夢語り弐
夢で見た話です。脚色はしてます。
私はなんか特殊な職業についてるみたいだ。周りから浮いてた。詳しくは分からなかったけど、疎まれるような仕事なのだろう。
電車に乗っていた。どこに向かっているのかも分からないが、ガタゴトと揺れる。乗客は、1つ空きで座れるくらいだ。
ちょっと離れた席に座るおばさん達がヒソヒソ話をする。車内は静かで会話の内容が聞こえた。「人間の肉食べてるんだって」
そんなバカなと心の中で呟いた。私達話をしてるいるのは明白だ。根拠は分からない。
人間の肉を食べている?
そんな事はありえない。何を言ってるんだあの人達はと怒りが湧き上がるのと同時に、恐怖もあった。
電車がどこかに着いた。降りる駅のようでドアに向かう。友人が近寄る。
怪しげなダンボールを持たされる。宛名は私達の所属する部署だ。
友人が手招きをする。
線路の下。ホームから見えない場所。
私は友人がダンボールを開けるのをただ見ていた。
「秘密だよ」
友人が振り向き、私の目を見た。
内緒話をするから、近寄って欲しいと目で訴えられる。
小さな声で友人は、
「これ、人間の肉。ちょっと厚いから切るの」
と。
血の気が引いた。
怖かった。
「えっ?」
「あっ、もちろん殺したとかではなく亡くなった人だよ」
友人は平然と言う。ダンボールに手をかけた時、私は「待って」と引き止める。
心の準備ができてない。
怖い。
「あの、その、それは……」
「あぁ、大丈夫。ぱっと見分からないから」
友人が少し開いたダンボールからは肉が見えた。
大きな肉の塊がいくつかあった。そのままの死体ではなくよかった。
この世界には、もうこれくらいしか食べるものがないらしい。ギリギリで生きている。
私と友人は、肉を薄く切る仕事をしている。人の肉と気づかれないように。
ピーピーピー
とアラームが鳴る。何かは分からないけど、敵だ。
皆逃げていく、私達もここにいるのは危険で、肉を置いて逃げた。
駅を出る。住宅街を駆け抜けた。
空は赤く染まり、異常を知る。
下り坂で勢いがつく、止まらない。自分で走っているのか、走らされているのか分からない。
ふと宙に浮いた。
掬い上げられたようだ。
一面は色とりどりの花が咲くお花畑で、空は青く、安全な空間だ。さっきまでの緊迫感はなく、心が穏やかになる。
友人と2人。異空間に連れて来られたのだ。お互い顔を合わせ、キョロキョロとする。
「こんにちは」
どこからともなく声が聞こえる。声の主は、花の妖精だった。そして、花の妖精は命令した。
「世界を救いなさい」
無茶だ。そんな事できるはずがない。
それより、このままここにいる事はできないのか?
この幸せな空間で、友人と2人、死ぬまで生きる事はできないのか?
外の世界に戻りたくないと訴える。
「他の友はいいのですか? 家族はいないのですか?」
花の妖精は問う。
言葉に詰まる。
いる。友達も家族もいる。
外の世界に苦しんでいる人達が沢山いる。
「貴方たち2人を死ぬまでこの空間に閉じ込めておく事はできます。けど、それ以外の人は救えない。ここに居たいですか?」
花の妖精の問いは意地悪だ。
何度も言いますが、夢で見たので自分でも「分からない」部分多めです。すいません。