あーあ。そうなるよね。


「花園君、それは勿体(もったい)ないよ。あんなに成績いいのに」


キッズモデルが(たた)える。


「昨日の結果はたまたまだって。オレ、一人で授業受けるのヤダ」


子供か。って小学生だから子供なんだけどさ。


「ごめん。来週はがんばって、花園君を一人にしないようにするね」


バイオリン姫が(なだ)める。甘やかすな。


「私もがんばる。そうだ! 生徒会長も合わせて3人で教科振り分けてその教科を重点的に勉強すれば、3人のうち誰かはSクラスに残れると思う。ど?」


提案したのはモデル。またまた人差指をピンと立ててる。どこまで花園君中心なわけ?


「あのさー。花園君が本部校で友達作ればいいんじゃない? Sクラスの常連。どーせ(たちばな)君が部活終わって来るようになっても、橘君が毎回Sクラスになれるとは限らないんだから。友達になった子とは中学も一緒になるかもじゃん」


私は現実的な案を出してみた。


「それいーじゃん! ニカ」


喜んだ花園君は、まだほとんど食べていないお弁当をそのままに、またまた席を立ってリュックを(あさ)り始めた。今度は何?

 

しばらく女子3人で見守っていると、紙とマーカーを持って戻って来た。


「おい、あのさー、これ昨日の順位表。えーっと、全部Sクラスのヤツは……と。コイツとコイツとコイツ」


算数の順位表に、他の教科も30位以内の子の名前をマークした。


「Sクラスって30人しかいないの?」


そんなに少ないんだ?


「ううん、40人」


私の質問にモデルが即答。

ここにいる私以外の3人は、Sクラス常連なのね。プラス生徒会長も。すごっ。だってさ、スペシャル講習は難関校に特化した講習。受講者全てが各サテライト校の上の方。その中で40位以内なんて。


「うーんと、常連は15位くらいまでだと思うんだよなー」


にっこりと無邪気な花園君。ねぇ、それは来週まででいいじゃん? まず、お昼ご飯食べようよ。

女子3名は既に食べ終わって、花園君が持ってきた順位表を一緒に見ている。


「この3人、いつもの模試の順位表でも名前見たことあるかも」


バイオリン姫が順位表の3か所を指差す。


「ん? ホントだ」


私も見たことあった。覚えてる。


「この子、当てられてたじゃん。銀縁メガネのすっごい神経質そうな感じの」


両手でメガネを作って喋るモデル。


「こっちの子は、私、テストのとき隣だった。ずっと貧乏ゆすりしてたから覚えてる」


バイオリン姫ったら、お気の毒。


「あ、コイツ、不登校のゲーマーで塾だけ来てるんだってさ」


マーカーでとんとんとさしながら、嬉しそうに話す花園君。もうすっかりお弁当のこと忘れてるよね。


それにしても。さすが成績トップのコア。一癖ありそうな子ばかりってわけね。花園君だって、こんなだし。失礼。


「花園君、向こうで友達できても、行き帰りくらいは私達と電車乗ろうね」


モデルは「いらんこと言うな」的な視線を私に向けてる。


「うぃぃ。オレ、この不登校のゲーマーと喋ってみたいかも。おもしろそーじゃん」


自分の興味があること以外お構いなしの花園君は、やっと順位表を横へやった。と、ここで時計は午後の講習が始まる3分前。


「花園君、お昼、終わっちゃうよ」


優しいバイオリン姫が心配そう。


「げー。まだ食ってねーし。オレ、ロビーで飯食ってくる」


おい、夏期講習より弁当かよ。

花園君はお弁当を持って教室を出ていった。残されたのはキツネにつままれたような顔の花園ファンクラブと私。


バイオリン姫は、花園君が置きっぱなしにしていったマーカーと順位表を、机の上に戻してあげていた。その机には、午前中最後の教科のテキストとノートが開いたまま放置状態。


花園君は10分遅刻をして授業に参加した。

神センはもう慣れてしまったのか、一瞬視線をむけただけだった。ご心労をお察しいたします。


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