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最強陰陽師教師、問題児だらけの転移者クラスを任される ~王立魔術学園第零組~  作者: ささかま
楔共鳴編

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18話 軍人グレイン

グレイン



夜の学園は静かだった。

つい数時間前まで。

空間が裂けかけていたとは思えない。


グレインは校舎の外廊下に立っていた。

遠くに見える訓練場。

その中央で、さっきまで異界共鳴が起きていた。


御影凪。

あの少年の胸に刻まれた楔。


そして。

それを止めた教師。


九条朔夜。



「……面倒な男だ」



グレインは小さく呟いた。

本来なら。

あの場で凪は回収する予定だった。


軍の命令。

共鳴体質の確保。


だが。


実際に楔が刻まれた瞬間。

判断が変わった。


あれは兵器ではない。

下手に触れれば。

世界そのものが崩れる可能性がある。


だからグレインは命じた。



「撤収」



凪の回収も中止。

学園に任せる。


軍としては珍しい判断だった。


だが。


それから数時間後。

通信魔導具が震えた。


上層部からの通信。

グレインは応答する。



「グレインだ」



低い声が返ってくる。



「状況は報告書で確認した」



王国軍本部。

中央司令。



「凪の回収はなぜ中止した」



グレインは答える。



「楔が発生しました」



短い沈黙。


それから。



「だから回収する」



グレインは眉一つ動かさない。



「不可能です」



「封印が崩れれば。

共鳴が再発します」



通信の向こうの声は冷たい。



「だから軍が管理する」


「学園ではなく」



グレインは数秒黙った。

頭の中に。

さっきの光景が浮かぶ。


裂けた空間。

共鳴体。


そして。


十人の転移者。

あの教師。



「現場判断としては。

学園管理が妥当です」



静かに言う。


だが。

返ってきた声は変わらない。



「現場判断は不要だ」



短い言葉。



「命令する」


「対象を回収しろ」



グレインは黙る。


夜風が廊下を吹き抜ける。

遠くで学園の鐘が鳴る。


静かな夜。

そして。


軍人の仕事。



「……了解」



グレインは通信を切った。

しばらく動かない。


空を見上げる。

裂け目はもうない。


だが。


あの教師の言葉を思い出す。



「凪は学園が預かる」



まっすぐな目だった。


グレインは小さく息を吐いた。



「……面倒な任務だ」



軍人は命令で動く。

それが仕事だ。


だが。


明日。


学園封鎖を命じるのは――


自分だ。


グレインはゆっくり歩き出した。

静かな夜の廊下。

軍靴の音だけが響いていた。




???



夜の訓練場を見下ろす窓。

校舎の上階。


そこから戦場跡が見える。

石畳の焦げ跡。

砕けた地面。

魔力の残滓。


ついさっきまで。

そこに裂け目があった。


異界共鳴。

楔。


そして。


第零組。


窓の前に立つ影は。

静かにその光景を見ていた。


軍は動く。

間違いなく。


現場の軍人は撤退を選んだ。

だが。

それは現場判断だ。


上層部は違う。

楔を見て。

放置するわけがない。



「……回収命令」



小さく呟く。


ほぼ確実。

そして実行するのは。

あの軍人だ。


グレイン。


現場主義。

判断は冷静。


だが。

軍人だ。


命令には逆らえない。


窓の外の空を見る。

裂け目は消えている。


だが。


問題は終わっていない。


むしろ――


ここから始まる。


九条朔夜。

あの教師。


思い出す。

共鳴体の戦い。


雷。

闇。


それだけで戦っていた。


だが。


あれが限界ではない。


式神の出力も抑えていた。

陰陽術も最低限。


つまり。


隠している。


窓の影は静かに息を吐いた。



「やはり」



面白い。


教師としても。

戦力としても。


そして。

危険性も。


だが。

問題はそこではない。


この任務の対象は。


楔でも。

第零組でもない。


九条朔夜。


あの教師だ。


だが。


それを知る人間は。

ほとんどいない。


学園側も。

軍側も。


誰も知らない。


表向きは。

ただの転移者。


それでいい。

今はまだ。


窓の外を見る。

昼間。

あそこに立っていた10人。


迅。

陽菜。

透。

悠真。

黒斗。

梓。

結月。

乃愛。

凪。


そして教師。

影は小さく呟いた。



「……もうすぐ動く」



軍が。

学園が。

世界が。


そして。


その中心にいるのは――


第零組だ。

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