オタサーの姫、異世界転生しまぁす! 2
それはある日のこと。
同じサークルの男子に呼び出された。
可能性は二つ、一つはご飯の誘いやプレゼントなどのいい方。そして、もう一つは最悪な方で……。
「ぼ、僕と付き合ってください」
告白されることだ。
「岸田くん。気持ちはすっごくうれしいんだけど、岸田くんのことよく知らないし、まだ付き合うのは早いんじゃないかなって……」
「大丈夫。これから知っていけばいいから!」
「でも、最近、岸田くんからプレゼントも貰ってないし……」
「これからは愛をあげるから!」
感情が高ぶったのか、私に迫ってきて、脂ぎった手で私の肩を掴んできた。
「…………触んなよ」
こっちが下手にでてたらいい気になりやがって。まあいいや。こいつ、私に貢ぎ物もしないし、切り捨てるには頃合いでしょ。
「どうしたの? ミカちゃん?」
「触んなっつってんの。いいから、さっさと離れろよ!」
足で思いっきり蹴り飛ばすと、無様に転けて尻餅をついてる。いい気味だ。でも、そんなことで私の怒りは収まらない。
「最悪。服が汚れた。弁償しろよ」
「……え?」
「金出せって言ってんだよ! ほら、財布!」
言っても、固まって動こうとしない。
「チッ。財布渡せよ。後ろポケットに入ってんの知ってんだからさ!」
思いっきり蹴ると、そのままうつ伏せになったので、少し嫌だったが、ポケットから財布を抜き取った。
「きったねぇな……。てか、その歳でマジックテープの財布とか」
マジックテープをベリベリと剥がし、中を見ると、千円札が3枚入っている。
「んだよ。ちゃんとあるじゃんか。出し渋ってんじゃねぇよ!」
三千円を抜き取って、財布を思いっきり投げつけた。小銭を抜き取らなかったのはこの為だ。
もう、これ以上、こいつから搾り取る金はないだろう。あとは、口封じをするだけ……。
と、そのとき、部屋のドアが開いた。
「た、助け……」
このデブが何か言うより先に、私はかけだした。
「ふえぇ……」
顔に手を当てながら、ドアの方に走ると、誰かにぶつかった。
「ミカちゃん、大丈夫?」
サークル代表の小林先輩。あらかじめ、ここに呼んでいたが、ナイスなタイミングだ。
「告白されてぇ、これからもお友達でいようねって言ったらぁ、急に掴みかかってきて……」
「……岸田」
「ち、違っ」
なにを言おうが、私の話を信じるに決まってるだろ。
あと、もう一押しで、こいつはサークルから追放だ。
「でもぉ、小林先輩が来てくれたから、初めてはまだだよ」
「そうか。よかった」
なに顔赤くしてんだよ。おまえにやる気もさらさらねぇよ。
「岸田。おまえ、もうサークルに来るな。こっちで除名するからな」
「…………」
この状況でなにも言えないとか弱っ。てか、私に告白するとか、自分の顔見て考えろよ。家に鏡ないのかって話だわ。これが私に近づいておきながら金を出さない奴の末路だよ。ざまぁ。