夢の中
真っ暗な世界に、私は何回飛び込んだのだろう。
夢の中で、迫ってくる大きくて黒い穴。
宇宙にある、ブラックホールか?
吸われるような違和感がある。
また、今日も夢の中…。
「ええ、また見たの?その夢。」
「そう…。もうこれで1週間連続…。」
「大丈夫??眠れないんでしょ?」
「そう。夜中に起きてしまうの。」
私、木岐奈々は、友達の野上麗奈と
私の部屋で話していた。
毎日見る夢のせいで、私は眠れていない。
必ず夜中に起きてしまい、それからは明るい部屋で
テレビをつけているのだ。
「奈々…。気にしない方が良いんじゃない?」
「そんなこといったって、見ちゃうのは仕方ないじゃん。」
「そうだけど、きにすると、同じ夢を見ちゃうんだって。」
「でも…。」
とりあえず、私は良いから寝なよ!と、麗奈は寝かせてくれた。
「私は奈々が起きるまで居るよ。うなっていたらおこすから。」
私は、この言葉に安心し、眠りについた。
また、あの夢を見ている…。大きな穴に追いかけられる…。
たすけてーーーー!!
夢の中で私はそう叫んでいる。
しかし、目が覚めた。
起こしてあげるよと、いったが、起こしてくれなかったと言うことは、
うなされていなかったのだろうか。
むくっと起きあがり、目をかく。
「麗奈ー。いるの?」
声をかけるが、返事は無い。
ベッドをおりて、トイレや風呂場へむかうが、姿はない。
ベランダの方へいくと、いた。
しかし、皮のはがれた赤い肉体があるだけ!!
「ひぃっ!」
私は口を押さえて、その場に座り込む。
がらがら…。
「なにしてんの?」
「へ?麗奈…。」
「ひぃっ、なにその人間みたいの!」
「わからない…。」
ベランダの窓を開けてきたのは、麗奈だった。
しかし、なぜベランダに皮のはがれた肉体があるのだろうか…。
「とりあえず、警察だよね!」
「奈々!待って!」
「え、なんで?」
「しなくて良い。」
といって、麗奈はその場に座り込む。
「夢じゃなかったんだよ…。大きな穴も。真っ黒い世界も…。」
「なにいってるの?麗奈…。」
といって、麗奈は倒れた。
びょ、病院!
しゃべっていないのに、今度はベランダから声が…。
振り返ると、あの肉体が笑っている。
「ぎゃああああああ!!!」
「何叫んでるの?」
といって入ってくる。
「きゃあ、来ないで!」
「なによ。友達の麗奈に失礼ね。」
え………………?
はっ
目が覚めた。
「大丈夫?来ないでって叫んでたよ。」
「え、じゃあ、あの肉体って…。」
「え?肉体?別の夢見たの?」
嫌な予感がして、ベランダの方へ向かった。
がらっと窓を開けて、夢であった肉体の方を向く。
…しかし、何もない…。
麗奈の方を向いた。
「ぎゃああああああ!!!」
「何叫んでるの?」
はっ
目が覚めた。
「大丈夫?来ないでって叫んでたよ。」
さっきも、同じパターンがあったような…。
ベランダに行くが、何もない。
まさか、麗奈の方を向くと…。
「ぎゃあああああ!!!」
はっ
目が覚めた。
「大丈夫?来ないでって叫んでたよ。」
一体、いつまで続くのだろうか。この夢は…。
いや、夢なのか…。
永遠に続くのだろうか…。