3:依頼内容
暇な人は評価や感想を書いてくれたらありがたいです。
少女は焦っていた。
なぜなら、目の前にパンツ一丁の男が立っているからだ。
言動から、この男がこの店の関係者であることは明らかだが、レナは初めて変態を見たショックから、かなり焦っていた。
「ああっあっのぉ……」
「あっ、ごめんね。自己紹介するな。俺はソラだ。この店のオーナーだ。」
(よかった〜。やっぱり店の人だ!でも、なんでパンツ一丁なんだろう……変態さんの店なのかなぁ……)
レナはう〜んと唸りながら考えていると、カミナと呼ばれていた女の人が声を荒げて叫んでいた。
「ソラ!!なんでパンツ一丁なのよっ?そんなことしたら警備隊の人に捕まるわよっ!!」
「あっ、カミナ!!客を勝手に帰すなよ!あんまり言うこと聞かないなら、¨アッシュ¨のとこに行ってもらうぞ。」
「うっっ……あたしソラと一緒じゃなきゃ嫌だよー!!」
女は目に涙を溜めながら謝っていたが、その間レナは置いてけぼりである。
レナは意を決して口を開いた。
「あの〜、ここってなんで屋ですよね?依頼があるんですけど……あと、なんでパンツ一丁なんですか?」
ソラはハッとして、笑いながら、
「まぁ、依頼の話は中で。パンツ一丁なのは、向かいのパチンコ屋で身ぐるみ剥されたからだよ。そんなことさ気にせず、さぁ入った、入った。」
と言って、レナの背中を押すようにして、店内に招き入れた。
(パチンコでどうやったら身ぐるみ剥されるのかなぁ……)
レナは誘われるように店内に入った。玄関に入ると、この辺りじゃ珍しい土禁であることに気付いた。靴を脱ぐと、目の前にはフローリングの廊下が続く。お店というより、自宅で仕事をしてるという感じだ。そして、一番奥の部屋が事務所らしい。引き戸を開けると、目の前には一面フローリングの部屋が広がった。真ん中にはテーブルと黒いソファーがあり、部屋の一番奥には、ソラの座るものであろう木造の机がある。
ソラはレナをソファーに座らせ、自分は向かい側に座った。
そして、カミナはソラの横に座った。さっき、怒られたせいかちょっとシュンとしているようだ。
「で、依頼の内容は何かな?お嬢さん?」
「あっ、レナです。ヴァーレ学院特別科のレナ・エヴァルです。えーっと、私は魔銃士なんですよ。」
「その銃見たらわかるわよ」
カミナはちょっとムスッとして言った。ソラに怒られたのに、まだレナの依頼を受けるのを納得してみたいだ。
「んっ?魔銃士がなんで特別科なんだ?魔銃科があるだろ?」
「あ、ソラさん。えーっとですねぇ、私は魔銃士ですけど、召喚士でもあるの。つまり、魔銃と召喚術を組み合わせた魔喚銃士ってことです。」
レナの言葉にソラは感心したように頷いた。
「へぇ〜、召喚士ってだけでもかなり珍しいのに、魔喚銃士はかなりレアだな。で、依頼は召喚獣の捕獲ってところか?」
それを聞いたレナは驚いたような顔だったが、すぐに笑顔になった。
「そうなんです!!話が早くて助かります。私と召喚獣を捕まえるのを手伝って欲しいのです。で、受けてくれますか?」
ソラは面倒そうな依頼だったので、ウンウン唸りながら迷っていると、カミナが口を開いた。
「召喚獣って捕まるものなのか?」
「えっとですね……召喚士は自分の召喚獣を創ることができますが、創るには色々条件があるんですよ。¨召喚石¨と創りたい召喚獣を表すような象徴、そして技術と集中力。この中で一番厳しいのが¨召喚石¨なんですよ。召喚獣に知能と感情を与える石です。今の時代はなかなか見つからないので、市場に出せば、城が買えるほどの高値がつきます。だから、召喚獣を手に入れたい時、ほとんどの場合はすでに召喚された召喚獣を捕まえまえるの。」
「人の召喚獣を盗むってこと?」
カミナはまるでゴミを見るかのような目でレナを見た。
「ちっ違いますよ!!主人がいない召喚獣を捕まえるってことです。召喚獣は創造された生き物だから、自分の主人が死んだ後もこの世に残って生き続けるの。そんな召喚獣と契約するの。他にも主人と契約を解消したものと新たに契約したりとか、最初から契約してないものと契約したりとか……」
「えっ、契約って解消できるものなの?ってか、最初からフリーな召喚獣っているの?」
「契約するのはお互いの意思が合わないとダメだけど、契約の解消は一方的にできるの。だから、主人の行いに嫌気がさしたものとかは、勝手に離れていくの。それに、創られた時から主人を嫌うものは、最初から契約しないし……召喚獣にも感情があるからね。」
「自分が創った召喚獣と契約できないバカもいるのねぇ〜。惨めだよねぇ、ソラ?」
カミナはソラの腕を抱き締め、楽しそうに言った。が、ソラはそんなことを気にもせず、考えて込んでいた。
心配になったレナが恐る恐る、
「……どうですか?受けてくれますか?」
と聞くと、ソラは笑って頷いた。
「依頼料は仕事の後でいいからな。で、召喚獣がどこにいるか目星はついてるのか?」
それを聞くと、レナは少し困ったように頭を掻いていた。
「えっと、ウルグ山脈に見慣れない魔物がいるっていう噂を聞いたような……」
「曖昧だな……」
「すいません…」
レナは申し訳なさそうに頭を下げた。
「ちょっと、そんな少ない情報で探せるわけないじゃない!ね、ソラ?」
「わかった。依頼受ける」
「って、えぇ〜!!!」
ソラはカミナを無視して続けた
「学院の授業はどうするんだ?」
「ちょっとソラ!依頼人が可愛いからって、そんな面倒な依頼受けないでよ!」
「学院には連絡してますから、大丈夫です。」
レナは依頼を受けてもらった安全感から、ホッとしたような表情だった。
だか、カミナは自分の言うことが聞いてもらえないことから、顔が歪んでいた。
「……ちょっとぉ、無視しないでよぉ!!お願いだからぁ……」
もう、カミナは泣きそうになっている。
「悪い、悪い。ほら、よしよし。」
ソラがカミナの頭を撫でると、嬉しそうにすり寄って来た。
「じゃあ、ウルグ山脈に行くぞ!!」
「おおぉーーー」
ソラとカミナは何故か盛り上がっていたが、レナは心配そうにソラに話しかけた。
「ウルグ山脈までどうやって行くんですか?結構遠いですよ。飛行船ですか?」
それを聞いたソラは自信ありげに、笑った。
「ふっふっふ。俺の愛車で行くぞ!!スカイハイモンスター、略してスター!!」
「おおぉーー」
やっぱり、ノリノリのソラとカミナ。
しかし、レナはちょっと心配である。
「あの、この店も愛車もソラさんが名前つけたのですか?」
「そうだぞ。カッコいいだろ!!」
(ソラさん……ネーミングセンスは、イマイチなんですね………)
レナはかなり不安になった。
シリアスとコメディーをうまいバランスで取り入れたかったのに、シリアスの要素が欠片もありません(T_T)
やっぱり、小説は難しいな……