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最終話 上編『君が残した宝モノ』-3

俺が住むマンションから最寄りの駅ーーーーJR池袋駅東口までは徒歩でだいたい20分の距離がある。

だが、その時間は曜日によって上下する。

今日が金曜日の平日であった為、いつも通るシャンサイン通りの人通りはあまりなかった。

これが、土日祝日となると、人がわんさかおり、歩き慣れている道でも若干の疲労を感じる時がある。

まー、人通りがあまりないと言っても、ここは池袋だ。

しかも、ちょっと離れたところには、大型のアニメグッズ専門店や、乙女ロードたるところがある。

さらには、旅雑誌内で取りあえげられた都内観光スポットで、第8位のサンシャイン水族館があるのだ。

平日でも、他のところと比べてたら、人がいる方だ。

特にーーーー

「あの子には、キツイか……」

茨城からやってきた、少女にはこんな場所を体験したことがないだろう。

「ご……ごめんなさい。人が凄くって」

だいぶ、疲労していた。

「もしかして、慣れてない?」

少し、路肩に入り、彼女が落ち着くのを待つことにした。

「は……はい」

まー、あそこでこのくらいの人がいるのは、純玲と一度だけ体験した夏祭りーー確か、祇園祭だったか?ーーぐらいだろう。

「お手をどうぞ」

なんとなくだけど、俺は彼女に右手を差し出した。

「ありがとうございます」

彼女が、笑みを浮かべながら、俺の右手を取った。


「それにしても、すごい人ですね」

彼女手を繋ぎながら、彼女を引っ張るように、俺は流れ遡っていく。

「そうかー?」

「それに、賑やかです」

後ろを振り向けないけど、今、彼女には周りを見る余裕が出来ているんだろう。

「夏祭り以上です」

夏祭りーーーか。

確か、あの時は俺が純玲に引っ張られるようにして、こうして人の流れに逆らっていた。

あの時は、純玲だけ見ることに夢中になっていて、その他なんてどうでもよかった。

でも、彼女ーー奏絵ちゃんは違うみたいだ。

「あ、待ってください」

「ん?」

奏絵ちゃんに言われて、俺は止まった。

「あのお店、可愛いです」

奏絵ちゃんが指差したのは、サミリオ屋と看板を立てている女子向けキャラクターのアイテムグッズ。

それを指差すあたり、奏絵ちゃんがいかに幼いかがわかる。

まだ、彼女は少女なんだ。

子供なんだ。

その時の俺たちと同じ、子供なんだ。

袖をめくり、腕時計で今現在の時間を確認すると、まだ乗る予定の電車には十分時間がある時間。

「寄ってく?」

店外で目を輝かしてる奏絵ちゃんがあまりにもあれだったので、聞いた。

「え?電車の時間は大丈夫なんですか?」

だが、彼女としては寄りたい気持ちよりも電車の時間が気になる思いが強かったらしい。

「あー、平気だよ。乗ろうとしてる電車は、11時40分くらいだから」

現時刻、10時30分を少し過ぎたところ。

詳細な電車の発車時間は、11時44分。

考える必要がないくらいに余裕があった。むしろ、ありすぎだ。

何せ、ここから池袋駅の最寄り口になる東口までは徒歩で3分。さらに、東口から駅ホームまでの時間を含めた予想移動時間を合わせて、合計で5分ぐらい。

なので、そこは十分な余裕が必要だ。何せ、ホームのキオスクかニューデイズあたりで飲み物購入と、グリーン券と奏絵ちゃんの切符購入するからだ。

なら、そこまで考えると、だいたい発車時間の10分前には駅にいたいものだ。

まー、それでも、時間としては十分に余っている。

「それじゃ………お言葉に甘えて、寄らせてもらいます」

時々、巣が出ているが、律儀な子だ。


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