オタクの刃
エッセイ
オタクを日向へ出してくれてありがとう。
私は昔から漫画が好きだった。
小学生の頃は、コロコロコミックや最強ジャンプを夢中で読んでいた。
でも、本当に「漫画ってすごい」と感じたのは、祖母の家で『AKIRA』を見つけたときだ。
ページを開いた瞬間、空気が変わった気がした。
特に4巻の疾走感は、今でもあのときの心臓の速さと一緒に覚えている。
それでも私は、漫画好きであることを隠していた。
学校には、目に見えない階層がある。
一軍と呼ばれる人たちが、世界の光を全部集めているように見えた。楽しい学校生活は、個人によって異なるだろうが、基本的に然カースト上位なほど楽しい学校生活になるだろう。
少なくとも私の理想は一軍だった。
オタクであることは、一軍になれない印のように感じていた。
そんな考えの私は、自分の好きを隠して理想の学校生活を過ごしてきた。
だから友人が家に来て、山のような漫画を見て目を丸くするとき、私は心の中で言い訳を探していた。
そんな私の考えを変えたのは、高校1年のとき。
コロナで学校が止まり、家に閉じこもる日々が続いたあの期間だ。
世の中が静止したような時間の中で、『鬼滅の刃』が爆発的に広がった。
誰もが漫画やアニメの話をし、キャラクターの名台詞が流行語になった。
「漫画はオタクのもの」という壁が、あっけなく消えた。
そのとき、私はようやく自由になれた。
堂々と漫画の話ができる。
好きなことを胸を張って言える。
あの頃からの学生生活は、今までとはまるで違った。
鬼滅の刃が、オタクの立場を変えてくれたのだ。
そして今、私は大学で漫画を研究している。
隠すしかなかった「好き」が、今は私の武器になっている。
ーーありがとう、鬼滅の刃。
私を日向へ連れ出してくれたのは、間違い
なく君だ。
主にnoteで執筆しているので良かったら覗いて見てください!!