再会
初めて書いた小説です。
バトル物になる予定ですが、描写研究中です。
あらすじで書いている辺りまでなので、短めとなります。世界観の導入用と思ってください。
よろしくおねがいします。
ある朝、目が覚めると
頬が濡れていた。
どんな夢を見ていたのだろう。
何一つ思い出せやしないのに
ただ、頬を伝う涙がとまりはしない。
「………。」
無理矢理服の袖で拭って、にこり、口の端を上げる。
……行かなくちゃ。
行きたくなくても行かなきゃ行けない。
仕事というのは、全くもってめんどくさい。
今日も、1日が始まる。
【prologue】
#file 1
世の中には、生きたまま《Araive》捕らえる《Arrest》命の下された人が数少なくいる。
本来なら人が持ち合わせるはずのない《力》を持つ、所謂“超能力者“。
その中で、特に永く存在し続けている集団がある。
それは、総称で《birdcious》と呼ばれている。
鳥の名前を冠する、特別な力を持った存在_________。
「鴉」「啄木鳥」「四十雀」「赤提灯」「鶯」「鳶」「鴿」……
確認されている数は約30人弱と言われているが、これ以上いると言うのが、我々_______《adapter》の見解である。
【其が始まりと言わんばかりの】
「うわぁっ、笑茉さんのお弁当、すっごくおいしそうですね〜!」
「そ、そう?」
午後3時頃。
《事故》現場付近に止めた軽車の中で、後輩と二人寂しくやや遅め、いや、最早おやつの昼御飯を食べる。
今しがた、後輩に褒められた弁当だが、別段美味しそうかと問われると、特に…そうでもないだろう。
ただのありふれた食事だ。
寧ろ、美味しそうなのは後輩______津ヶ谷すばる、彼女の方だと思う。
「そんなやだな〜!私なんか先輩の足元にも及びませんってば〜!!」
そう言ってにこにこ笑う。
あぁ、また、嫌みだ。
この頃、この子からの嫌みがとても増えたと思う…それは、
「やぁ、笑茉」
「……銀河」
そう、今しがた私にキラキラと話しかけてきた男、一瀬銀河だ。
一瀬銀河は、私と同じくらいに入社した、云わば同期というやつ、腐れ縁…は言い過ぎか。
そんな関係。
そして、津ヶ谷すばるは、今年の春に来た、物珍しい入社志願者だった。(私も銀河も同類か)
そうして、同じ部署となり、
「ぎ、銀河先輩〜!」
すばるは、銀河に惚れたのだ。
…まぁ、こんなイケメン、普通なら惚れてしまうのか…
(興味ないからなぁ)
「やぁ、すばるちゃん」
「銀河、何でここに?」
「あぁ、近くでここと似たような《事故》があってね…笑茉達がいるって聞いたから、話を聞けたら…とかね」
成る程、理にかなっている。
けれど、
「《哨された》あとだったんですよ」
《哨された》とは、No.6・鴬の能力、《哨戒》のこと。
この能力は、あらゆる物質を特定の人以外には見えなくさせる_____そういう《力》だ。
「そうか…こればっかりは仕方ないな」
イケメンというのは、悩んでいても様になる。
すばるちゃんがご執心だ。
「…すばるちゃん、早くお弁当食べて、部署に帰りましょう」
「あっ、そうですね!たべちゃいましょうか」
こわいこわいこわいこわいこわい、殺意がこわいこわいこわい。
誰もあなたの王子はとらないから!
と、大声で言ってやりたい…
お弁当を食べながら、ふと、つかれて出そうになった溜め息を飲み込む。
このままじゃ、今日は持ちそうにないなぁ…。
「さて、笑茉さん、いきましょうか」
「ええ、でもちょっとまって…」
「笑茉、それは?」
それ、とは私が今手にしている小さな袋のことだ。
しがない、薬だ。
「ちょっと、風邪引いてて…まぁ、平気なんだけど一応ね」
「そか、お大事にね。じゃあ、僕はこの辺で。また後で部署で会おう、笑茉、すばるちゃん」
「後で会いましょ〜!」
元気に送り出すすばるちゃんと静かに手を振る私。
対極だ。
「じゃあ、帰ろうか」
二人で他愛もない話をしながら、部所へと戻る。
「ただいま戻りました、Cot. の朱雀井笑茉です」
「同じくCot.、津ヶ谷すばるです〜」
社内にはいるときには、必ず所属部所と名前を言う決まりになっている。
因みにCot.とは、contact____《事故》を《視る》、ということを指しており、現場に行きそれを書類にまとめ、立証班に報告する義務がある。
「恒星さん、これ今日の時雨通りの《事故》です。お願いします」
「りょーかい。今日はもう上がっていいよ〜」
立証班が言うのだから、今日の仕事は終わった、ということだ。
「じゃあ、すばるちゃん…」
「あ、私まだ残りますね〜!笑茉さんに追い付くために、過去の《事故》の文献見てきます〜」
「…そっか、頑張ってね。またあした」
会社の入り口へ出る。
見上げれば、程なくして我が部所、Cot.の部屋に電気がつく。
すばるちゃんは銀河に会うつもりで残ったのだろう。
人を好きになるのは、幸せですね。
なんて、感慨に耽る。
…今日は疲れてる。
はやく帰って寝ないとなぁ。
時雨通りを避けて帰らなきゃなぁ
会社から支給された愛車・MAZDADemioにのる。
カラーは薄紫だ。
「_____は、ぁ」
ようやく、一人になれた。
気張っていた顔の力を一気にぬいていく。
途端、周りの空気がおかしくなるのを感じる。
車内の窓を開けず、そのまま、アクセルを踏み込み車を発進させた。
◆◆◆
最悪だ。
せっかく回り道をして帰っていたのに。
そうおもい、目の前に目をやる。
まさか、
「………………………」
自分自身が事故を_________人を轢く、なんて。
面倒なことになった…。
「はぁ。」
ゆっくりと人に近づき、首に手をやる。
静寂
____明らかに脈はなかった。
死体だ、という確認をし、脇に手を入れて持ち上げる。
幼稚園生を抱き上げたかのような軽さだった。
死体は、推定年齢____信じたくないが、恐らく同じくらい。性別は、男だと思われる…。
どちらも釈然としなかった。
しかしまあ、会社の車で良かった。
様々な道具も積んであるからだ。
ブルーシートで包んだ遺体を後部座席にそっと寝かせる。
この車気に入ってたから、死体なんて載せたくなかったのに…
さて。
これからどうしようか。
《事故》として処理する
これが最適解だろう。
まるで犯罪者の気分だった
まあ、人を轢いているんだからそうだろう。
これからの業務に支障をきたすことは間違いないな.......。
後部座席のドアを閉め、会社に向かうために運転席に戻る。
先程見た景色を逆から眺めることになるとは
時雨通りが近くなるにつれ、車内の空気に異変を感じるようになった。
________________可笑しい
いつもなら、もっと空気が重いはずなのに
何故だか少しずつ、少しづつだが空気が澄んでいく。
まるで空気清浄機を置いているような.......
そう、空気の異変に気を取られて、私は気づかなかったのだ。
「____________君は、不思議なモノを吐き出すんだね.......」
いつの間にか助手席に座る人物に。
読んでいただきありがとうございました。
時間の合間に少しずつですが、続きを書いていければと思っています。
途中で折れる可能性もあります。ご容赦ください。
是非感想をいただければ幸いです。至らない点への指摘も大歓迎です。