36話 狼型共鳴体
夜の学園広場。
裂けた空の下で、二体の狼型共鳴体が低く唸っていた。
黒い体毛のような魔力。
三メートルの巨体。
赤い目が鋭く光っている。
その前に、第零組が散開していた。
迅が剣を回す。
「速そうだな」
怜奈が短く言う。
「注意してください」
「狼型は機動型です」
透が呟く。
「魔力の流れが軽い」
次の瞬間だった。
狼が動いた。
地面を蹴る。
影が消える。
「来た!」
迅が剣を構える。
だが。
狼はすでに横にいた。
爪が振り抜かれる。
迅が雷を足に流す。
踏み込み。
間一髪で躱す。
爪が石畳を裂いた。
「速ぇ!」
陽菜が叫ぶ。
「魔玉!」
火球が放たれる。
狼が跳ぶ。
火球を踏み越えるように飛び越えた。
「マジか!」
透が手を振る。
「精霊」
水精霊が地面を走る。
石畳が濡れる。
狼の足が一瞬滑る。
そこへ。
迅が踏み込む。
雷が弾ける。
剣が振り抜かれる。
斬撃。
だが。
狼は体を捻る。
刃が浅く掠める。
すぐに後退する。
「当たらねぇ!」
その瞬間。
もう一体が動いた。
影が横から飛び出す。
梓が剣で受ける。
金属音。
衝撃で後ろに下がる。
「力もある」
結月が言う。
「速度特化型」
怜奈が言う。
「距離を保ってください」
「囲みます」
迅が笑う。
「了解」
狼が再び動く。
今度は二体同時。
迅と梓へ突進する。
迅が踏み込む。
雷が弾ける。
斬撃。
狼が跳ぶ。
その瞬間。
影が揺れる。
黒斗。
背後に出る。
刃が走る。
狼の背に斬撃。
黒い体が揺れる。
「一体、削れた!」
陽菜が叫ぶ。
魔玉を生む。
「火の50連!」
火球が空を埋める。
狼が跳ぶ。
だが。
透の風刃が横から走る。
狼の足を裂く。
狼が地面に転がる。
迅が踏み込む。
剣を振り上げる。
「終わりだ!」
だが。
その瞬間だった。
もう一体の狼が飛び込んできた。
体当たり。
迅が弾かれる。
地面を転がる。
「ぐっ!」
二体の狼が並ぶ。
低く唸る。
赤い目が光る。
怜奈が呟く。
「連携している」
結月が言う。
「群れ行動です」
透が言う。
「厄介」
迅が立ち上がる。
「でも削れてる」
確かに。
一体は深く傷を負っていた。
もう一体も傷が増えている。
怜奈が言う。
「あと少しです」
「押し切ります」
迅が剣を構える。
梓も踏み出す。
陽菜が魔玉を生む。
透が精霊を呼ぶ。
全員が一斉に動いた。
狼が跳ぶ。
迅が踏み込む。
雷が弾ける。
斬撃。
梓の剣が横から走る。
黒斗の影刃。
陽菜の魔玉。
透の風刃。
全てが同時に狼へ集中する。
狼が崩れる。
その瞬間だった。
二体の狼が同時に吠えた。
低い咆哮。
魔力が揺れる。
傷ついた体が黒い光に包まれる。
「……?」
陽菜が言う。
「何これ」
狼の体が崩れる。
黒い魔力が流れる。
二つの体が。
ゆっくりと重なり始めた。
迅が言う。
「おい」
透が呟く。
「魔力融合」
結月が言う。
「まさか」
怜奈が低く言う。
「合体」
黒い魔力が膨れ上がる。
巨大な影が形を作る。
二つの頭。
四メートルの体。
双頭の狼。
赤い目が四つ光る。
乃愛が笑う。
「すごいですね」
迅が言う。
「全然嬉しくねぇ」
怜奈が静かに言った。
「……新個体」
「オルトロス」




