口裂け女
「やめてぇぇぇ!!来ないでぇぇぇ!」
「まてぇぇぇ!!」
私は、今、口裂け女に追いかけられている。
耳まで裂けた口…。思い出すだけで恐ろしい。
私はおちょぼ口だから、それが羨ましいのだと言った。
「おのれぇぇぇ!!またんかぁぁぁ!!」
「誰かぁ!!たすけてぇぇぇ!!」
口裂け女は、もう少しで私に追いつく。
口裂け女は…。カマを持っている。
切られたら、即死だ。
「こむすめぇぇぇ!!」
そのとき、たまたま車が通りかかった。
その車に飛びつく。今はそれしかできなかった。
車をどんどん!とたたき、乗せてもらった。
「こむすめぇぇぇ!!」
「すみません!乗せてください!」
ガラスを割って、中に入り込む。
「え、何ですかいきなり!」
「お願いします、かくまってください!」
「ガラス代、弁償してくださいよ!」
振り返った女の人は、口が耳まで裂けていた。
「い、いやぁぁぁ!!」
「ひっひっひ…。こむすめぇぇ…。大人しくつかまれぇぇぇ…。」
「きゃぁぁぁ!!」
車から飛び出して、逃げる。
「私が何をしたって言うの?神様…。」
「こむすめぇぇぇ…。」
「ガラス代…。」
ああ…。もう少しで私の家…。
それで、私は気が抜けたのだろう。
転んでしまった。
「こむすめぇぇぇ。やっとつかまえたぞぉぉぉ…。」
髪の毛を引っ張られる。
「いぃ、痛い!はなして!!」
「お前も今日からは口裂け女だぁ…。」
そういって、口裂け女は大きなカマで、私の口を裂いた。
声も出ない。あぁ…。私は、死んでしまうのだろうか…?
違った!!今、私は、大きなカマを持って、どこかの女性を追いかけている。
手には、カマを持って…。
「こ…。こむすめぇぇ…。」
今、口裂け女となった私の目には、涙がきらりと光った。