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鳥になりたかった少女5  作者: 葉里ノイ
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第七章『救』

  【第七章 『救』】


 春休み七日目。半分開いたカーテンから見える逆さまの赤い景色は空が落ちて血溜まったようで、それだけで少し非日常的な気持ちにさせた。

 献立当番がいないと、考えるだけで時間が過ぎてゆく。父はあと数日帰ってこない。宰緒の姿も数日見ていない。部屋に仰向けに転がりながら携帯端末でレシピサイトを眺め、夕飯のメニューを考える。

 ぼんやりとレシピサイトを見ていて、紫蕗に言い出した武器の部分的な収納と形成は料理をすることに似ているとふと思った。手順と時間、そして効率を考え手を動かす。火を点ければ常にそれを意識して他の作業に手を動かす。同時に複数に意識を向けることは、料理に似ている。そんなことをぼんやりと考え、指を動かす。

 長期休暇はいつも皆でイタリアなので、一人で家にいることがこんなにがらんどうだとは思わなかった。友人はいるが、春休みって意外とすることがない。本州だと花見とかかな、と考える。沖縄の桜は緋寒桜と言って、赤い桜がもう少し早い時期に咲く。

 携帯端末でレシピを見ていると、不意に着信音が鳴り響いた。

「――っだ」

 不意打ちに驚いて端末がすっぽ抜け、額に直撃する。

 額を押さえ悶えた後、床に落ちた端末を拾って起き上がる。非通知だ。

 少し迷うが着信音が鳴り続けるので、通話釦を押してみる。

「…………もしもし」

 少しの間、無音の時間が流れた。


『………………も……』


「も?」

 掠れた吐息のような声が聞こえた。電波状況が悪いのだろうかと窓の前に移動してみる。

『ごめ、なさい。……もしもし』

「も……もしもし?」

『青羽君、かしら? 梛原結理よ』

「梛原さん……?」

 連絡先を教えた覚えはなかったが、調べればわかると言っていた気がする……。ほんの少し電話を切りたい気持ちになったが、話す言葉に時折吐息が混じり、何だろうか、苦しそうに聞こえる。

『声は聞こえるのに、目が見られないというのは、もどかしいわね』

「あの、何か用……?」

 苦しそうには聞こえるが、余裕はあるようだ。

『青羽君に連絡をするのは、違うと思ったのよ。でも私の電話帳……青羽君の連絡先しか入っていないの』

「…………」

 電話を切りたい。

『久慈道宰緒のことなのだけれど』

 その言葉に、上の空だった気持ちが地に着く。

「! サクがどうか……って、梛原さん今何処にいるんだ……?」

 突然姿を消した宰緒の名前が飛び出し、食いつく。結理も今近くにいるのか?

『私は今、東京よ』

「東京……」

『……ごめんなさい。私では彼を……助けてあげられないわ』

「え……? 何のこと……サクは今、何処にいるんだ?」

 話が見えず、途端に焦燥が襲った。

『久慈道君は今、実家にいるわ』

「は? 実家って、東京だよな……? 何で東京に……え、どういう……」

 頭が混乱する。実家にいるのが嫌で沖縄まで家出をしてきた宰緒が、どういう経緯で今、東京の家に? ルナの前から姿を消してからずっと東京にいたと言うのか。

『彼にも思う所があったのでしょう。決着をつけたかったようよ。でも……彼一人では、呪縛から抜け出すことはできなかった』

「……助ける、っていうのは?」

『私は、この世界の人達に一切危害を加えてはいけないというコミュニティのルールに縛られているわ。ごめんなさい。こうなる前にどうにかするべきだった』

「よく……わからないけど、梛原さんも大丈夫なのか?」

『あら……上手く繕えていると思っていたのだけれど……わかるかしら? 大丈夫よ、腕の一本や二本。千切れたわけでもないもの』

「……っ!」

 苦しげだと感じたのは気の所為ではなかった。あの結理が負傷している。先程の言葉通りなら、相手は違界人ではなくこちらの世界の人間で、危害を加えるわけにはいかず一方的にやられたと言うことか。一体、誰がそんなこと。

『青羽君なら、他の誰か……連絡先を知っているのではないかと思ったの。青羽君のいる場所からでは少し距離があるものね。東京の誰かに連絡を回してもらえないかしら? 小無千佳あたりなら、大人の男相手でも勝てはしないかしら?』

 ふふ、と笑う声が漏れる。

「何て……連絡を回せばいいんだ」

『そうね。久慈道君が家で監禁されているから、死なない内に助けてあげて。とでも』

 ――監禁。死なない内に。

 物騒な不吉な言葉が並ぶ。宰緒の体に残されていたたくさんの傷跡が脳裏をちらつく。宰緒をそんな目に遭わせているのは――彼の親だ。

「……わかった。梛原さん、痛覚遮断は? してないみたいだけど」

『この前の転送の件でね、ちょっと勝手な無茶をしてしまったの。だから謹慎中なのよ。それで取り上げられているの。ごめんなさいね、いざと言う時に使えない人間で』

 苦しそうな吐息の数が多くなる。無理をしていることはよくわかった。きっと話していられる状態ではない。こんな声が、掠り傷程度のはずがない。

「ありがと、梛原さん。連絡は回す。梛原さんは早く病院に行って」

『青羽君に心配されるのなら、怪我をするのも悪くないわね』

「しないでください」

『ふふ。目が見えないのが残念』

「切るよ」

『……うん。ありがとう、青羽君』

 ぷつり、と通話を切る。

 小無千佳の連絡先も綾目斎の連絡先もルナは知らない。可能性があるなら、違界の城で共に行動していた雪哉だ。もしかしたら千佳の連絡先を知っているかもしれない。

 時計を見て、まだ食堂の手伝いをしているだろう雪哉に連絡は繋がりにくいだろうと、走って自転車に飛び乗ってペダルを踏み込む。宰緒がいなくなって何日目で東京に行き、何日目から監禁されているのか。一日や二日ではない。春休みが始まってもう何日経ってると思ってるんだ。

 たまき食堂の前に滑り込み、勢いよく扉を開けると、疎らにいた客の視線が、何事かと一斉に突き刺さった。だが視線など気にしている場合じゃない。

「雪哉さん!」

 客に水を置いていた雪哉は、突然の来訪者に刹那動きを止めるが、すぐにルナに駆け寄った。尋常ではない様子のルナに、客の注文など聞いている場合ではないと、呼び掛ける声は聞こえていない振りをする。

「どうした? 何かあったのか?」

「あのっ……小無さんの、連絡先っ……!」

 そこまで言って、女の子に今回の件を任せて良いものかと躊躇が脳裏を過ぎる。幾ら宰緒を投げ飛ばすほど強いと言っても、女の子は女の子だ。だが他に頼れる知り合いが東京にいない。

 黙り込んでしまったルナに、一旦座るよう促す。厨房から急ぎ水を一杯、ルナの前に置く。

「何があったのか話せるか?」

 水を一口飲み、頭の中を整理して頷く。

「……サクが、東京の家で、監禁されてるって、梛原さんから連絡があって……」

「監禁!?」

 大声を出しそうになり、雪哉は何とか小声で叫ぶ。

「それは穏やかじゃないが……あいつ今、東京にいるのか?」

「何か思う所があって、決着をつけに行ったって……サクは親に暴力を振るわれてて、それで家出してきて……」

「あー……わかった。大筋は理解した。それで、東京にいる知り合いに連絡か。ルナは連絡先を知らないから、俺の所に来たと」

「はい……」

 端整な顔の眉を寄せ、雪哉は深く息を吐く。

「城で俺が眠ってた時だと思うが……小無が勝手に登録してたみたいで、連絡先は知ってる」

「!」

「……んだけど、お前、行きたがってるよな?」

「え」

「そういう顔してる。小無に連絡するとしても、一人に任せるわけにもいかねぇ。監禁するような奴が、他にも何かしでかさないとも限らねぇ」

 こくんとルナは頷く。心配な部分を、雪哉が代弁してくれる。

「梛原さんも腕を負傷したみたいで、苦しそうだった」

「あいつが?」

「こっちの世界の人には危害を加えられないからだって」

「それでも、逃げることもできなかったのか?」

「あ……」

「まあ……違界関係でないなら、俺らにもやれることはあるだろ。警察に頼ってもいいと思うが、それなら最初から宰緒が頼ってるはずだしな……」

 ルナを安心させるように、不安を少しでも和らげられるように、雪哉は微笑む。

「紫蕗捜すぞ。緊急事態だ。転送してもらおう」

「えっ、でも……」

「この時間ならまた海辺の方にいるかも」

 すっくと立ち上がりエプロンを外す。困っている時、すぐに力になってくれる。頼もしい皆の生徒会長だ。

 厨房にエプロンを渡し、両親に休憩を貰う。雪哉に注文を聞いてもらうのを待っていた女性客は不満そうな顔をしたが、彼が一言断りを入れて手を振ると、笑顔で手を振り返してきた。

 今度は二人で自転車に跨り、海辺を目指す。沈んでゆく夕陽が、世界を赤から闇に塗り替えてゆく。

 海沿いに走っていると、岩場の影に見覚えのある姿を捉えた。いてくれて良かった。急いで自転車を下り、人影に駆け寄る。

「紫蕗!」

 人影は顔を上げず、何やら空中に浮かべた小さな画面に打ち込んでいる。ルナと雪哉が近付くと、一瞥だけして顔は上げずそのままで「何だ」と感情の籠もらない声で尋ねた。

 息を切らせるルナの代わりに雪哉が答える。

「俺らを東京に転送してほしい」

「俺はタクシーじゃないと言ったが、もう一度言った方がいいのか」

「緊急事態なんだ」

「だろうな。随分と急ぎのようだ」

「宰緒が監禁されてるんだ。助けに行きたい」

「監禁? またえらく物騒だな」

 息を整えていたルナは、整えきらないまま紫蕗の肩を掴んで顔を上げさせる。珍しく焦燥したぞんざいな扱いに彼は驚いたように少しだけ目を見開く。

「お願いだ、紫蕗。すぐに行かないと……サクが死んだら、一生恨むからな!」

 母親を喪い、もう誰も喪いたくないという思いが絞り出される。正直な吐露に、紫蕗は驚きと共にじっとルナの目を見詰めた。徒事ではないということは目を見ればすぐにわかった。

「……片道だけだからな」

 大きく溜息を吐き、紫蕗は使い捨ての転送装置を二つ取り出す。

「ありがとう! 紫蕗!」

 ルナと雪哉は顔を見合わせ束の間笑い合う。

「座標は? どうせ装置を扱えないだろうからな。装置に座標を入力してやる。起動はお前のヘッドセットで勝手にしろ」

「座標?」

「何処に転送されたいか言え」

 もう一度顔を見合わせる。何処に、と言うと宰緒の実家付近に転送されるのが一番だろうが、住所を知らない。家の付近もどうなっているのか見当もつかない。うっかり人の中に転送されてしまえば大騒ぎだ。助けるどころではなくなってしまう。

「ルナ、一度準備に家に帰れ。その間に俺も準備しながら小無に相談する。転送場所は向こうの地理に明るい小無に任せよう。準備が終わったらまたここに」

「で、でも……」

「焦ってもいいことはねぇ。転送が片道ってことは、帰りの飛行機のことも考えないと。宰緒を連れて帰るんだろ?」

「あ……」

 行きのことしか考えていなかった。行きっぱなしじゃない。帰ってくるんだ、ここに。

「銀行もう閉まってる……!」

「ああもう必要な時は俺が出すから、さっさと準備してこい!」

「は、はい!」

 背中を押され、ルナは急いで自転車に戻る。転送のためのヘッドセットを取りに行かなければならない。パニックになりそうになりながら、雪哉の冷静で落ち着いた存在はとても心強かった。



 ヘッドセットを持って海辺に戻ると、雪哉と紫蕗が話をしていた。雪哉の家はルナの家より海に近い。早く準備を済ませて戻ってきたのだろう。先程はなかった鞄を背負った雪哉は携帯端末の画面を見せ、紫蕗は空中に小さな画面を開いて何やら入力している。

「――お、戻ってきたか」

 ルナが駆け寄ると雪哉もすぐに気づく。携帯端末には地図が表示されていた。千佳と連絡を取り転送場所を決めたようだ。

 ルナがヘッドセットを装着すると、紫蕗は使い捨て転送装置を二つ放って寄越した。

「その二つを連動してある。座標も入力した。あとは念じれば思考で転送される。

 ――全く、何故俺がここまでしてやらないといけないんだ」

「ありがとう! 恩に着る!」

 溜息を吐きながらも面倒を見てくれる紫蕗に頭を下げる。素直に要求を呑んでくれたのは、以前の城の情報に満足したからなのか。貴重だと話してくれた転送装置を譲ってくれたことに、最大限の感謝を込める。

 転送装置の一つを雪哉に渡し、ルナは思考を集中させた。転送行為は初めてだが、思考する感覚はわかる。鎌で何度も練習した。

 紫蕗に見守られながら、二人の姿は一瞬で消え失せる。



 瞬きの内に場所を飛んだ二人だったが、この事態は想定外だった。全く心の準備をしていなかった。

「!?」

「げっ……」

 頭上から叩きつける水に立ち尽くした。雨だと気づくのに少し時間が掛かった。傘など持ってきているはずもない。


「わー! 玉城君!」


 転送された寂れた路地にすっと声が通る。

「何度見ても凄いな」

 小無千佳と綾目斎がそこにいた。二人はしっかりと傘を差している。

「小無さん、こっち雨だって言わなかったのか」

「気づかなかったっす」

 千佳と斎は同時に傘を差し出す。

「はい! 私、玉城君と相合傘するっす!」

「いいけどその言い方やめてくれないかな。僕が差しにくい」

 千佳が照れながら雪哉に傘を差し出すので、斎はルナに差し出してやる。

「……差しにくそうだけど大丈夫? 身長的には僕と小無さんが変わった方がいいと思うけど」

「じゃあ俺が傘持つわ」

「雨、最高っすね」

 思わぬことで出鼻を挫かれてしまったが、肝心なその先のことを確認しなければならない。傘を寄せ、現状の確認をする。

「サクの家ってこの近くなのか?」

「歩いて行ける距離だけど、少し歩くかな。念のため、警戒して」

「監禁って言ったが、二人は随分落ち着いてるな」

「あー。これ、初めてじゃないんすよね、監禁」

「初めてじゃない……?」

「と言っても今の状況は昔とは違う。何年も家出した後だから、何をされてるか……」

「昔は学校があったから、一晩とか土日の間とかだったっすよね」

 当時を思い出しながら千佳と斎は交互に話す。話を聞き、ルナと雪哉は眉を顰める。短時間であれど何度も監禁されていた宰緒が逃げ出すのは当然だろう。傷を隠すために年中コートを纏い、過去を仕舞い込んで一人で苦しんでいたが、決着をつけるために一歩踏み出した。中で何が起こっても不思議ではない。

「どうやって助けるか、何か考えはあるか?」

「玉城君かっこいい……じゃなかった、さっちゃんの家の周りは監視カメラがあるんすけど、死角がある場所があるんすよ。そこから侵入っすよ」

「二人は木登りってできる?」

 千佳と斎は悪戯っ子のような顔をする。悪そうな顔だ。

 木登り? と怪訝な顔をするが、二人は頷く。その程度なら運動神経が特に抜群というわけでもないルナでもできる。

「問題はちょっと人通りがあるってとこかな」

「そこっすよねー。小学生の頃は、子供が遊んでるくらいの目で見られてたっすけど、今だと怪しいっすよね」

「この人数だし、下手するとネットに流れるよ」

「――あ、それなら」

 ルナの提案に、千佳と斎は目をキラキラと輝かせた。新しい玩具を買ってもらった子供のような目をする。ルナの案に大きく頷き、それでいこう! と二つ返事で承諾する。

「それじゃあ、囚われの姫さっちゃんの救出ミッション、スタートっすよ!」

 囚われの『姫』は無理がある、と三人は思ったが、状況的には否定できなかった。



 千佳と斎の案内で久慈道家が見える位置まで移動すると、ルナと雪哉は唖然と固まった。

 どう見ても普通の規模の家ではない立派な屋敷が、鉄柵に囲まれた庭の向こうに見える。

「サクの両親って……何してる人……」

 やっとそれだけ言えた。ここに侵入したことが露見すれば大問題にならないだろうか。

「お父さんが大病院の一番偉い人で、お母さんが凄いITの社長だっけ」

 千佳の説明に溜息しか出ない。

「皆、こっち」

 呆然としつつも気を取り直し、手招く斎についてカメラの死角とやらに潜り込む。そこには一本の太い木が生えていた。街路樹だ。大きな街路樹が、久慈道家の庭から伸びる木と交差する。

「この木を登って中に入るんすよ」

 木を指差し、納得する。確かにこれなら柵を越えられそうだ。そして言っていた通り、人が満遍なく歩いている。

「じゃあ人除けしてみる」

 わくわくといった表情の千佳と斎に見守られながら、装着したヘッドセットを確認しつつ紫蕗に教えてもらった通りに小さな画面を展開、人除けの範囲を入力する。

 どきどきと暫し待っていると、やがて人が疎らになり、誰もいなくなる。

「す、凄いっす。本当に誰もいなくなったっすよ! ちょっと地味だけど」

「うん、凄い。ちょっと地味だけど」

「人を除けるのに派手じゃ駄目だろ」

 当然の意見に「確かに」と納得する二人。

「じゃ、ついて来て!」

 傘を閉じて先陣を切り、動きやすいパンツスタイルでやってきた千佳はひょいひょいと手慣れた様子で木を登ってゆく。幾らパンツスタイルと言っても下から見上げることは躊躇われたので、見上げてすぐにハッとし、三人は視線を下ろす。上を見ないようにルナが続き、後から雪哉と斎も続く。所々に枝のある木だったので、木から木へ渡る瞬間以外は難なく登ることができた。渡る瞬間は少し手を貸してもらって助けてもらい、全員無事に久慈道家の敷地に下り立つ。

「問題はここからだよな」

 手首と足首をぐるぐると回す斎に、少し嫌な予感がした。

「まずお手本を見せます」

 胸を張り、千佳は助走をつける。嫌な予感しかしない。

 大きく踏み込み、家の壁の近くに生える一番低い枝に飛びつき、くるりとよじ登って枝の上に立つ。そのままもう少し上まで登り、今度は窓に向かって跳んだ。一メートル少々だろうか。千佳は窓枠を掴み、壁の凹凸に足を掛け、隙間の開いていた窓を大きく開けて中に入った。二階の窓からひょっこりと顔を出し、誇らしげに親指を立てて見せている。

 この時のルナの正直な気持ちは、できるわけないだろ、だった。

「一階はよく使用人がいるから、二階からの方が安全なんだよ。宰緒が監禁されてるだろうお仕置き部屋にも近いしさ」

「お仕置き部屋……」

「小学生じゃこんな小無さんみたいな芸当はできなかったけど、僕も身長が伸びたし、届くはず」

 斎も助走をつける。俺だけできなかったらどうしようとルナに不安が過ぎる。

「――――あ、やっぱ無理」

 届くには届いたが枝にぶら下がったまま動けない斎に、ルナはちょっと安心した。

「懸垂! 懸垂だ!」

「えっきつい! 枝が太くてきつい!」

 雪哉の声援にも、半分程度しか体が持ち上がらない。上から千佳が哀れむような目で見下ろしている。

 じたばたとする斎に、雪哉が駆け寄る。下から押し上げてくれるのかと足を止めた斎だったが、そのままずるりと引き摺り下ろされた。

「えっ」

「しっ!」

 口元に人差し指を当て、斎を引き摺って木の陰に隠れる。ルナも草叢に身を潜めた。

 一階の窓に使用人と思しき人物が通過する。どうやらこちらには気づかなかったようで、立ち止まることなく通り過ぎる。

 暫く様子を窺い、他に誰も通り掛からないことを再確認。

「……助かった」

「俺が先に行く。俺が引き上げるから後から来い」

 人が来ないことを確認しながら今度は雪哉が助走をつける。千佳に倣って大きく踏み込み枝を掴み、くるりと枝の上に登る。雪哉の方が斎より少し身長は高くはあるが、身長じゃなくて腕力か……と斎は肩を落とす。

 斎ももう一度助走をつけ、悔しいが雪哉に引き上げてもらう。二階の窓から哀れむような目で千佳が両腕を広げて待機していた。悔しい気持ちを抑え、斎は枝を蹴り千佳に助けられた。

 ルナも同じように助走をつけ、雪哉が手を伸ばす。難なく引き上げられた。

「お前結構跳躍力あるな」

 ヘッドセットの身体強化を少し使用したのだが、褒められたので素直に言葉だけ受け取った。

 ルナは斎と同じように千佳に助けられ、雪哉は一人で助けなく窓に乗り込む。千佳が残念そうな顔をしていた。

「さっちゃんはたぶんお仕置き部屋だと思うから、三階のお仕置き部屋を目指すっす」

「監視カメラは?」

「重要な施設ならともかく、一般住居だからなぁ。外と一階の玄関、あとは裏口にカメラはあるけど、中にはないよ。だから、人にだけ気をつければ」

「わかった」

 こくんと頷き、千佳と斎に続いて静かに廊下を駆ける。使用人は一階に多いようで、誰に会う心配もなく三階に辿り着いた。廊下の角から、お仕置き部屋だと言う部屋の位置を確認する。

 屈強な男が二人、部屋の前に立っていた。どうやら見張りのようだ。

「想定外だな。見張りがいるのは初めてだ」

「大きくなったし、その分力もついただろうしって予防線っすかね?」

「かも……」

 角から頭を引っ込め、四人で頭を突き合わせる。

「女子に任せるって言うのはどうかと思うけど、小無さんはどう? いけそう?」

「えー、どうかな……何か強そう。一人に集中すればいけそうかもだけど、締め落とせるかなぁ」

「二人だったらいけるか? なら俺も行く」

 名乗り出る雪哉に千佳はうっとりとした。

「超イケメンなんすけど」

 流石にこればかりは斎も頷かざるを得ない。あの屈強な男を相手取る自信は斎にはない。

「じゃあ小無が先に仕掛けて、俺が援護の形を取る。小無は一人だけ相手してくれ」

「わかったっす!」

 千佳はビシッと敬礼のポーズを取る。

「かっこよく行くって言った割に、援護……」

「俺に考えがある。まあ見てろ、綾目」

 角から見張りの様子を窺った後、千佳は雪哉にアイコンタクトを送り、よくわからないがハンドサインのような動きを作る。何か適当に雰囲気を作ろうとしてるなと斎は思ったが、雪哉も了解とばかりに親指を立てる。意味があるのかと二人を交互に見るがやはり意味などはなく、よくわからなくとも雪哉も雰囲気に合わせて乗っただけだった。

 無言の茶番の後、千佳は勢いよく角から飛び出す。角に隠れる皆を遮るようになるべく音を立てず走り込み、先に気づいた手前の男の前で一気にしゃがみ込む。

「!?」

 誰も来ないだろうと思っていた所に突然の奇襲。見張りは外に向けてのものではなく、中にいる者が逃げ出さないようにするためのもの。なのに外から異変が来た。油断していた所に。

 千佳は重心を見取り、男の脚を掴んで払う。

 男がバランスを崩した所で奥の男も気づくが、千佳の背後から駆け込んでいた雪哉が思い切り跳び蹴りを噛ました。踏鞴を踏みバランスを崩す男の顔面に、先日千名艸弥から買った睡眠スプレーを噴射した。まさかこんな所で役に立つとは思わなかったが、持ってきておいて良かった。千佳に腕を捻り上げられ床に押し倒された男の顔面にもスプレーを噴射。超即効性なのか忽ち男達は眠りの世界に誘われた。

「凄いっすね! 何なんすかそれ!」

「違界の道具、睡眠スプレーだ」

「かっこいい……」

 男達が起き上がる気配がないので、ルナと斎も角から出る。本当に二人で倒してしまうとは。

 倒れた男達を引き摺ってドアの前から退かし、四人は部屋の前に立つ。分厚いドアが阻んでいる。

「……やっぱり鍵が掛かってるっすね」

「ゲームだったら倒した男が持ってるんだろうけど……父親だろうな。持ってるとすれば」

「だねぇ。ピッキング、誰かできるっすか?」

「いやピッキングは……」

 振り返る千佳に、この重いドアを蹴破るのは大変そうだと斎は眉を寄せる。

「あ。俺が」

 小さく手を上げるルナに視線が集まる。視線を逸らしたくなったが、逸らさず見据えた。

「え、ルナちゃんピッキングできるんすか?」

「できると思うけど……少し時間が掛かると思う。だから、少し離れてて」

 ピッキングできるってさりげなく言ってるけど……と思いながら三人は黙ってドアから数歩離れる。それを確認し、ルナは腕輪から大鎌を形成した。刃が鈍く輝く。

「! えっ、ルナちゃんかっこいい!」

「後で触らせてほしいかも……」

「私も! 私も持ちたい!」

 興奮する千佳と斎は一旦置いておき、ルナは大鎌を振り上げた。宰緒の家は廊下も広く天井も高くてありがたい。

 鍵を目掛けて振り下ろすと、大きな金属音と共にドアが少し抉れた。勢いを止められず、床まで刃が突き刺さる。

「……青羽君、結構大胆だよな」

 呻き声のような音を立て、ドアが開く。

「あ、ルナちゃん。その鎌、出しっぱにできるっすか?」

「え? できるけど……大きいから邪魔になるよ」

「出しといてほしいっす」

「? ……うん、わかった」

 意図は読めなかったが、言われた通りにそのままで大鎌を肩に担ぐ。ドアを潜る時に気をつけなくては。

 中に宰緒以外の人物がいる可能性も考え、息を止めゆっくりと慎重にドアを開け、隙間から中の様子を窺う。既にドアの鍵を破壊して大きな物音は立てているのだが。

 ドアの隙間から視界の隅に、ごろりとまるで死体のように微動だにせず転がっているものがあった。

「――――!?」

 全員の血の気が引く。

 勢いよくドアを開け放ち、脚が縺れそうになりながら駆け寄った。それ以外は誰もおらず、何もない。家具も何もない部屋だった。

「サク!」

「宰緒!」

 口々に呼びながら、死体のように横たわる久慈道宰緒の傍らに跪く。

「えっ、何これ!? 死んでないっすよね!?」

 動揺する千佳を手で制して下げ、雪哉が確認を取る。

「……大丈夫だ。気を失ってるだけだ」

 ひとまず胸を撫で下ろすが、安堵してはいられない。

「こんな……意識を失うまで殴られてるのは初めてだ。この数年の家出が相当頭に来てたのか……」

「さっちゃん! 起きてないっすか!? 起きてくださいっす!」

 軽く頬を叩き呼び掛けるが、反応がない。

「ど、どうしよう! 起きないっす!」

「待って! 落ち着いて小無さん! 今、指が……」

 鎌を握り締めて一歩引いて見ていたルナは、視界に動くものを捉える。

 ぴくりと宰緒の指が微かに動いた。

 よかった! と束の間安堵の笑みが零れる。

「ん…………」

 宰緒の口から微かだが声も漏れる。

「宰緒は動けなさそうだし、誰かが背負わないと……」

 ぴたりと全員口を噤む。宰緒は体が大きく、この中でずば抜けて身長が高い。ルナや千佳では押し潰される。

「俺が背負うのが順当だろ」

 眉を寄せる皆を見回し、雪哉が手を上げる。宰緒を除けば一番身長は高いが、図体の大きさははっきりと差がわかる程度だ。運動神経は良いが多少心配は残る。

「気にしなくても体力はある方だ。背負う時だけ少し手伝ってくれれば」

 軽く肩を回し、宰緒の腕を持ち上げる。慌てて斎と千佳は体を支え、ルナも鎌を置いて手を伸ばす。

 その時、宰緒から獣の唸り声のような音が轟いた。

「…………」

 全員動きを止め、沈黙が流れた。

「腹……減ってるんだろうな」

 雪哉の一言に、三人も険しい表情のまま頷いた。

「入ってきたルートはこの状態じゃ無理だと思うが、帰りのルートは考えてあるか?」

 この巨体を背負いながら木登りは無理だ。別のルートを考えなければならない。

「帰りは正面から堂々と出るっすよ。使用人くらいなら私一人でも結構いけるし、帰りは見つかっても問題ないっす。ルナちゃんがこの鎌持ってたら近寄ってこないっすよ」

 大鎌を握るルナに、ああ成程と納得。こんな巨大な武器を持ついかれた人間に近付こうとは思わない。

「じゃあ道案内はよろしく」

 ゆっくりと立ち上がり一歩を踏み出す。重そうだが、体は安定している。大丈夫そうだ。

 気にしつつも千佳と斎は前に出る。ルナは片手に鎌を担ぎ、片手で宰緒の体を支える。あまり速くは歩けないが、周囲を警戒しつつ慎重に進む。

 このまま何もなければ良いのだが。皆胸中は同じだった。一刻も早くこの家を出て宰緒の手当てをし、何か食べさせてやりたい。何日も何も口にしていないのだろう。衰弱しているのがわかる。

 だが何もなく帰してはもらえないようだ。三階から二階へ下りる途中、もう少しで二階の床を踏めるという所で、最も出会してはいけない人物に遭遇してしまった。

「!」

「げっ」

 互いに同時に気づき、千佳と斎は階段を一歩上がる。相手は想定外の来客に眉を顰め動きを止めた。


「さっちゃんの、お父さん……」


 息を呑む千佳の呟きに、ルナと雪哉も察する。緊張が走る。これが――宰緒をこんな目に遭わせた張本人。

 厳格そうで気難しそうな表情を不快に歪める。距離を詰め、威圧を振り撒く。

「――ふん、またお前達か」

 千佳と斎の肩がびくりと跳ねる。鮮やかに慣れた侵入に、何度も侵入したことがあるのだろうとは推測できたが、見つかることも多かったのだろう。

 ルナは威嚇のために大鎌を掲げる。これで引いてくれればと願うが、後退る様子はない。

「こんな玩具を振り回して遊ぶ子供が。くだらない低能な人間との関係はさっさと絶たなければ」

 目の前にちらつく刃先を躊躇いなく握った。

「あっ……」

 完全に玩具だと思っている。本物かもしれないと思っている者が鋭利な鋒に触れるはずがない。

 良く切れる刃は宰緒の父の手にさっくりと食い込み、ぱたぱたと血が流れた。

「!?」

 よもや切れて血が流れるなどとは夢にも思わなかった宰緒の父は驚きと痛みで慌てて手を離す。

「なっ、何なんだこれは!?」

 尋常ではなく慌てふためき、脚を縺れさせて階段を踏み外した。

 あまりの動揺ぶりと予想外の転倒に小さく声が漏れるが、一瞬動きかけた脚は一歩を踏み出すことはなく、宰緒の父が引っ繰り返る様を黙って見守ることになった。父親は床に頭を打ち、脳震盪を起こしたのか動かなくなった。

「えっ、これ、俺……」

 鎌を引いて握り締め、目線を彷徨わせながら息を呑む。

「大丈夫っすよルナちゃん……鎌出しててって言ったのは私だし。この人、医者なんすけど自分の血は苦手らしいんすよ」

「まさか、それで鎌をって……」

「さ、先っちょをちょんってすればいいかなって思ってただけっすよ! こんなにビビるとは思ってなかったっすけど! けど、ざまー見ろっすよ!」

 お互いに苦笑いをし、目を回す父親を見下ろす。

 そっと階段を下り倒れる父親の横を通り過ぎようとした時、廊下の向こうから高速で迫ってくる黒い影が見えた。

「皆、待って!」

 真っ先にその姿を捉えたルナは、不思議そうに振り返る千佳と斎の前に飛び出し、大鎌を前方に翳す。

 黒い影は警戒し僅かにブレーキを踏む。その瞬間、その一瞬の隙に、もう一つ黒い影がルナ達の背後――階段の上からルナ達の頭上を跳び越えて下り立ち、手に持った刀で怯んだ黒い影を弾いた。

「梛原さん!?」

 背後から飛び降りてきた黒い影は長い髪を揺らし背を向けて立ち上がる。刀を握る右手を構え、左手は力無くだらんと垂れている。

「こんな姿は見られたくなかったのだけれど、仕方がないわね」

「ウリちゃん……? その腕……」

 体の動きに合わせてふらふら揺れる左手は確実に折れている。心配する千佳には取り合わず、結理は黒い影だけを見据える。

「あなたね、久慈道宰緒を誑かした愚かな人間は。祖父殺しをする前に病死してしまったから、それを挽回するために父親を殺しに来たのかしら。彼にはもうそんな意志などないと言うのに」

 黒い影は何も言わず、結理に襲い掛かる。結理は片手だけで黒い影を弾き十二分に応戦する。

「行きなさい、あなた達。大事な青羽君を戦わせないで」

「でもっ……!」

 その片腕では。

「何を心配しているのかしら。青羽君が心配してくれるのは嬉しいけれど、これは違界人よ。私が違界の人間に負けるわけないじゃない。違界人相手なら、何をしても良いルールだし」

 にぃ、と不敵に笑む。

 畸形にも充分に戦った結理だ。本当に一人でも大丈夫なのだろう。むしろルナ達がいることで邪魔になって戦えないかもしれない。

 ルナ達は互いに目配せし合い、促し合い階段を下った。

 一階に下りると使用人達が何事かと様子を見に来る。だがルナの大鎌を見て近付いてくる者はいなかった。

「これ、騒ぎにならないか!?」

「大丈夫。この家は騒ぎを嫌う。何が起こっても名前に傷がつくから。だから娘の自殺も不慮の事故に、宰緒の家出も事を荒げなかった」

 原因は全てこの家なのに。と斎は唇を噛む。

 玄関に走り、これでこの家からやっと出られるとドアを開け放つと、両親が揃って家にいることなど稀だというのに、傘を畳んだ母親が何事かとぎょっとした顔で立ち尽くしていた。丁度仕事に一区切りでもついたのか。

「何なのあなた達!?」

 使用人とは明らかに違う様子から、ルナと雪哉もこの女性が宰緒の母親だと察する。

 また鎌で威嚇すればと前に出ようとするが、斎に止められる。千佳と斎は心做しか楽しそうに両手をポケットに突っ込んだ。

「私達もちゃんと準備してるんすよ」

 悪戯っ子の目になり、千佳と斎は同時にポケットから黒い物を母親目掛けて散蒔いた。

「何っ……ひっ、きゃああああああ!?」

 大量のリアルな蜘蛛の玩具が宙を舞う。母親は相当苦手なのか、腰を抜かして尻餅をついた。

「やったっすよ!」

「今の内! 行こう!」

 誰もいない庭に飛び出し、もう必要ないだろうとルナも鎌を仕舞う。緊張感でカラカラに乾いていた体に雨が心地良い。傘も差さずびしゃびしゃと水溜まりを跳ねる。

 そこに不意に、小さく噴き出す声が雨に混じって聞こえた。

「ふっ……ははっ」

 声の主を一斉に見る。雪哉に背負われながら、宰緒が困ったように笑っていた。

 宰緒が目を覚ました。口々に声を掛け合い、良かったと言い合う。

 一頻り笑った後、ぽつりと宰緒は漏らした。

「あいつらを殺そうと思ったけど……あんなビビってるとこ初めて見た。すげぇ滑稽で、何かすっきりした」

 そう言って、また笑う。

「まだ憎いし許すつもりもないけど、ああいうのは悪くねぇ」

 笑う宰緒に、本当に良かったと千佳は泣きそうになりながら笑う。

「コトちゃんが教えてくれたんすよ。両親の弱点って」


 ――『今はまだ勝てないけど、大きくなったら仕返ししてやるんだ。そのために探してるの。弱点!』


「宰緒に話してなかったのは、お前にはそれ以上苦労を掛けたくなかったからだって」

 姉が最期に残したものは、皆の分のプリンと、敵をやっつけるための方法だった。

 宰緒は姉の最期を思い出し、奥歯を噛む。降り注ぐ滴が涙なのか雨なのかわからなくなるくらい混ざり合い流れる。

 姉のためにも、気が急いてしまったのかもしれない。必死に、一人で。周りには誰もいないと思い込んで。こんなにも差し伸べられる手があったのに、気づかなかった。一人になったわけではないと、気づけなかった。

 宰緒はぐしょぐしょのフードを被り、顔を隠す。雨なのか涙なのかわからないのに、見えないように。その行為が、涙を隠していると相手に教えることになるのに。

 そんなことはわかっていたから。誰も何も言わなかった。家の敷地を出て外に飛び出しても傘を差す気にはなれず、奇異の目で見られながら四人は走った。


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