地下に棲む彼女
推理物に挑戦です。あまりうまくないかもですけど……。
序章
いつからだっただろう。外の空気の味を忘れてしまったのは。
私はここから出られない。冷たい床の上で、ただいつか外に出られることを祈ることしかできない。
こんな時、どんなことを思えばいいのだろう。
ああ神様?
それともお父さん、お母さんのこと?
それすらも、遠い過去となりつつあるのに。
あの事件から四年の歳月が過ぎた。詳しい時間は分からないが、とにかく四年だ。
当時一五歳だった私も、今は一九歳だ。おそらく同じ年頃の子達は、外で彼氏や彼女とともに、家族とともに幸せを謳歌していることだろう。
私は違う。たぶん、私の家族も違う。
私に罪は無い。
私は悪事を働いてなどいない。
だというのに。
世間も親も、私のことなど一切信じず、まるで私が犯人のような物言いをした。
狂悪な犯罪者であると、一辺の疑念すら挟まず、私を断じた。
許さない。絶対に。
世間も親も、そして私をこんな目に合わせてくれて本当の犯人も。
全てが憎い。
ぶっ壊してやりたい。
ぶっ殺してやりたい。
いっそのこと、本当に狂悪犯罪を犯してしまおうか。
時々そんな考えにとり憑かれる。
もう十分狂い出しているのだろう。そう感じられてしまうほどに、ここでの生活は地獄だ。
食事は不味く、散髪に行くこともシャワーを帯びることも出来ない。
お陰で私の身なりは汚らしい。こんな私を世間の人が見たなら、きっとこう思うだろう。
狂悪犯にはお似合いだ、と。
ふざけるな!
おまえ達がそう仕立て上げただけで、私は一人も殺してなどいない。
そう主張したところで、返事の一つも無い。
誰も、私の味方はいない。
期待などしていない。ただ、暗闇の中にいる感覚だけは拭えなかった。
誰かに助けて欲しい。そう強く願わずにはいられなかった。
私の名は、メタリア・ジャックソン――――
いかがだったでしょう?