この世界、なんかおかしいんですけど!? 8
「借りてくよ!」
近くにあった花瓶を家主の許可なく借りた。本当はコップがよかったが、水が入った器ならなんでもいい。
「これはいらないや」
必要なのは器と水なので、花はいらない。もう枯れそうで綺麗じゃないし、私が捨てておいてあげよう。
それより、今は男を釣り上げるのが大事だ。
再び、路地に隠れて好機を待つ。
「来たな。今度はスルーなんてさせないんだから」
男が歩いてくるのを確認して、タイミングよく飛び出す。すると、男とぶつかり、私は飛ばされて尻餅をつく。
ここまではさっきと同じだが、今は持っているアイテムが違う。水が入った花瓶。これが転けたと同時に水をまき散らす。
当然、私は濡れる。だが、これが男には効く。
「やだぁ……濡れちゃったぁ」
本来は、水に濡れて透けるブラなのだが、今はブラはなくコルセット。しかし、それを強引に見せていく。
「ビチョビチョだよぉ。気持ち悪いなぁ」
襟を延ばし、服と肌が密着するのを嫌っているように思わせて、チラリと谷間を見せる。水に濡れることによって、瑞々しく艶のある胸に見えることだろう。
この私の谷間を見れるなんて、感謝しなさい。そして、これからは私の谷間を妄想しながら存分に貢ぐといいわ。どうしたの? さっさと下心丸見えの手を差し出して……。
「きったねぇな。ちゃんと前見て歩けよな」
「え……」
暴言……。この私に暴言? 谷間を見ておいて……。い、いや、これはオタクどもが言っていたツンデレという奴に違いない。男なんてエロしか脳にないんだから。これで落ちない男なんて……。
「え……ちょ……」
私に手を差し出すこともなく、男は去っていった。これで落ちないなんて、本当に男なのか? チンコついてんのか? それともホモなのか?
これで落ちないなんて、この世界の男はおかしい。日本とはどこか傾向が違う?
「そうだ。私の婚約破棄した相手」
私を婚約破棄したということは、他に相手がいたはず。そいつに会えば、この世界の異常に気づけるかもしれない。
男を釣り上げることも出来ず、私は城へと急いで帰った。