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転生者殺し

確か「アンチ転生の文脈からなに書けないかなー」って思って去年あたりに書いたのですが、いざ書いてみたら転生者があまりにマヌケでアンチどころかヘイトだったのでHDDの中で腐らせてたものです。まあ、そんな感じなので不快感を抱くかもしれません。

 神様ってのは本当に居るらしい。目の前にいる白い仮面と白い衣服を纏った情勢は、自らを『神様』と呼んだ。曰く。宗教的な意味の神様ではなく、人間の上位存在という意味の神様らしい。

 僕が見た最後の景色は、トラックが俺に迫ってくる様子だった。事故死だ。神様曰く、僕は手違いで死んだらしい。そして次の瞬間、僕は知らない場所で、神様と謁見することになったのだ。

 ここは電脳世界のどこかだ。光り輝く格子(ラティス)がどこまでも広がる情報マトリクス。電脳世界の根源的な景色に見えた。


「あなたはこれからコード一〇番緯電脳へと送られます」

「はい、知ってます」


 電脳世界――祭葉博士が発見したインターネット上の世界だ。死んだ人間は体から精神を抜かれ、データに変換されて、ここに送られることになっている。まさか死後の世界が人の手によって作られるなんて半世紀前の人は思いもしなかっただろう。

 電脳世界は生きた人のアクセスできる。その場合は体の一部を機械化し、ネットワークと現実の体をリンクさせて接続する。

死んだ人間と生きた人間の決定的な違い、それは生きた人間は二つの世界を自由に行き来できるが、死んだ人間が電脳世界から出ることは無い。だから、僕はもう現実に帰ることは無い。一方通行の世界移動。まるで異世界に飛ばされるような気持ちだった。


「神様、僕に何か特典を付けることはできますか?」

「特典、ですか?」

「はい。電脳世界で生き抜くための特典です。電脳世界は二〇八七年現在の現実世界の模倣ですが、やっぱり違う環境に飛ばされるというのは不安です」

「そういうことでしたか。藤代(ふじしろ)(ひろし)、安心してください。私は元々そのつもりでした」

「ただ、特典の内容は僕が指定したいのですが」

「はい、問題ありません」


 神様は太っ腹だった。恐る恐る僕は特典(チート)の内容を告げると。「それだけでいいのですか? もっと特典をつけることもできますよ?」と答えた。

 ラッキー、この神様は僕に親切だ。

 僕が願った特典は、言うなれば『スキルコピー』だ。人はそれぞれ才能や特技がある。足が速かったり、頭の回転が速かったりだ。僕の特典が正しく機能すれば、色んな人の特技を自分のものにすることができる。現実世界ではありえないことだけど、僕がこれから転生するのは『電脳世界』だ。全てがデータで構成された情報世界。なら、特技やステータスをスキルデータとして読み込み、複製することも難しくは無いだろう。

 そして、僕は電脳世界について説明を受けた。僕は有蘭学園という高校に転校するのだそうだ。生前の学力と照らし合わせて自動的に決定されるらしい。お金については、補助金で最低限の学費と寮費はまかなえるらしい。後は場合に応じてアルバイト、だそうだ。

 足元が光りだす。なんだろう、と思っていると、


「そろそろ時間です。次瞬きをした時、あなたは有蘭学園の学生寮に居るでしょう。その後、有蘭学園の教員から連絡があるはずです。彼女に従って転校手続きを進めてください、転生者」

「転生者?」

「はい。あなたはここで生まれ変わるのです。私と接触をする人間は多くありません。偶然にも私と接触した方には『転生者』の称号を送ることにしています」

「『転移』ではないのですか?」

「それは誤った表現です。私と謁見し、私によって力を授けられたあなたは、電脳移住者とは一線を画すもの。あなたの電脳体をハックし、誰もが振り向く容姿を与えましょう。聞くだけで女性をとりこにする、美しい声を与えましょう。それはもはや生まれ変わり――『転生』です」


 なるほど、と納得するが新たな疑問がわいて来た。


「死んだ人間は皆、神様と会うのではないのですか?」

「普通の電脳移住者は私と会うことはありません。あなたには私が与える特典――『神託(オラクル)』の適合者のみがここに呼ばれたのです、選ばれし者」


 よくわからないが、特典は神託(オラクル)と呼ばれているらしい。せっかくだから、存分に使おうと思った。


「では――よき電脳世界の旅を」


◇ ◇ ◇


 神様と会ってから一ヶ月が過ぎた。

 電脳世界での生活は特に不自由しなかった。いくつか現実世界との違いはあるものの――人間とは不思議な生き物だ、と思う。異なる環境にいきなり放り込まれても、なんやかんやと適応してしまうのだ。

 女の子を不良から救ったり。その子と仲良くなったり。

テストで満点とってクラス委員長の女の子に突っかかられたり、その子とも仲良くなったり。

生徒会長の女の子に気に入られて、生徒会に入れられそうになったりしたけど。平和だった。

 先生は僕を信頼してくれている。

PTAも理事長も僕に一目おいてくれている。

DQNは発見次第この学校から追放した。

有蘭学園は僕の理想郷だった。それも全て、神様のおかげだ。特典を駆使して、僕はすばらしい学校生活を送ることができている。


 ――今、この瞬間までは。


 ◇ ◇ ◇


「何で、何で……」


 僕は逃げ惑っていた。屋上から屋上を飛び移る。摩天楼は都市部の獣道だ。地上を歩く人間からすれば、まさか頭上を行く人間が居るなんて思いもしないだろう。

 そう、だから――僕を追ってくるあいつはケモノか何かだ。同じ人間だとは思いたくない。


「ハァ……ハァ……!」


 僕の体は能力コピーによって著しく強化されている。だから、通常は息切れなんてすることは無い。だからこれは、疲労による過呼吸ではなく、緊張による過呼吸。例えば命からがら逃げている時。今がまさにその状況である。

 また一つビルを飛んで、一度立ち止まる。休息を入れないことには、これ以上走れそうにない。後ろを振り向いて見る。『彼』の姿は無かった。どこかで諦めたのだろうか? ホッとする。


「――遅かったな」


 心臓が跳ね上がる。呼吸が止まる。代わりに汗腺が活発となる。警告――僕の体が無意識の反射をしていた。

 横だ。彼は横に居た。ビルの屋上、その端に腰をかけ、ソーダ飲料を飲んでいた。僕と同じ有蘭学園の制服を着ていて顔は――モザイクがかかっていてわからない。僕は一瞬頭がおかしくなったのかと思った。

 咄嗟に距離を取る。身体が強化されているから、彼の反対側の端まで移動するのは簡単なことだった。


「待っていた。俺と学び舎を同じくするハッカー」


 きっかけは、僕のミスだった。

僕は彼の能力をコピーしようとしたのだ。

彼は有蘭学園でも目立たない生徒だった。どれくらい目立たないかといえば、僕が彼の名前を覚えていないくらいだ。顔もはっきり思い出せない。それは仕方が無い。僕は僕を好きな人間の顔以外は覚えないのだ。

そんな彼に気まぐれで僕の『能力』を使ったのが間違いだった。僕の能力は相手に触れることで機能する。あんな彼にも得意なことの一つはあるだろう――そう思ったのに、僕の能力はなぜか上手く機能せず。その上彼には僕が特殊な力を持っているとバレて、今に至るのだ。


「ハッカー同士の戦いで逃亡はあまり良い選択じゃない。はっきり言って、出会い頭にぶん殴ったほうがマシだ。無力化が狙えるからな。情報とは割れるもの、例えばお前、頭上のドローンに気がついたか? 位置情報からお前の進路を割り出すのは簡単なことだった」


 言われて、ようやく気がついた。僕の頭上には、確かに小さな機械が飛んでいた。手のひらサイズの円形だ。


「そんな馬鹿な……」

「何がそんな馬鹿な、だ――予想はしてたがな。自分以外のハッカーと会うのは初めてだろ。幻視パルスを使った形跡も無い。かといって、光学迷彩も使ってない。ハッカーなら、一般人に姿を見られない工夫をするものだ。おそらくお前は俺の顔を認識できて無いだろ。モザイク破りはハッカーの基本中の基本技能だ。それすらできて無い――お前の行動はお粗末だ」


 ハッカー? 幻視パルス? と言われても僕には何のことかさっぱり分からない。その事を察したのだろう、彼は言葉を続けた。


「ハッカーの意味は広い。ハッカーとは細分化された定義をひとくくりにしたものだから。この情報世界ではそこに、『能力者』も含まれる。俺に能力を使おうとしたから、何となくだがお前の能力をがわかった。相手の電脳体情報を読み取る技術――それに加えてお前の見た目にそぐわない身体能力の高さ――さしずめスキルコピーと言ったところか? ――正解か」


 どうやら、僕の表情を見てそう結論付けたらしい。


「解せないのは、お前が『六骸情報(マトリクスコード)』を纏わずに能力を使っているということ。……そんな便利な方法があるなら、是非教えて欲しいけど」


 ろく……がい? と言われても僕には分からない。専門用語だろうか? やはりそんな思考を察して、彼は説明を始めた。はっきりと溜息も聞こえた。


「……能力を電脳体から出力するために必要な道具だ。外套とかコスチュームとかそんな感じの服で、それを着ないと能力は使えない。が、お前はどうだ? 俺には有蘭学園の制服を着ているようにしか見えない。裸の王様でもあるまいし、透明な六骸情報(マトリクスコード)を着込んでるわけではないだろ」


 分からない。六骸情報? いい加減専門用語だらけでちんぷんかんぷんに成ってきた。

 そこでついに彼は、行動を起こした。


「――やはりお前は通常のハッカーとは違う。何者だ」


 驚くべきことが起こった。ほんの一瞬――瞬きくらい一瞬の出来事だった。いつの間にか彼の服装が変わっていたのだ。相変わらず顔にはモザイクがかかっていて分からないが、首から下は真っ黒だった。アウターもインナーもボトムスも黒。光りの一切の反射を許さない黒、影――いや、闇と表現するのが適切か。それでも僕が彼を視認できるのは、彼の服が蛍光色の緑で縁取られていたからだ。

 緑が妖しく揺れる。僅かに発光しているようで、毒々しかった。その妖光が夜空に軌跡を描きながら、僕の所へ走ってきている!


「く――!」


 逃げる――無理だ。また追いつかれる。なら応戦するしかない――!

 喧嘩は初めてじゃない。僕に嫉妬して絡んできた不良生徒なら何人も相手をしている。素手でもナイフでも何でも――


「何を待ってるんだお前は」


 突如足を止め、彼は懐から銃を取り出した。――ちょっと待て。そして彼は僕に向けて引き金を、何のためらいも無く引いた。彼は拳銃の有効射程まで迫りたかっただけなのだと気がついた。

 咄嗟の反応で、それを回避する。動体視力を鍛えてなかったら避けられなかっただろう。


「なんだよそれ! ここは日本だろ!」

「日本じゃない。日本の電脳世界だ」


 そんなのってない! 思わず叫びたくなった。

けど、まだ僕の方に分がある。なにせ弾丸が避けられるのだ! 一気に距離を詰めて、あのモザイク顔に一発叩き込めばそれでお終いだ。


「なら、僕だって――!」


 駆け出す。陸上部部長の脚力を複製した僕なら、彼の元にはすぐにたどり着くだろう。さらに僕は会長のツテで電脳警察(セキュリティ)の格闘訓練にも混ぜてもらっているのだ。もちろんそこの誰よりも強い。

 また銃声――彼には学習能力が無いらしい。何発打っても無駄なのに! 見たところ、彼には他に武器は無い。あの細い体では接近戦に長けているというワケでも無いだろう。完全に僕の勝ちだ。

 頭が完全にのぼせている。いけない、いけない。勝利に酔うのはまだだ。


「――気まぐれで使ってみたけど、駄目だこれは。当たらん」


 そう言って彼は、僕に向かってその銃を投げつけた。


「は――?」


 想定外の行動だった。だがそれで止まる僕ではない。左手で銃を払う。既に彼は僕の間合いだ。


「もらった!」


 牽制のジャブを放つ。僕のマーシャルアーツは無敵だ。派手さは無いが、確実に相手を無力化することができる。これまで僕の助けとなった、基礎戦闘術だ。正直言って、牽制でも当たり所が悪ければ気絶するだろう。僕は見た目こそ普通の高校生だが、数値上は能力コピーによって格闘家と同様の筋力がある。

 だが、彼は幸運にも避けた。運のいいやつめ。だが、戦況は完全に僕に寄っている。僕は神様の加護を受けているんだ。負けるはずが無い。

 隙を見せずにラッシュを叩き込む。彼はどうやら受け止めるので精一杯のようだ。じりじりと彼は下がっている。このままなら、彼はこのビルから地上へ落ちるだろう。

 言っておくけど、たとえ彼が地上に落ちても死ぬことはない。この電脳世界に死は存在しないのだから。電脳移住者である彼が電脳世界で重傷を負ったところで、自動的に電脳体が回収されて修復院――現実世界で言うところの病院におくられて修復を受けるだけだ。


「って、僕は誰に説明してるんだ」


 オイオイと自分にツッコミを入れながら攻める。


「お前、体に違和感が無いか?」

「へ?」


 そこで初めて僕は彼の攻撃を受けた。回し蹴りだ。顔面にクリーンヒットして、僕は飛ばされた。

 嘘だろ信じられない……! 動揺する。そして僕は立ち上がろうとしたが、体に中々力が入らなかった。

体が異常に重かった。そんなに僕の体に疲労が溜まっていただろうか? 答えは間違いなくノーだ。この程度の戦闘で、僕が疲れることは無い。


「く、くそ……」


 形成は完全に逆転していた。分が悪い、立てない。このままでは、彼に一方的に嬲られる――そんな想像をしたら、彼が恐ろしいものに見えてきた。


「おかしい……だろ……!」


 最初は僕が優勢だったはず――そして気がついてしまった。僕はあれだけ攻撃を加えたのに、一撃も有効打を入れられて無い!

不可解な現象だ。なら、予想できる原因はは一つ。この状況は彼の能力が引き起こしたものだ。

僕の能力コピーを受け付けなかった時点で、彼も何かしらの能力を持っているとは思っていた。てっきりは『無効化』だと思っていたけど、そうじゃないらしい。それにしても――いつ彼は能力を使った?


「その能力は?」

「……」

「どうして僕の能力コピーが効かない!」

「……」


 答えてくれなかった。


「……どうして僕をこんな目にあわせるんだ」

「俺の平穏を脅かしたからだ」


 即答だった。


「最近の有蘭学園は大荒れだ。あっちを見れば彼女を寝取られた。こっちを見れば一日中遊んでるヤツが学年トップとは納得がいかない。話題の中心はいつもお前だ。――そんなことはどうでもいい、と俺は思っていた。俺には関係が無いからだ」

「そう……その通り……! 僕が君に干渉したことが問題なら、今日のことは謝る! だから許して……」


 命乞いだ。屈辱的だった。

 僕は神様の加護を受けた。おかげで僕はかなり楽しく過ごせた。現実世界では目立たない生徒だったけど、ここでは僕は容姿を改造してイケメン、さらにチートを使って楽をした! おかげで腕っ節のある生徒からは慕われ、女の子は僕にかしずき、先生の信頼も一心に受けている!

 今日さえ乗り越えれば、また楽しい異世界ライフに戻れるのだ。だから僕は、この屈辱に耐える! 痛い思いはしたくない……!


「ふざけるな」


 僕の希望は打ち砕かれた。


「お前がクラスの中で裸の王様をしているうちはまだ良かった。だが教師や生徒会長にまで取り入るのはやりすぎたな。お前が生徒会や教師、PTAに取り入ってから有蘭学園はおかしくなった。異常なペナルティ制度で何人退学した? 狙ったように男子ばかり追放してくれて、周りはお前にびくびく震えてばかりだ。華麗な内政でも行ったつもりか?」

「ち、違う……」

「おかげで授業すらマトモに進まない。俺は平穏が好きだ。それなりの平均的な成績で、それなりの大学にいければそれでいい。それすら断とうとするお前は、打ちのめさなければならないと思った」

「……だったらどうする!」


 逆切れだ。自分でも醜いとは思うが、その論理には矛盾があるからだ。


「僕を打ちのめしてどうする? 殺すか? 無理だ! 電脳世界で死ぬ事は出来ない。明日には僕はまた学校で玉座に座る! なら、僕を攻撃する意味は無い。この世界のうまみだけ啜って僕は生きる……! それを止める術が、お前にあるか!」

「お前の能力を凍結する術があるとしたら?」


 背筋が凍るような提案だった。

 僕の理想郷は、僕の能力によって裏付けられたものだ。能力奪われることは、僕の理想郷が崩れるのと全く同じ意味だ。

 理性がありえない、と反応する。僕の能力コピーは神様にもらった物だ。破られるはずが無い。

 本能が危険だと叫んでいる。いやだ。僕はもっと楽したい。支配したい。教室の隅で、スクールカースト上位の連中に支配されるのはもうたくさんだ!


「わあああああああああああああ!」


 力を振り絞り、立ち上がる。彼――あいつに立ち向かうなんてことはしない。逃亡だ。ビルから飛び降りる? 確かにそうすれば僕は修復院に送られて、彼から一時的に逃げることができる。ふざけるな。僕は痛い思いをしたくない。

逃げるんだ。ともかく遠くへ逃げるんだ。あいつよりも早く、遠くへ! 話はそれから……


「あっ」


 躓いた。くそ、こんなときに! 立ち上がろうと力を込めるが、入らない。

 どうして――そう思って後ろを見ようとしても、動かなかった。僕は首に刺さる黒い刃を見た。見なくても分かった。あいつの能力だ。

 剣はあいつの、闇色の外套のような黒だった。光りの存在を許さない。その刀身には何も写っていない。こんなに近くに居る僕の姿さえ。

 力が抜ける。思考能力が落ちる。体が重くなる。眩暈がする。


「嫌だ」


 何故か? 理由は僕には分かる。多分、あいつにも。

能力によって引き上げられていた身体機能が、元に戻ったのだ。僕自身の能力だ。僕の体から何かが失われれば、一番に僕がわかる。


「僕は……」


 僕の記憶はここまでしかない。ただ、次に目を覚ましたとき、僕はまだ屋上にいた。時計を確認したら、一日が経過していた。僕は能力を失っていて。今まで出来たことが全く出来なくなっていた。

 目を覚ましてすぐに、僕は転校手続きをすることに決めた。その後の有蘭学園なんて知ったことじゃない。


「おはよう、藤代博くん」

「はい?」


 誰かに声を掛けられた。こんなビルの屋上で? おかしい、と思いながら振り向く。

 そこにはスーツを着た大人がいた。やばい、このビルの人かもしれない。待った。だとしたら、なぜ僕の名前を知っている?


廃棄人(ジャンカー)?」

「いいや、違うよ。むしろ、俺は彼らから疎まれる側の人間。役人さ」


 その人は僕を怖がらせないよう、精一杯の笑顔で言った。


「君を捕まえに来た。有蘭学園で起きた一連の騒ぎについて聞かせてもらうよ」


 その人の所属を聞いて、僕は腹をくくることにした。

 逆らえば、今以上に最悪の状態に陥る。

モノ自体は完成してるので多分完結まで投稿します。

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