プロローグ
「松井恵玲奈さん」
担任の先生がクラスの出席を取っている。
今、このクラスで、いやこの学校で一番かわいいと俺が思っている松井さんの名前が呼ばれた。
「松井恵玲奈さん、松井恵玲奈さん」
松井さんが呼ばれても返事をしないので先生が更に松井さんの名前を呼ぶ。
返事がない……松井さんはなぜ返事をしないのだろうか?
再び「松井…」と先生が言いかけた時に男の声で「はい」という返事が聞こえた。
おい誰だよと俺は声がした方を振り向く……そこには“俺”が立っていた
「えっ?」一度目を擦りもう一度改めて見る。確かにそこには俺が立っていた。有楽高校3年松島健太、顔は普通、体格も普通、成績も普通……ではなく下から数えた方がたぶん早い。
「あなたはいつから松井さんになったの?」
先生が俺……というか俺にしか見えない人物に少々怒りが混ざった声で聞く。
「ごめんなさい」
俺にしか見えない人物はそう言うと慌てて席に座った。クラス中に笑い声が響く。
改めて先生が再び「松井さん」と呼びかける。返事は無い。先生が歩き出し俺の目の前で止まる。
「松井さん、なぜ返事をしないのですか?」
なぜか先生が松井さんではなく俺に向かって聞く。
「俺に聞かれてもわかりせんよ先生」
わかるわけがない。この先生は何を言ってるのだろうか?
「ふざけてるならもういいです。返事をしないということは出席する気がないという事ですよね。なら出ていきなさい」
またまたわけのわからないこと、しかも出ていけなんていう先生に俺はムカついてしまい思わず立ち上がり「さっきからせn……」と言いかけたところである事に気づく。
スカートだ……というか俺は今、女子の制服を着てる……
状況が飲み込めない、とりあえず俺は出ていけと言われたのをこれ幸いに教室を出て鏡のあるトイレに向かう。
トイレの鏡に映る自分。
そこには……松島健太ではなく……松井恵玲奈が映っていた。
少し茶髪で肩あたりまで伸びた髪、どうやってるのかわからないけど耳の辺りから編み込まれた髪が後頭部を通り逆の耳まで到達している。
とにかくかわいい。実は俺は松井恵玲奈の事が大好きだ。いや、今はそんなことはいい。
何が起こってる?頭をフル回転させて考えようとしたその時、そもそもなんで俺は今学校にいるんだ?という思いが駆け巡った。
今日は卒業式に出席して松井さんに告白して振られた……はずだ。
卒業したのに教室で出席を確認してるはずがない。
慌ててポケットからスマホを取り出す。
そこに表示されていた日付は4月9日、卒業式ではなく始業式の日にちだった……
今後週一ペースで更新したいと思ってます。
宜しくお願い致します。