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最強陰陽師教師、問題児だらけの転移者クラスを任される ~王立魔術学園第零組~  作者: ささかま
楔共鳴編

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17話 軍人の判断

迅の剣が兵士の盾に叩きつけられる。


雷を纏った斬撃。

金属が軋む音が部屋に響いた。


兵士は踏ん張るが、足が滑る。

透の水精霊が床を覆っている。


その横から、火球が降る。



「魔玉・火の30連!」



陽菜の弾幕。

火球が盾に当たり、爆ぜる。

煙が部屋を満たす。


魔術兵が前に出る。

結界を展開。

光の壁が火球を弾く。

同時に反撃の魔術が放たれる。


風刃。


一直線に迅へ飛ぶ。

迅が身を捻るが、肩をかすめる。



「チッ」



透が指を動かす。

水精霊が跳ね上がり、風刃を逸らす。


その隙に。

影が動いた。


黒斗だ。

兵士の背後。

影から現れ、短剣を突きつける。



「終わり」



兵士が動きを止める。


だが次の瞬間。

別の兵士が剣を振る。


迅が横から受け止める。

衝撃。

火花。


部屋の空気が完全に戦場になる。

俺は一歩前に出る。


符を指に挟む。

……長引くな。

そう思った瞬間。



「止まれ」



低い声が響いた。


部屋の入口。

全員の動きが止まる。


そこに立っていたのは――

グレイン。

鎧ではない。


軍服。

だが、その目はさっきより鋭い。

兵士たちが言う。



「少佐」



グレインは短く言った。



「武器を下ろせ」


兵士が戸惑う。



「ですが対象が――」


「命令だ」



それだけで十分だった。

兵士たちは剣を下ろす。


魔術兵も結界を解いた。

迅が不満そうに言う。



「なんだよそれ」



陽菜が笑う。



「空気読めてるじゃん」



グレインは二人を無視した。

真っ直ぐ俺を見る。



「九条朔夜」



俺も視線を返す。



「何のつもりだ」



グレインは部屋の中を見る。

凪。

胸の紋様は静かに脈打っている。


グレインは言う。



「回収命令は出ている」


「だが」



少し間を置く。



「今の状態で移送すれば、魔力暴走が再発する可能性が高い」



透が小さく呟く。



「……合理的」



迅が腕を組む。



「つまり?」



グレインは短く答える。



「ここで管理する」



陽菜が言う。



「それ、最初からそう言えばいいのに」



グレインは答えない。

代わりに兵士を見る。



「全員下がれ」



兵士たちはすぐに部屋を出ていく。

扉が閉まる。


部屋に残ったのは。

第零組。

そしてグレイン。


数秒の沈黙。

迅が言う。



「軍ってもっとアホかと思ってた」



陽菜が笑う。



「迅、それ失礼」



グレインは二人を見ない。

俺だけを見ている。



「君は知っていた」



またその話か。

俺は答えない。

グレインは続ける。



「楔共鳴。普通の魔力暴走ではない」



梓が小さく言う。



「……兄と同じ」



部屋の空気が一瞬止まる。

グレインは梓を見る。

そして俺を見る。


何かを確信した目だ。

だがそれ以上は言わない。


代わりに言った。



「私は軍人だ。命令には従う」



少し間を置く。



「だが」



声が低くなる。



「愚かな命令には従わない」



迅がニヤッと笑う。



「気が合うな」



グレインは無視する。

そして俺に言う。



「楔を扱える人間は少ない。君はその一人だ」



……完全に読んでいる。

俺は小さく息を吐く。



「それで」


「何をしに来た」



グレインは凪を見る。


胸の紋様が脈打つ。それから言った。



「楔は兵器にもなる。だが世界も壊す」



そして最後に。



「だから」



視線を俺に戻す。



「私は君の判断を見る」



沈黙。

迅が小さく言う。



「なんだそれ」



陽菜が笑う。



「責任丸投げ」



透が静かに言う。



「でも合理的」



俺はグレインを見る。

……面倒な男だ。


だが完全な敵じゃない。

俺は言う。



「監視か」



グレインは頷く。



「そうだ」



それだけ言って、部屋を出ていく。

扉が閉まる。


静寂。

迅が笑った。



「先生」


「軍の味方できましたね」



俺は凪を見る。


胸の紋様が、ゆっくり脈打っている。


楔。

世界を縫い止めるもの。



そして。

また、選択が迫っている。

俺は小さく呟いた。



「……面倒だ」



本当に。

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