4:風になる
やっぱり、どうしてもコメディー風になります(ToT)
シリアス目指してたのに………
ソラはカミナとレナを連れて一階の倉庫に降りて言った。そこには米や武器、工具など色々なものが置いてあった。そして部屋の真ん中には巨大なサイドカー付きのバイクがあった。ボディは銀色で近未来的なデザインだ。大きさはそこらの大型バイクより一回りはデカい。
「凄いですねぇ……カッコいいです。」
レナは思わず感嘆の声をあげた。
「んっ、このバイクって魔機ですか?」
「よくわかったな!詳しいのか?」
「ええ。友達に魔機技師がいるんですよ。」
「魔機技師って、かなりすごいな!世界に100人にも満たない魔機技師が友達なんて、お前もなかなかのラッキー・ガールだな!」
「そんなことないですよ!!それにしてもこの魔機は相当凄いですよ。高かったでしょ?」
「いや、俺もなかなかのラッキー・ボーイでな、カミナの双子の妹が魔機技師で、タダで作ってもらえたんだよ。てもらえたんだよ。もちろん、材料は自分で取ってきたやつだけどね」
「へぇ〜、こんなの作るなんて、カミナさんの妹さんは凄いですね。」
レナは感心したように言った。
「だろ?姉と違って、妹は働く者で真面目で、素晴らしいんだよ!!」
ソラがカミナの妹を褒めていると、カミナの顔はどんどん不機嫌になってきた。
「魔機なんて所詮、魔法と機械を組み合わせただけのものでしょ?そんなん造ったって、凄くないし!あたしの方が役に立ってるもん!!」
カミナは物凄い剣幕だが、ソラは軽やかにスルー。それがカミナを余計に怒らせた。
レナは気まずい空気に耐えられなくなり、ソラに話かけた。
「でも、この大きな魔機を一人で動かすのは、かなり魔力がいりますよね?」
「あぁ。でも、普段はガソリンで走っているから、全然疲れないよ。で、なんかあった時だけ魔力を注いで、動かすってわけ。それに、あんまり使い過ぎて壊したりしたら、整備が面倒だからね。」
「便利ですねぇ」
レナとソラは楽しそうに会話しているが、カミナは勿論面白くない。目に見えて不機嫌になったカミナを見たレナは、早速出発することを提案した。ソラとカミナはそれに同意し、バイクに乗り込んだ。
カミナはソラの後ろに座り、レナはサイドカーに乗った。サイドカーにはレナの他に食料などが積んであった。
「エメラルド・マウンテン・モンスター出発!!」
「ちょっ、ソラさん、さっきと名前が変わってます!!愛車の名前くらい覚えて下さいよ。」
「あ、そうか?まぁ、どうでもいいだろ?」
そんなことは気にしない様子のソラ。カミナは
「また忘れたのね……」と飽きれている。
「じゃあ出発だ!!」 ソラは勢いよく叫んび、走り出した。
街から出たソラの愛車は、風を切るように走る。地面は整備されてない砂や砂利の道。そんなの関係ねぇと言わんばかりに飛ばしていた。
「ソ、ソラさんっ、飛ばしすぎですっ!!スピード落としてっっ、くっ下さい。」
レナはかなり怖がっている。時速150kmを超えるスピードで走っているから、初めてバイクに乗る人にはちょっと速過ぎるだろう。
「はっは!!何言ってんだ!今スピード落としたら、捕まるだろ?」
「つっ捕まるって何にですかっ?」
「あの日落した夢かな?」
「…………もういいです…」
「カミナは大丈夫か?」
「やっぱりあたしが心配なんだね!もうっ、素敵っ!!」
「レナはどうだ?」
ソラは軽くスルーして、怯えたレナに聞く。
「…………もういいです…」
レナは半分やけくそだった。
「じゃあ、スピード上げるぞ!!脅威の2倍速だ!!」
「「えっ…」」
ソラの愛車は風になった。
「はぁ〜、着いたな!レナ、カミナ!」
「「……………」」
レナとカミナは灰になっていたが、ウルグ山脈には普通の3分の1ぐらいの時間で着いていた。
「じゃ、召喚獣でも探すぞ!!おぉ〜!!」
「「…………」」
レナとカミナはまだ灰のままだった。