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百物語が終わる迄  作者: 藤田 一十三
第十二巡 哀れ
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第六十三話 神谷 子守歌

 本日はあと四話で終了です。最終の巡になります。蝋燭が自席にないので、先に点いてる蝋燭をとって来ましょう。


 四人で、本来の岩田と森山の席から灯っている蝋燭を取ってくる。自席の消えた蝋燭を一本抜き、代わりに刺した。


 では、最後の巡を始めます。


 中学一年の時の校外学習で、県内をバスで移動した先に、幕末から昭和初期くらいまでの博物館みたいなとこに連れていかれたんです。記念館だったかな? 二階建ての大正期の洋館とか江戸時代の武家屋敷とか移築してあって、中にいろいろ展示してあるとこです。

 そこ、元が処刑場だったそうで、さらし首の写真とかも貼りだしてありました。

 雨の日だったんですけどね。そこは毎年一年生が行くところらしいなので、行く前から先輩方に、そこは出ると言われていて。まあ、一年生全員がその話を聞いているので、いろんな目撃情報が湧いて出るわけです。

 見学している間にも、あっちで二階の窓の外を何かが通った、立ち入り禁止の部屋に大正時代のドレス来た女の人がいた、とか。いろんな話が流れてくる。

 次に移動するバスの中はそんな話ばかりでした。

 その中で一番多かったのが、建物と建物の間を移動している間に、歌声が聞こえた、というものでした。

 先輩方の話にもあったんですけどね。

 昔の子守歌のようなものが聞こえる、って。

 その場所は処刑場跡地の塀と隣の洋館の塀の間だった場所で、昔は道だったんです。そんな図が貼ってありました。

処刑場跡地の方に古い建物が移築されていて、敷地をつなげてもともとあった洋館も見られるようにしてあったんですね。その古い道を歩きながら子守歌を歌っていた女性がいて、その歌声だけ残っていたんです。

 全員通る場所なので、私も歌声は聞きました。子守歌とはいえ、子供は母親よりちょっと小さいくらいの頃に死んだみたいでした。殺されて。処刑場跡地にあった、さらし首の写真の男が犯人だったみたいで、その繋がりで歌声が残されていたみたいです。

 犯人は処刑されたから、安心してと伝えていたみたいです。

 処刑を見たか、さらされた首を見たかしたあと、子守歌を歌いながらその道を通って、子供の墓に報告に移動したようでしたね。

 それを、さらされている間、何度も繰り返していた。一日に何度も見に来ていたようでした。

 残っているのは歌声だけなんですけどね。

 多分、あの写真が飾られている限り、続くんじゃないですかね。


 語り終えると、語り部は一本の蝋燭の火を消した。


あと四話で二日目の百物語は終了です。その後、終了後三話、三日目の開始前三話が挿入され、三日目の百物語を再開します。

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