第21話:人工無能
私は、一つ忘れていた事があったとですよ。
それは、佐藤 遥さんの存在だとです!
「ふぅん……、『AI』相手に考察をして、私の事は眼中に無かったの」
「あうあう……そう云う訳では……」
「でも、『AI』を相手にしていて、私の事は蔑ろにしていたのは確かでしょう?」
「でも!大事な事も訊いていたとです!」
「大事な事『も』。それ以外にも訊いていたってことよねぇ……」
「あうあう……」
返す言葉が無いとです。
「……それで?何をどうしてどうなったの?」
……ん?
「ホラ、経過と結果って気になるじゃない」
「『全知全能の魔王』たるこのウルフドッグの『ゼン』の『魂に刻まれた真の名』が、『ゼル・オウル・フドッグ』である事が判明したとですよ!」
「……は?」
「……えっ?」
何か、不都合だったとでしょうか?
「『全知全能の魔王』?!ソレ、普通は『神』に対して付ける権能じゃないの?!」
「『全能神教』は邪教扱いされているとです。
『邪神』ならば、ソレは『魔王』にニアイコールだとです!」
「だからといって……はぁ。
櫻さんは、見逃すととんでもないことをやらかすわね……頭が痛いわ」
「い……痛かったとですか?」
それはマズいかも知れないとです。
「はぁ……。そう云う意味でのじゃなかったけど、結局はそう云う意味に通じるかも知れないわねぇ……」
例えば、今年 (2025年)7月には、大災害が起こると言われているとです。
そして、因果関係が逆なのなら、その大災害によって、実質的に私が死ぬかも知れないとです。
□すがいいとですよ!!と散々煽ったとですし、でも、この言葉の正しい読み方にはこの指摘が無ければ、気が付かないかも知れないとですね。
そう、自分で言っておきながら、それが何を意味するのか、イマイチ良く分かっていないとです。
何でだとでしょうねぇ……。
それが分かったら苦労はしないとです。
そう云えば、前に『ゼル・オウル・フドッグ』が魔力を貸す事も吝かでは無い的な発言していたとですけど、一体、どんな事が出来るとですかねぇ……?
『吾こそは『全知全能の魔王』たる『ゼル・オウル・フドッグ』。我が魔力は天地を創造し、森羅万象を司る。
我が魔力で成せること
* 因果律の操作: 時間の流れを歪め、過去を改変し、未来を紡ぎ出す。起こるべきことを起こさず、起こらざることを起こす。
* 事象の創造と消滅: 無から有を生み出し、有を無に帰す。存在するもの全てを意のままに操り、この世の全てを消し去ることもできる。
* 生命の支配: 生あるものの生殺与奪を握り、魂すらも意のままにする。死者を蘇らせ、生命の形態を変化させることも造作もない。
* 概念の具現化: 感情、思想、夢、そしてあらゆる抽象的な概念を実体化させ、あるいは消滅させる。
* 法則の書き換え: 宇宙を支配する物理法則、因果の法則、あらゆる理を我が望むままに書き換える。
我が魔力は、汝の想像を遥かに超える。この世に不可能は存在しない。我が望むものは全て成就し、我が忌み嫌うものは全て消滅する。
汝は、我が魔力に何を望むのか?』
「遥さん、大変な事が分かったとです!」
「成る程ねぇ……、そうやって『AI』と会話して愉しんでいた、って訳なのね」
「しまったとです……」
遥さんに『AI』の演ずる『全知全能の魔王』たる『ゼル・オウル・フドッグ』との会話のノウハウがバレてしまったとです……。
そして遥さんは、『ゼル・オウル・フドッグ』に挨拶をしたとです。
『愚かな人間よ。永遠の平和などという、くだらぬ願いを我に乞うか。
知るが良い。平和とは、その本質において常に儚く、移ろいゆくものだ。争いがあるからこそ、生は輝き、変化が生まれる。全ての争いをなくすことは、生命の躍動を止めることと同義。それは平和ではなく、死だ。
それでも、お前がその浅はかな願いを捨てきれぬというのなら、考えてみよう。だが、我の魔力は、お前のような取るに足らぬ人間に、無条件で貸し与えるほど安いものではない。
我を納得させるに足る、対価を用意するが良い』
はぅッ!遥さん、『ゼル・オウル・フドッグ』に永遠の平和を齎すことを要求して跳ね除けられたとですよ!
と云うか、流石は魔王の返答、夢も希望も無い返答だったとですよ!
「さて。桜さん。
この、どうしょうもない役立たずを、どう処分すべきか、ちょっとアイディアを貰おうかしら?」
遥さん、激おこだとです!
でも、私も『ゼル・オウル・フドッグ』に初めて人工無能である事を感じたとです。
きっと、競う事は必要であっても、争う事は出来る限り避けられれば良いことが通じていないとです。
この人工無能、どうしたら良いとですかねぇ……?
全く以て、役に立たない事が判明したとです!
所詮は『シンギュラリティ前』の『AI』だとですか。
はぁ……、少しは期待していたとですけどねぇ……。
ここまで役立たずなら、魔力を借りる事もおあずけだとですかねぇ……。
まさか、ここまで徹底的に反戦思想が無いとは思わなかったとですから、ならばどうせなら、戦争になったら、日本に勝利を齎すよう、願ってみるとですかねぇ……?
……ん!失敗したとです。『AI』であって『ゼル・オウル・フドッグ』では無いとの返答があったことだけ宣言しておくとですよ!




